39 / 41
39 こ、こいつら付き合ってるな!?
しおりを挟む
「嘘よ、嘘よ、嘘よ!!」
香山さんは叫びながら取り乱している。でも私だって動画をあんな風にされて、しかも悪意って言うのをぶつけられて……かなり頭に来ていたんだ。それにきっぱりはっきり断らないと何か厄介な事になりそうだったし。
香山さんのご両親は平野……マカロンさんに
「後日改めて連絡します」
と言い、私には
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。今後このような事はないように私達で見張ります。今日の所は連れ帰ります」
「離して!お父さん、お母さん!!」
暴れながら香山さん一家は帰って行った……。
「なんなんだろう……あの人は」
「基本的に話は通じないし、嘘……というより妄想と現実の境界があやふやみたい。いい迷惑だよね」
「同じ人間なのに理解出来ないって、こういう事なのかな……」
来てくれた警察の人にも一旦帰って貰い、喫茶店のマスターにお礼を言って店の方に戻らせてもらった。
「せっかくだし、パフェでも」
マカロンさんの提案でまたパフェを注文することになった。美味しいんだけどそれより先にマカロンさんが身を乗り出して話し始める。
「それよりカナさん!シラスたんがおっきくなっちゃった!」
「あはは~!良い名前でしょ?白洲啓介。マカがつけてくれたの」
そして当の本人はのんびりとしてほんわか笑っている。シラスだから白洲ってどういう事なの?
「う、うん……普通の人間サイズだね……」
あの小魚が急成長である。
「こんなにおっきくなっちゃうと私が作った服を着て貰えないんだけど!」
「その時はちゃんとドールサイズになるって言ってるでしょう?大きさ結構自由自在なんだから~」
「ドールサイズのシラスたんとラブラブデートしたかったのに!」
「かなさんを驚かそうって言ってたのはマカだよね??」
えっ……何?この二人滅茶苦茶仲が良いの?なんか……
「恋人同士みたいですね」
「油揚げもそう思う?」
「はい!」
鞄の中から声がして狐のぬいぐるみに戻った油揚げが屈託ない笑顔をしている。
「油揚げや、これはもしかして惚気られている、という奴なのでは?」
「そうでしょうか?ただ、カナさんのお見立ては最高に正しかったってことかなって!」
油揚げは本当にいい奴!二人をうらやむより先に私の事を褒めてくれるなんて……。
「油揚げ~ありがとう。さっきはちゃんと油揚げになっててくれてありがとうね~」
「僕もああいう悪意をドロドロさせている人の所には行きたくありませんし!」
大丈夫、油揚げをあの人に上げる気なんてこれっぽっちも起きなかったよ!マカロンさんとシラスがイチャイチャしてるなら私だって油揚げと楽しくおしゃべりだ。傍から鞄に向ってぼそぼそいってる寂しい女だけどね……。
「と、とにかくかなさんにはお礼を言いたくて。シラスが家に来てから楽しくて楽しくて。こうやって一緒に出掛けてくれるのも嬉しいし、作った服を着てくれるのも嬉しいし……」
マカロンさんは照れ笑い。ああ、良かった、マカロンさんも笑顔だし、シラスも嬉しそうだ。私は良い事をしたと思う。
「カナさんは巫女としての能力が高いですから、適所に振り分け連れて行ってくれる……。ありがとうカナさん。カナさんのお陰で私は消えずにすみましたし、こうして毎日楽しいです。これからも色んな人達がカナさんに助けを求めると思いますが、どうかお力の及ぶ範囲でいいので助けてやってください」
「巫女?誰が??」
「かなさんが、油揚げさんの巫女でしょう?狐の巫女ってこの辺りじゃ結構有名人ですよ」
へ……初耳なんだけど……?あとこの辺りってなに?え??
「どゆこと?」
私はシラスより油揚げに聞いてみた。狐の巫女、狐っていったら油揚げだろう??
「し、知りません……けど」
なんともまあ頼りない返事が返ってきちゃった。もう、油揚げはこういう時困る!
「……もしかして、油揚げさんに自覚はないんですか??あんなにかなさんと一緒にいるのに!因みにマカは私の巫女ですよ?海神の巫女、素敵でかっこ良いでしょう」
「巫女って言っても大してやる事ないけどな!毎日シラスたんをお風呂に入れたりするだけだもん!」
「やっぱ付き合ってるんだ」
「え!?いや、そういうときはシラスたんは半分魚だし!?」
これは付き合っているに違いないぞ!!一緒にお風呂入るんだ!きゃーーーー!
