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22 食品からの脱却
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油揚げを置いて会社へ行く。地味に事務の仕事をこなして、夕飯を仕入れて家に帰る。
「かなしゃん……」
「……一人で留守番寂しかった?」
「はい……」
玄関を開けると、いなり寿司が一つ玄関でちょこんと待っていてくれた。
「ぽんたは元気かな……」
「油揚げより元気かもしれないよ?」
いなり寿司の角を耳のように垂れ下がらせて油揚げはしょげかえっている。
「はい……」
そして、そこからスマホがうるさい。
ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。
何かの通知音が鳴り続ける。
ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。
うるさい。
「もーなんなの……あれ?アイチューブの登録者通知……?何でこんなに……」
私のアイチューブのお気に入り登録者がめちゃくちゃ増えてる??なんで?
「あ、も、もしかして!」
急いでアイチューブを開いてまなやんさんを検索する。あった!
「あ、新しい動画上げてる……あーーーっ!!」
「かなさん??」
「みて!油揚げ、ぽんただ!」
まなやんさんの動画にもうぽんたが登場していた。
「こんばんはー!まなやんです!今日からぽんたも一緒だよ!」
「よろしくお願いします。ぽんたです」
「実はですねー偶然に同じアイチューバーのkanaさんと街であって!僕の頭の上にぽんたが!」
「上手く着地したよ」
「運命の出会いだったねー!」
と、楽しそうにやりとりしていて、あろう事かまなやんさんは
「これがkanaさんのアドレスでね、可愛い動画がいっぱいで僕もお気に入り登録してるんだ!」
なーんて宣伝してくれちゃってた!!
「だからなのね……」
すんごい見てもらって、すんごいコメント来てる!!
「油揚げ!油揚げ!凄い可愛いって!」
「え?わぁ!嬉しいです」
頬を染めるいなり寿司という不思議な物体になっているけれど、たくさんのコメントに驚いてしまう。
「では油揚げ、今の気持ちをどうぞ!」
「皆さん、こんにちは。油揚げです。いなり寿司ですが、油揚げです。いまなら狐に戻れそうです!えーい、こんこんの、こーーーん!」
バク転をするいなり寿司って中々ない絵面だけど、更にぽん!と音を立てて、油揚げは食品から動物へ進化した。
「わ、やったーーー!狐に戻れたぁーーー!」
「わ!おめでとう!」
そこには一応狐、でもかなりいなり寿司の物体がやっぱり短い手足で4足歩行していた。
うんうん、良かったねえ!
「うわーーん!やっと、やっとですーー!ぽんたさーん!僕はやりましたよーーー」
胡麻粒の目を多分うるうるさせて今は亡き(死んでない)相方に報告する。良かったねえ、油揚げ。
「今日は気持ちよく寝れていい夢を見られそうです!」
油揚げ、君はいつでも快眠だろう?
「かなしゃん……」
「……一人で留守番寂しかった?」
「はい……」
玄関を開けると、いなり寿司が一つ玄関でちょこんと待っていてくれた。
「ぽんたは元気かな……」
「油揚げより元気かもしれないよ?」
いなり寿司の角を耳のように垂れ下がらせて油揚げはしょげかえっている。
「はい……」
そして、そこからスマホがうるさい。
ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。
何かの通知音が鳴り続ける。
ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。ヴー。
うるさい。
「もーなんなの……あれ?アイチューブの登録者通知……?何でこんなに……」
私のアイチューブのお気に入り登録者がめちゃくちゃ増えてる??なんで?
「あ、も、もしかして!」
急いでアイチューブを開いてまなやんさんを検索する。あった!
「あ、新しい動画上げてる……あーーーっ!!」
「かなさん??」
「みて!油揚げ、ぽんただ!」
まなやんさんの動画にもうぽんたが登場していた。
「こんばんはー!まなやんです!今日からぽんたも一緒だよ!」
「よろしくお願いします。ぽんたです」
「実はですねー偶然に同じアイチューバーのkanaさんと街であって!僕の頭の上にぽんたが!」
「上手く着地したよ」
「運命の出会いだったねー!」
と、楽しそうにやりとりしていて、あろう事かまなやんさんは
「これがkanaさんのアドレスでね、可愛い動画がいっぱいで僕もお気に入り登録してるんだ!」
なーんて宣伝してくれちゃってた!!
「だからなのね……」
すんごい見てもらって、すんごいコメント来てる!!
「油揚げ!油揚げ!凄い可愛いって!」
「え?わぁ!嬉しいです」
頬を染めるいなり寿司という不思議な物体になっているけれど、たくさんのコメントに驚いてしまう。
「では油揚げ、今の気持ちをどうぞ!」
「皆さん、こんにちは。油揚げです。いなり寿司ですが、油揚げです。いまなら狐に戻れそうです!えーい、こんこんの、こーーーん!」
バク転をするいなり寿司って中々ない絵面だけど、更にぽん!と音を立てて、油揚げは食品から動物へ進化した。
「わ、やったーーー!狐に戻れたぁーーー!」
「わ!おめでとう!」
そこには一応狐、でもかなりいなり寿司の物体がやっぱり短い手足で4足歩行していた。
うんうん、良かったねえ!
「うわーーん!やっと、やっとですーー!ぽんたさーん!僕はやりましたよーーー」
胡麻粒の目を多分うるうるさせて今は亡き(死んでない)相方に報告する。良かったねえ、油揚げ。
「今日は気持ちよく寝れていい夢を見られそうです!」
油揚げ、君はいつでも快眠だろう?
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