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30 シラスたん!

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「kanaさんとお見受けしましたーーー!わたし、私怪しい者ではございませんんんん」

「うわっ!めっちゃ怪しい系女子!なんだなんだ!」

「ひえ」

 まなやんさんと一緒にカラオケ屋さんから出ると、店の前で怪しい女性に突撃された。こ、怖いんだけど!?

「お?こちらのイケメンの顔は分からないけれど、声は知ってる。まなやんだ!いつも見てます~ゲーム実況好きなんです~」

「あ、ども」

 はあ?まなやんさんのファンかあ……あーびっくりした。まなやんさんくらいになれば顔出しはしてなくてもバレちゃうこともあるだろうし、大変だなあ……そっと距離を取ってフェードアウトしよっと……。

「ってぇ!まなやんのサイン欲しいじゃなくてーーーー!kanaさんですよね!羊毛フェルトのシラスたんの飼い主のkanaさん!」

「ち、違いますけど」

 思わず否定してしまった。そう言えばこの人、最初に私に声をかけて来たんだった……うう、な、何の用でしょうかっ!!

「立ち話もなんなので、向こうに喫茶店に入りましょう!パフェが美味しいですよ、私おごります」

「いえあの……」

「パフェ……」

 やばい、まなやんさんが食い物に釣られてる!まなやんさん!まなやんさん!駄目ですついて行っちゃだめええええ!なんて思いつつも、私もその女の人について行ってしまった……パフェぇ。

「苺ショートケーキパフェとチョコレートファッジマウンテンを二つでお願いします」

 女の人……20代後半だろうか、私よりも少し年上と言った感じで、白いシャツに黒いスカートの普通のお姉さんが「おごるから!」とパフェを注文してくれた。結構すぐにパフェは奥まった席を選んだ私達の元にやってきた。

「まずは食べましょうか」

「はい……」

「久しぶりだああいただきます!」

 男の人って意外とパフェ好き多いよね、なんて思いながらもぺろりと平らげてしまった。すんごい美味しかった。

「あの、私……趣味でドールをやっているものでして……」

「ドール?お人形ですか?」

「ええ、まあそういう感じの球体関節人形なんですけれど」

 スマホを見せてくれる。そこには綺麗でかなり大きな人形の写真があった。あ、ネットで見たことあるかも。

「こういう子達のお洋服を趣味で作っています……それで……あの!シラスたんを!シラスたんを私の嫁に下さい!!!」

「熱烈な愛の告白!」

 この人、名前をダークマカロンさんと言うらしいのですが、この人が「シラスたん」の人でした。

「可愛い、可愛いよ。シラスたん!あの優しい感じ、ぺったんこの体。人魚嘘でしょ、シラスでしょ感。いい、すごくいい!」

 マカロンさんは両手を組んで悦に入ってます。

「かなさん……これは危険な種類の人間です……。このままいけばシラスさんはきっと色々な服を着せられちょっとエッチなポーズを取らされて写真をいっぱい写されネットにアップされてしまいますよ!」

「大正解!」

 ダークマカロンさんは隠す気もないようです。

「お願いです!kanaさん!シラスたんをわが手に!!」

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