香山さんは叫びながら取り乱している。でも私だって動画をあんな風にされて、しかも悪意って言うのをぶつけられて……かなり頭に来ていたんだ。それにきっぱりはっきり断らないと何か厄介な事になりそうだったし。
香山さんのご両親は平野……マカロンさんに
「後日改めて連絡します」
と言い、私には
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。今後このような事はないように私達で見張ります。今日の所は連れ帰ります」
「離して!お父さん、お母さん!!」
暴れながら香山さん一家は帰って行った……。
「なんなんだろう……あの人は」
「基本的に話は通じないし、嘘……というより妄想と現実の境界があやふやみたい。いい迷惑だよね」
「同じ人間なのに理解出来ないって、こういう事なのかな……」
来てくれた警察の人にも一旦帰って貰い、喫茶店のマスターにお礼を言って店の方に戻らせてもらった。
「せっかくだし、パフェでも」
マカロンさんの提案でまたパフェを注文することになった。美味しいんだけどそれより先にマカロンさんが身を乗り出して話し始める。
「それよりカナさん!シラスたんがおっきくなっちゃった!」
「あはは~!良い名前でしょ?白洲啓介。マカがつけてくれたの」
そして当の本人はのんびりとしてほんわか笑っている。シラスだから白洲ってどういう事なの?
「う、うん……普通の人間サイズだね……」
あの小魚が急成長である。
「こんなにおっきくなっちゃうと私が作った服を着て貰えないんだけど!」
「その時はちゃんとドールサイズになるって言ってるでしょう?大きさ結構自由自在なんだから~」
「ドールサイズのシラスたんとラブラブデートしたかったのに!」
「かなさんを驚かそうって言ってたのはマカだよね??」
えっ……何?この二人滅茶苦茶仲が良いの?なんか……
「恋人同士みたいですね」
「油揚げもそう思う?」
「はい!」
鞄の中から声がして狐のぬいぐるみに戻った油揚げが屈託ない笑顔をしている。
「油揚げや、これはもしかして惚気られている、という奴なのでは?」
「そうでしょうか?ただ、カナさんのお見立ては最高に正しかったってことかなって!」
油揚げは本当にいい奴!二人をうらやむより先に私の事を褒めてくれるなんて……。
「油揚げ~ありがとう。さっきはちゃんと油揚げになっててくれてありがとうね~」
「僕もああいう悪意をドロドロさせている人の所には行きたくありませんし!」
大丈夫、油揚げをあの人に上げる気なんてこれっぽっちも起きなかったよ!マカロンさんとシラスがイチャイチャしてるなら私だって油揚げと楽しくおしゃべりだ。傍から鞄に向ってぼそぼそいってる寂しい女だけどね……。
「と、とにかくかなさんにはお礼を言いたくて。シラスが家に来てから楽しくて楽しくて。こうやって一緒に出掛けてくれるのも嬉しいし、作った服を着てくれるのも嬉しいし……」
マカロンさんは照れ笑い。ああ、良かった、マカロンさんも笑顔だし、シラスも嬉しそうだ。私は良い事をしたと思う。
「カナさんは巫女としての能力が高いですから、適所に振り分け連れて行ってくれる……。ありがとうカナさん。カナさんのお陰で私は消えずにすみましたし、こうして毎日楽しいです。これからも色んな人達がカナさんに助けを求めると思いますが、どうかお力の及ぶ範囲でいいので助けてやってください」
「巫女?誰が??」
「かなさんが、油揚げさんの巫女でしょう?狐の巫女ってこの辺りじゃ結構有名人ですよ」
へ……初耳なんだけど……?あとこの辺りってなに?え??
「どゆこと?」
私はシラスより油揚げに聞いてみた。狐の巫女、狐っていったら油揚げだろう??
「し、知りません……けど」
なんともまあ頼りない返事が返ってきちゃった。もう、油揚げはこういう時困る!
「……もしかして、油揚げさんに自覚はないんですか??あんなにかなさんと一緒にいるのに!因みにマカは私の巫女ですよ?海神の巫女、素敵でかっこ良いでしょう」
「巫女って言っても大してやる事ないけどな!毎日シラスたんをお風呂に入れたりするだけだもん!」
「やっぱ付き合ってるんだ」
「え!?いや、そういうときはシラスたんは半分魚だし!?」
これは付き合っているに違いないぞ!!一緒にお風呂入るんだ!きゃーーーー!
1
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
鬼の御宿の嫁入り狐
梅野小吹
キャラ文芸
▼2025.2月 書籍 第2巻発売中!
