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10 酷いのを買って来た
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「なあ、リーヤ。お前、うちから買ってったゴミ奴隷、どう処分してんだ?」
「物好きに売ってるけど?」
可愛いショタ兎とラブラブになった奴とか、貴族とか。人間は沢山いるんだ、物好きも沢山いる。
「なぁ、その物好き一人でいいから紹介してくんねぇ?最近隣の隣ででかい戦争があって、ゴミが増えすぎて困ってんだよ」
「誰がお得意様を紹介するんだよ。馬鹿じゃねーの?だけど、ゴミは見せてもらうぜ」
「おーいくらでも持ってって良いぞ。もう部屋にも入らなくて困ってんだ」
暗くて汚い廊下の先にあるゴミ捨て部屋。血と汗と、糞尿の吐きそうになる臭いの中に確かに沢山の人間が詰まっていた。
「これは確かに多いな」
若い男が多かった。どれも酷い怪我でまともに働けそうな奴はいない。
「お、こいつは酷い」
なんと両手両足をもがれても生きてる奴がいた。
「……ふむ……これは、また特殊な。ベイズ、これをくれ」
「あーそいつね。どうせひと月ももたねぇだろうから持ってけ」
ひと月は大袈裟だろう。あと一週間もしないうちに死ぬわ。流石適当、ベイズの見立てはそんなもんだ。
「……わ、わたし、も、つ、れ……」
死にかけ奴隷の中から、必死の形相で這い出て来た奴がいる。こっちは両足がない。ついでに顔も分からないくらいぐちゃぐちゃに潰されているが、まともな片目は真っ直ぐに俺を見ていた。強い青い目がまだ生きている。
「……!」
もう一人這い出てくる。こちらも同じように顔は潰され、足もない。ついでに喉も潰されているようだ。こっちの男も目が生きている。
これは賭けだな。間違いなくこの3人は若い良い男だろう。どうも男娼も商おうとしている母さんに渡せばそれはそれは金を稼ぐ姫にしてくれるんじゃないか?
「まとめてこの3人貰って行くぞ」
「たった3人かよ!」
おいおい、3人でも多いだろうが!捌けたらまた買いに来ると言って荷車を借りた。3人とも自力で歩けねーでやんの。
俺は3人を荷車に乗せて、ボロ布を頭から被せて家まで押して帰った。なかなか重労働だった……。
「リーヤ、3人もひでぇの持ち帰ったなぁ?おい」
珍しく早起きしたと言うローザ姉に奴隷達を見つかった。まあ良いんだけどね。
「ローザ姉、こいつら多分美形だよ。姉さん好みのね」
「マジか!早く治せよ!」
ローザ姉がぐいっと食いついてきた。俺よりいくつ年上か聞いたら殴られるけれど、この翡翠館の看板娘にして教育係のローザ姉さんは結構長くここに居る。
「良い人が居たらいつでもその人の所に行って良いわよ~」
なんて母さんに言われているんだ、この翡翠館を出て普通に暮らしても。だからローザ姉さんもメグ姉さんも馴染みでお気に入りしか客を取らない。もっぱら新人を一人前にする仕事しかしていない。
結婚相手を吟味しすぎると行き遅れる良い例になりそうなんだよな。
ワクワクしながらみている姉さんを尻目に俺は全員をなんとか家の中に仕舞い込んだ。流石に姉さんに手伝わせる訳には行かないからね、俺は立派な男子なんだからな!力仕事くらい出来るのさ。
「あ、足、斬られてんの?!てかそれ……」
きちんと奴隷商として使っている入り口の扉を閉める。ここから搬入された物は奴隷、ここまでなら誰に見られたって問題ない。
この先の治療とかそういうのは見られたく無いけどな。
「姉さん、窓締めるの手伝って」
「あ、ああ」
それくらいはいいよな。外部の目を遮断して、中にランプを灯す。
「まあ完全に訳ありを買ってきた訳だが」
「この斬られ方、完全に逃走防止じゃない……戦争で斬られた訳じゃ無いよね?」
「そう、多分潰された国のお偉いさんだろうねー。この一番酷い人が……王族っぽい」
自身も酷い状態で、身動きもままならないのに、足を斬られた二人はもっと酷い奴を庇うように囲んでいる。忠臣の鏡だね!
「リーヤ!なんでそんなクソ面倒くさい物を買ってくるんだ!」
まあ、ローザ姉さんの言う事も尤もだ。でも俺はとりあえず見た目が素晴らしい若い男が必要だった。
「仕方ねぇだろう!母さんが男娼やろうって思ってんだ!このままじゃ俺が商品にされちまう!勘弁してくれ!」
……ローザ姉さん?なんでひっくりがえって床に突っ伏してんだ?こっちの店の床なんて物凄く汚いぞ?
「物好きに売ってるけど?」
可愛いショタ兎とラブラブになった奴とか、貴族とか。人間は沢山いるんだ、物好きも沢山いる。
「なぁ、その物好き一人でいいから紹介してくんねぇ?最近隣の隣ででかい戦争があって、ゴミが増えすぎて困ってんだよ」
「誰がお得意様を紹介するんだよ。馬鹿じゃねーの?だけど、ゴミは見せてもらうぜ」
「おーいくらでも持ってって良いぞ。もう部屋にも入らなくて困ってんだ」
暗くて汚い廊下の先にあるゴミ捨て部屋。血と汗と、糞尿の吐きそうになる臭いの中に確かに沢山の人間が詰まっていた。
「これは確かに多いな」
若い男が多かった。どれも酷い怪我でまともに働けそうな奴はいない。
「お、こいつは酷い」
なんと両手両足をもがれても生きてる奴がいた。
「……ふむ……これは、また特殊な。ベイズ、これをくれ」
「あーそいつね。どうせひと月ももたねぇだろうから持ってけ」
ひと月は大袈裟だろう。あと一週間もしないうちに死ぬわ。流石適当、ベイズの見立てはそんなもんだ。
「……わ、わたし、も、つ、れ……」
死にかけ奴隷の中から、必死の形相で這い出て来た奴がいる。こっちは両足がない。ついでに顔も分からないくらいぐちゃぐちゃに潰されているが、まともな片目は真っ直ぐに俺を見ていた。強い青い目がまだ生きている。
「……!」
もう一人這い出てくる。こちらも同じように顔は潰され、足もない。ついでに喉も潰されているようだ。こっちの男も目が生きている。
これは賭けだな。間違いなくこの3人は若い良い男だろう。どうも男娼も商おうとしている母さんに渡せばそれはそれは金を稼ぐ姫にしてくれるんじゃないか?
「まとめてこの3人貰って行くぞ」
「たった3人かよ!」
おいおい、3人でも多いだろうが!捌けたらまた買いに来ると言って荷車を借りた。3人とも自力で歩けねーでやんの。
俺は3人を荷車に乗せて、ボロ布を頭から被せて家まで押して帰った。なかなか重労働だった……。
「リーヤ、3人もひでぇの持ち帰ったなぁ?おい」
珍しく早起きしたと言うローザ姉に奴隷達を見つかった。まあ良いんだけどね。
「ローザ姉、こいつら多分美形だよ。姉さん好みのね」
「マジか!早く治せよ!」
ローザ姉がぐいっと食いついてきた。俺よりいくつ年上か聞いたら殴られるけれど、この翡翠館の看板娘にして教育係のローザ姉さんは結構長くここに居る。
「良い人が居たらいつでもその人の所に行って良いわよ~」
なんて母さんに言われているんだ、この翡翠館を出て普通に暮らしても。だからローザ姉さんもメグ姉さんも馴染みでお気に入りしか客を取らない。もっぱら新人を一人前にする仕事しかしていない。
結婚相手を吟味しすぎると行き遅れる良い例になりそうなんだよな。
ワクワクしながらみている姉さんを尻目に俺は全員をなんとか家の中に仕舞い込んだ。流石に姉さんに手伝わせる訳には行かないからね、俺は立派な男子なんだからな!力仕事くらい出来るのさ。
「あ、足、斬られてんの?!てかそれ……」
きちんと奴隷商として使っている入り口の扉を閉める。ここから搬入された物は奴隷、ここまでなら誰に見られたって問題ない。
この先の治療とかそういうのは見られたく無いけどな。
「姉さん、窓締めるの手伝って」
「あ、ああ」
それくらいはいいよな。外部の目を遮断して、中にランプを灯す。
「まあ完全に訳ありを買ってきた訳だが」
「この斬られ方、完全に逃走防止じゃない……戦争で斬られた訳じゃ無いよね?」
「そう、多分潰された国のお偉いさんだろうねー。この一番酷い人が……王族っぽい」
自身も酷い状態で、身動きもままならないのに、足を斬られた二人はもっと酷い奴を庇うように囲んでいる。忠臣の鏡だね!
「リーヤ!なんでそんなクソ面倒くさい物を買ってくるんだ!」
まあ、ローザ姉さんの言う事も尤もだ。でも俺はとりあえず見た目が素晴らしい若い男が必要だった。
「仕方ねぇだろう!母さんが男娼やろうって思ってんだ!このままじゃ俺が商品にされちまう!勘弁してくれ!」
……ローザ姉さん?なんでひっくりがえって床に突っ伏してんだ?こっちの店の床なんて物凄く汚いぞ?
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