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5 娼館の女達
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「あらーあのウサチャンもう買われていったの~早いわねえ」
「すんげー仕込まれてて2回もぶっかけられたぞ」
「あらやだ!流石リーヤ。母さんの子供ね!もうほんとにイケメンさんなんだから!」
「ちげーだろ」
母さんは美人だ。濃い金色の髪に深い緑の瞳。ドレスでも着れば完全に貴婦人としてやっていける。立ち振る舞いも貴族のそれと変わらない……間違いなく貴族の出だろうが、ここでは誰もそれに触れようとしないし、母さんも触れられることを拒んでいる。
その血を受け継いだ俺もまあ……多分、かっこいいと呼ばれる類の顔をしている。母さんと同じ濃い金色の髪に、青緑の目をしていた。貧民街産まれ貧民街育ちなのに
「品がある」
なんて心外な事を言われるが、それはいつも見ている母さんの立ち振る舞いと、前世の記憶のせいだと思う。まあ、ここらへんで生きていけているから問題はない。良いか、俺はかっこいい類の顔だ。決して可愛い類の顔じゃない、いいか!可愛くはない!かっこいいんだ!!
「夕ご飯作るわね~あとでローザとメグとカノンも起こしてきて~」
「おー」
俺は奴隷商をやっていて、母さんは翡翠館という名前の娼館をやっている。所属している姫は3人。小っちゃすぎる?いやいや派手に稼ぐと何かとうるさいし、これくらいがちょうどいい。母さんは現役は引退していて、女将をやっているわけだ。貧民街の娼婦が出来る仕事なんてこんなもんしかない。
命が軽い世界で生きていくには、上手くやらなければならないからね。
「おーす、リーヤ。今日も悪どく稼いでっか?」
「ローザ姉、今日もばっちりだぞ。なんと7000ゴールドで仕入れた子供が120万ゴールドになった」
何回分割払いにしたか忘れたけどな!ま、リンダの本屋は手堅い稼ぎがある。どんだけ長期払いになってもしっかり払ってくれるだろう。手を繋いでぴょんぴょんと弾むようにリンダの家に行ったリンネはきっと幸せになるだろう。兎は子供がたくさん生まれるらしいからな、良いんじゃねえ?
「うっは!何それ笑える~」
「メグ姉褒める所だろう?」
「ホント、リーヤさんはそういう目利き凄いですよね」
「まあな、カノンも高値で売ってやるよ」
ありがとうございます、と笑う。母さんの娼館の女達。ローザとメグは古株で、カノンが新参者だ。そしてこの中で客を取るのはカノンのみ。ローザとメグは固定の上得意の相手とカノンの仕込みなんだ。
「さあさあ 早くご飯食べちゃって~お店開けるわよ~」
「はーい」
それに誰も文句は言わない。だって誰も飢えてないし、怪我もない。それが家のやり方だからね。カノンも俺が仕入れて来た女だ。
「娼婦としてお前を買うが文句はないな?」
「なにも……ありません……」
カノンは町の奴隷商から買って来た。確か1万もしなかったと思う。カノンも死にかけで酷い状態だったからとても安かった。
「こんな女、誰が抱くんですかぁ?」
「物好きに決まってんだろ」
俺がその時、奴隷商と話した言葉だ。俺はまだペーペーだけど、たまに現れてはゴミくずみたいな処分に困った奴隷を買っていくから、割と歓迎されている。俺から見れば治して使えばまだまだ使えるから買っていくんだけどな。
まず殴られ過ぎて変形していた顔を治してやったら、やっぱり美人だった。熱湯をかけられたという頭から背中を治したら、ツヤツヤの茶色の髪が生えそろった。伸びるまでカツラを渡したら涙を流して喜んだっけ。歯も折られていたから治したら美人度が上がったし、鼻も元の形じゃなかった。前の主人が暴力がひど過ぎたらしい。
「ありがとう!ありがとう!!リーヤ様!」
「様はやめろ。そしてカノン、お前にかかった治療費は自分で稼ぐんだ、いいな?言っとくけど、相当頑張らないと返せない額だからな!」
「はいっ!ありがとうございます!」
「そしてそんなダサい振る舞いじゃ翡翠館じゃやってけないからね!私達がしっかり仕込んであげるわ!」
「ほんとよね!舞踊と、楽器、マナー全部だからね!」
「はいっ!お姉様ありがとうございます!」
母さんの翡翠館にマナーの悪い姫は一人もいないんだ。
「すんげー仕込まれてて2回もぶっかけられたぞ」
「あらやだ!流石リーヤ。母さんの子供ね!もうほんとにイケメンさんなんだから!」
「ちげーだろ」
母さんは美人だ。濃い金色の髪に深い緑の瞳。ドレスでも着れば完全に貴婦人としてやっていける。立ち振る舞いも貴族のそれと変わらない……間違いなく貴族の出だろうが、ここでは誰もそれに触れようとしないし、母さんも触れられることを拒んでいる。
その血を受け継いだ俺もまあ……多分、かっこいいと呼ばれる類の顔をしている。母さんと同じ濃い金色の髪に、青緑の目をしていた。貧民街産まれ貧民街育ちなのに
「品がある」
なんて心外な事を言われるが、それはいつも見ている母さんの立ち振る舞いと、前世の記憶のせいだと思う。まあ、ここらへんで生きていけているから問題はない。良いか、俺はかっこいい類の顔だ。決して可愛い類の顔じゃない、いいか!可愛くはない!かっこいいんだ!!