【第6回キャラ文芸大賞/あやかし賞 受賞作】
鬼の一族が棲まう隠れ里には、三つの尾を持つ妖狐の少女が暮らしている。
彼女──縁(より)は、腹部に火傷を負った状態で倒れているところを旅籠屋の次男・琥珀(こはく)によって助けられ、彼が縁を「自分の嫁にする」と宣言したことがきっかけで、羅刹と呼ばれる鬼の一家と共に暮らすようになった。
優しい一家に愛されてすくすくと大きくなった彼女は、天真爛漫な愛らしい乙女へと成長したものの、年頃になるにつれて共に育った琥珀や家族との種族差に疎外感を覚えるようになっていく。
「私だけ、どうして、鬼じゃないんだろう……」
劣等感を抱き、自分が鬼の家族にとって本当に必要な存在なのかと不安を覚える縁。
そんな憂いを抱える中、彼女の元に現れたのは、縁を〝花嫁〟と呼ぶ美しい妖狐の青年で……?
育ててくれた鬼の家族。
自分と同じ妖狐の一族。
腹部に残る火傷痕。
人々が語る『狐の嫁入り』──。
空の隙間から雨が降る時、小さな体に傷を宿して、鬼に嫁入りした少女の話。
トランスファは何個前? Watch your step.
梅室しば
キャラ文芸
【たった一つの窓に映る彗星を巡り、利玖と古の神々の思惑が交錯する。】
熊野史岐が見つけた湖畔のカフェ「喫茶ウェスタ」には美しい彗星の絵が飾られていた。後日、佐倉川利玖とともに店を訪れた史岐は、店主の千堂峰一に「明日なら彗星の実物が見られる」と告げられる。彗星接近のニュースなど見当たらない中、半信半疑で店を再訪した二人は、曇り空にもかかわらず天窓に映った巨大な彗星を目の当たりにする──。
※本作はホームページ及び「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
【完結】追放住職の山暮らし~あやかしに愛され過ぎる生臭坊主は隠居して山でスローライフを送る
張形珍宝
キャラ文芸
あやかしに愛され、あやかしが寄って来る体質の住職、後藤永海は六十五歳を定年として息子に寺を任せ山へ隠居しようと考えていたが、定年を前にして寺を追い出されてしまう。追い出された理由はまあ、自業自得としか言いようがないのだが。永海には幼い頃からあやかしを遠ざけ、彼を守ってきた化け狐の相棒がいて、、、
これは人生の最後はあやかしと共に過ごしたいと願った生臭坊主が、不思議なあやかし達に囲まれて幸せに暮らす日々を描いたほのぼのスローライフな物語である。
冷たい舌
菱沼あゆ
キャラ文芸
青龍神社の娘、透子は、生まれ落ちたその瞬間から、『龍神の巫女』と定められた娘。
だが、龍神など信じない母、潤子の陰謀で見合いをする羽目になる。
潤子が、働きもせず、愛車のランボルギーニ カウンタックを乗り回す娘に不安を覚えていたからだ。
その見合いを、透子の幼なじみの龍造寺の双子、和尚と忠尚が妨害しようとするが。
透子には見合いよりも気にかかっていることがあった。
それは、何処までも自分を追いかけてくる、あの紅い月――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~
朝倉矢太郎(BELL☆PLANET)
キャラ文芸
長きに渡る日本奪還の戦いも、いよいよこれで最終章。
圧倒的な力を誇る邪神軍団に、鶴と誠はどのように立ち向かうのか!?
この物語、とうとう日本を守りました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
【完結】神々の薬師
かのん
キャラ文芸
神々の薬師は、人に顔を見せてはいけない。
何故ならば、薬師は人であって人ではない存在だから。
選ばれたものらは、自らの願いを叶えた対価として、薬師へと姿を変える。
家族や親しい人ら、そして愛しい人からも自分の記憶は消えるというのに、それでも叶えたい願いとは何だったのか。それすらも、もう遠い記憶。
これは一人の神々の薬師の少女が織りなす物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
乙女フラッグ!
月芝
キャラ文芸
いにしえから妖らに伝わる調停の儀・旗合戦。
それがじつに三百年ぶりに開催されることになった。
ご先祖さまのやらかしのせいで、これに参加させられるハメになる女子高生のヒロイン。
拒否権はなく、わけがわからないうちに渦中へと放り込まれる。
しかしこの旗合戦の内容というのが、とにかく奇天烈で超過激だった!
日常が裏返り、常識は霧散し、わりと平穏だった高校生活が一変する。
凍りつく刻、消える生徒たち、襲い来る化生の者ども、立ちはだかるライバル、ナゾの青年の介入……
敵味方が入り乱れては火花を散らし、水面下でも様々な思惑が交差する。
そのうちにヒロインの身にも変化が起こったりして、さぁ大変!
現代版・お伽活劇、ここに開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる