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28 僕は下僕じゃないです
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「さあ、乗ってください!シラスさん。僕もなんだか最近力がみなぎるんです!」
「ありがとうございます。油揚げさん。では失礼して……」
「はいっ!うっ……きゃっ!」
「……ごめんなさい、油揚げさん……」
油揚げは今日もシラスを背中に乗せようとして潰されている。シラスは人魚なので、下半身が魚の尻尾。上手く地上を歩けないので、油揚げに乗って移動しようという作戦なのだ。動画を見る人が増えるたびに、お気に入り登録が増えるたびに油揚げとシラスの力は戻って行っているような気がする。実際に油揚げはだいぶ狐っぽくなってきた。以前のシラスなら簡単に背中に乗せられただろう。
でもシラスの方が大きくなっているんだ。しかもなんか可愛くなってる……。
「私、オスなんですけれど……なんだか、最近……メスっぽくなってませんか?」
「……やっぱり人魚に求める物って女性的なフォルムが多いと思うんだよねえ」
「せ、性転換しちゃうんでしょうか!?せ、せめて男の娘くらいでなんとかなりませんかね!?」
私に言われても分からないなあ……。
シラスたん
こう呼ばれている。なんか熱狂的なシラスファンの人が居て、いつもいつもコメントをくれるんだけど、ちょっと……大丈夫なのか心配。でもシラスの事は本当に可愛いと思っていてくれるみたいで、毎日毎日見てくれているらしい。毎日毎日熱い気持ちをいただいたせいかシラスが油揚げより大きくなっていっている……気がする。
シラスたんと下僕可愛い!
「かなさあん……僕、僕、シラスさんの下僕じゃないです~~~~!」
「大丈夫分かってるよ、私もシラスも。ネットには面白い事を言う人がいっぱいいるからね?」
「ひぃん」
でもまあスーパーのパックに入っていたシラスは私が買わなきゃどこかの誰かに食べられてそのまま消化されていた所だったんだ。
「かなさんは命の恩人です。しかもこうしてお世話までしてくれて……油揚げさんは大切な友人ですよ、下僕なんかじゃありません」
「シラスさん……」
シラスは物腰が柔らかい。だから女の子っぽいと思われちゃうのかなぁ?でも油揚げにはそれが嬉しいらしくて仲良くしているんだ。
「シラスさんを乗せても潰れないように、体を鍛えますね!」
「頑張って、油揚げ」
油揚げだってどんどん狐っぽくなっている。もういなり寿司じゃない。胡麻粒の目もちょっとづつ大きくなって黒豆くらいあるし、手足もちょっとだけ長くなって先が黒くなっているキタキツネ仕様だ。尻尾のもふもふもかなり大きくなっているし、体の大きさだっていなり寿司時代の3倍はあるだろう。
「でもやっぱり油揚げは油揚げなんだよなあ~」
「何か言いました?かなさーん?」
テーブルの上でシラスと遊んでいる油揚げに「何でもないよ」と声をかける。いつも通りの油揚げにほっとした。
「ありがとうございます。油揚げさん。では失礼して……」
「はいっ!うっ……きゃっ!」
「……ごめんなさい、油揚げさん……」
油揚げは今日もシラスを背中に乗せようとして潰されている。シラスは人魚なので、下半身が魚の尻尾。上手く地上を歩けないので、油揚げに乗って移動しようという作戦なのだ。動画を見る人が増えるたびに、お気に入り登録が増えるたびに油揚げとシラスの力は戻って行っているような気がする。実際に油揚げはだいぶ狐っぽくなってきた。以前のシラスなら簡単に背中に乗せられただろう。
でもシラスの方が大きくなっているんだ。しかもなんか可愛くなってる……。
「私、オスなんですけれど……なんだか、最近……メスっぽくなってませんか?」
「……やっぱり人魚に求める物って女性的なフォルムが多いと思うんだよねえ」
「せ、性転換しちゃうんでしょうか!?せ、せめて男の娘くらいでなんとかなりませんかね!?」
私に言われても分からないなあ……。
シラスたん
こう呼ばれている。なんか熱狂的なシラスファンの人が居て、いつもいつもコメントをくれるんだけど、ちょっと……大丈夫なのか心配。でもシラスの事は本当に可愛いと思っていてくれるみたいで、毎日毎日見てくれているらしい。毎日毎日熱い気持ちをいただいたせいかシラスが油揚げより大きくなっていっている……気がする。
シラスたんと下僕可愛い!
「かなさあん……僕、僕、シラスさんの下僕じゃないです~~~~!」
「大丈夫分かってるよ、私もシラスも。ネットには面白い事を言う人がいっぱいいるからね?」
「ひぃん」
でもまあスーパーのパックに入っていたシラスは私が買わなきゃどこかの誰かに食べられてそのまま消化されていた所だったんだ。
「かなさんは命の恩人です。しかもこうしてお世話までしてくれて……油揚げさんは大切な友人ですよ、下僕なんかじゃありません」
「シラスさん……」
シラスは物腰が柔らかい。だから女の子っぽいと思われちゃうのかなぁ?でも油揚げにはそれが嬉しいらしくて仲良くしているんだ。
「シラスさんを乗せても潰れないように、体を鍛えますね!」
「頑張って、油揚げ」
油揚げだってどんどん狐っぽくなっている。もういなり寿司じゃない。胡麻粒の目もちょっとづつ大きくなって黒豆くらいあるし、手足もちょっとだけ長くなって先が黒くなっているキタキツネ仕様だ。尻尾のもふもふもかなり大きくなっているし、体の大きさだっていなり寿司時代の3倍はあるだろう。
「でもやっぱり油揚げは油揚げなんだよなあ~」
「何か言いました?かなさーん?」
テーブルの上でシラスと遊んでいる油揚げに「何でもないよ」と声をかける。いつも通りの油揚げにほっとした。
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