「夕ご飯作るわね~あとでローザとメグとカノンも起こしてきて~」
「おー」
俺は奴隷商をやっていて、母さんは翡翠館という名前の娼館をやっている。所属している姫は3人。小っちゃすぎる?いやいや派手に稼ぐと何かとうるさいし、これくらいがちょうどいい。母さんは現役は引退していて、女将をやっているわけだ。貧民街の娼婦が出来る仕事なんてこんなもんしかない。
命が軽い世界で生きていくには、上手くやらなければならないからね。
「おーす、リーヤ。今日も悪どく稼いでっか?」
「ローザ姉、今日もばっちりだぞ。なんと7000ゴールドで仕入れた子供が120万ゴールドになった」
何回分割払いにしたか忘れたけどな!ま、リンダの本屋は手堅い稼ぎがある。どんだけ長期払いになってもしっかり払ってくれるだろう。手を繋いでぴょんぴょんと弾むようにリンダの家に行ったリンネはきっと幸せになるだろう。兎は子供がたくさん生まれるらしいからな、良いんじゃねえ?
「うっは!何それ笑える~」
「メグ姉褒める所だろう?」
「ホント、リーヤさんはそういう目利き凄いですよね」
「まあな、カノンも高値で売ってやるよ」
ありがとうございます、と笑う。母さんの娼館の女達。ローザとメグは古株で、カノンが新参者だ。そしてこの中で客を取るのはカノンのみ。ローザとメグは固定の上得意の相手とカノンの仕込みなんだ。
「さあさあ 早くご飯食べちゃって~お店開けるわよ~」
「はーい」
それに誰も文句は言わない。だって誰も飢えてないし、怪我もない。それが家のやり方だからね。カノンも俺が仕入れて来た女だ。
「娼婦としてお前を買うが文句はないな?」
「なにも……ありません……」
カノンは町の奴隷商から買って来た。確か1万もしなかったと思う。カノンも死にかけで酷い状態だったからとても安かった。
「こんな女、誰が抱くんですかぁ?」
「物好きに決まってんだろ」
俺がその時、奴隷商と話した言葉だ。俺はまだペーペーだけど、たまに現れてはゴミくずみたいな処分に困った奴隷を買っていくから、割と歓迎されている。俺から見れば治して使えばまだまだ使えるから買っていくんだけどな。
まず殴られ過ぎて変形していた顔を治してやったら、やっぱり美人だった。熱湯をかけられたという頭から背中を治したら、ツヤツヤの茶色の髪が生えそろった。伸びるまでカツラを渡したら涙を流して喜んだっけ。歯も折られていたから治したら美人度が上がったし、鼻も元の形じゃなかった。前の主人が暴力がひど過ぎたらしい。
「ありがとう!ありがとう!!リーヤ様!」
「様はやめろ。そしてカノン、お前にかかった治療費は自分で稼ぐんだ、いいな?言っとくけど、相当頑張らないと返せない額だからな!」
「はいっ!ありがとうございます!」
「そしてそんなダサい振る舞いじゃ翡翠館じゃやってけないからね!私達がしっかり仕込んであげるわ!」
「ほんとよね!舞踊と、楽器、マナー全部だからね!」
「はいっ!お姉様ありがとうございます!」
母さんの翡翠館にマナーの悪い姫は一人もいないんだ。
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