【完結】油揚げの動画配信サービス始めます。妖怪はwebの海を行く。

3 いなり寿司に尻尾と目が！

「カナさん、見てくださいよ、尻尾が生えたんです」

「おお！可愛い！油揚げ」

　なんと、ツイッツーのいなり寿司の画像にイイっす！が5個付いた時だった。いなり寿司になった油揚げに油揚げ色の尻尾が生えて来たのだ。

「ご丁寧に尻尾の先は白い。キタキツネ仕様だ！」

「照れますぅ～！」

　油揚げはいなり寿司ボディをくにゃりと照れて身を捻ったようだが、良くわからない。

「写真撮っていい？」

「イケメンにお願いしますよ！」

　油揚げはカメラ目線で、キリッとした？表情を作った……ようだった。多分。いや、いなり寿司に顔なんてないし……。

「えーと、尻尾が生えましたっとアップ～！」

　すると、イイっすボタンがぽんぽんと押される。

「あはは！みんないなり寿司好きだなー！」

　ただのいなり寿司に尻尾のような油揚げの端っこが付いているだけの……まあブサイク画像だが、腹減った人が多いのかな？イイっすが10個ついてコメントが一つ入った。

可愛い❤️

　たった一言だったが、油揚げに変化が起こった。

　ぱちくり！まるで黒ゴマを３つ並べたようだが目と鼻らしき物が現れたんだ。

「ごまかな？また黒かび？」

「違いますカナさん！目ですよ、目！」

「へえ！」

　油揚げは楽しそうにごまの目をあけたり閉じたりしている。見た目大して変わらないが、わたしには油揚げが瞬きしていると認識できた。

「折角だ、お披露目しよう」

　ばしゃり、写真をアップする

「目が出来ましたっと」

　するとずっと見ているだろう人達からイイっすがぽんぽん入った。お、12個だ、やったな、油揚げ！人気者だ。

「目だ」「つぶら❤️」

　コメントが二つ。ふふ、良かったな油揚げ！

　二人でスマホを見ながら笑い、その日は眠る事にした。

「油揚げ、腐ると辛いが、冷蔵庫は寒いし、中の飯が硬くなるかもしれないよ、どうする？」

「冷蔵庫にしておきます」

　小皿の上に油揚げを乗せ、明日寝ぼけてかじらないように気をつけようと誓って眠りについた。

　もう油揚げって感じじゃなくなったよなー？なんて呼ぼうかな？なんだかんだで私は油揚げが気に入っている。