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友の名は
21 サラ目線 ファル
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私達は小さな村の幼なじみだった。2人とも豊かではない家に生まれ、思った。
大きくなったら冒険者になって、楽な暮らしがしたい!って。
だから、2人で冒険者アカデミーに入った。昔はこんな立派なものはなくて、1日くらいの研修で冒険者になれたみたいだった。
アカデミーなんてだりぃよ!適当に話をして聞いたらすぐに冒険者ギルドに行って薬草摘みの依頼でも受けた方が金にも実績にもなるぜ!
皆んな、こう言っていた。
でもモンスター倒すんだよね……?大した武器もないのに、少し怖いな……。
そう思っていた時、その人に会ったんだ。
「いつまでアカデミーに居るんだよ、だっせぇ!」
「……」
その人は同じくらいの剣士の男になじられながらも、無言の魔法使いだった。私達、転職したばかりの間でも少し話題になっている人だった。
ずっとアカデミーにいるヤツがいるって。
だって、皆んなすぐ街の冒険者ギルドに行くのに、その人はアカデミーで依頼を受けているんだもの。アカデミーの依頼なんて安いし、お金にも経験にも大してならないって皆知ってるのに。
少し気になって話してみたら、良い人だった。
「なんで卒業バッジ貰わないんだ?皆んなつよい知り合いがいるんだろうなー」
俺は装備も不安だし、知り合いは来ないし……だからアカデミーの装備を貰おうと思って。と、言う。
え?卒業バッジってなに?強い??何それ知らない。アカデミーって卒業試験とかあるの???
「あー説明よりやってみたら?」
ファルセットの名乗った人は、私達にそう提案してきた。
自分はだいぶ進んでいるのに、わざわざ私達を待っていてくれて、途中からからは一緒に依頼をこなした。
ずいぶん面倒見の良い人だなぁ、そう思った。
無事、卒業バッジも貰い、いざ実践と思ったら、とんでもない事を提案してきた。
「帝国に狩に行くんだけど、一緒に行かない?」
帝国ってどこ?!?!もう、そこから謎だった。見た事もない乗り物を乗り継ぎ、着いた場所はあり得ないくらい強いモンスターがひしめき合う場所だった。
門番さんが青い顔で
「お前ら!なんでこんなところに来てるんだ!はやく帰りなさい!」
と、必死で止めてくれたが、ファルは涼しい顔だった。
「いーのいーの」
私達を岩陰に隠して、ファルは魔物を殲滅し始める。
「非移動だからね」
非移動って何?!私達はそこからだった。ただ、隠れて座っているだけで、ありえない速度でレベルが上がる。何の夢か分からなかった。
「非移動は……植物型のモンスターに多く、一度根を張るとその場から動かないタイプ。遠距離魔法で攻撃すれば無傷で倒せる事もあるが、回復技を使う物が多いため、討伐は困難って書いてあるんだけど……」
「バンバン倒してるわね……?」
何かがファルは違った。まず、そもそも、モンスターを倒すことを「狩る」と言う。狩る、つまりモンスターは獲物であって、自分達が圧倒的に有利である。そんな雰囲気だった。
確かに今、ファルは狩りをしている。無傷でモンスターを一方的に焼き尽くしていた。
あっという間に、私達は上級職に上がり……魔法の威力が上がったファルはもっともっと強い敵を蹂躙していった。
私とリディアはぼけーっとしているだけで、とうとうレベルが99になってしまった。最高レベルだ。
私達の少し前にアカデミーを出ていった男の人はまだ剣士で
「ありえねぇだろ!」
と喚いていたが、私たちもあり得ないと思った。
「ほら、行くよ。特殊転生だ」
ファルは本でしか見たことのない転生をみんなでしようと言う。
「この人が連れて行ってくれるんだ」
アカデミーにいる普通のおじさんがまさか……。私達は様子を見てやめておくと伝えると、怒りもしないて
「分かった、じゃあね!」
と、ファルは消えてしまった。一体どうなったのか……。悶々とナディアと過ごしていたら、ファルが飛び込んで来る。
「生産職だ!やさぐれ生産職がいる!」
わけが分からなかった。
2人も生産職をスカウトしてきてくれと頼まれる。あまり怖くなさそうな女の子に声をかけた。
「転生してこようか!!」
ほぼ強引に話を進められたが….悪い気はしなかった。それになんだかワクワクする。
ファルといると、退屈なんて絶対にしなかった。
アイーダとファーナと4人で戦った時は、なかなかレベルが上がらなくて大変だったけれど、こう言うのが普通だよね?と納得した。
でも全員のレベルが高くなってファルと組めるようになると、やっぱりファルが異常だと再確認させられた。
早い!強い!怖い!でも楽しかった。皆んな強くなり、もう強さの限界、これ以上強くなれないと言うところまで来たのにファルはもっと上があるのだと言う。
流石に信じられなかった。今でも私達は十分に強い。あの村でナディアと楽な暮らしがしたいと夢に描いた理想の生活をしている。
実家に仕送りをしてもまだまだ贅沢もできる。魔物ももう簡単に倒せる。冒険者ギルドでも一目置かれ、皆んな羨望の眼差しでみてくる。
それなのにファルは戦うのをやめなかった。今思えばどうしてついていかなかったんだろうと後悔する。
だってファルはどんどん強くなっていく。
私達はきっと油断をしていたんだろう。だって最高レベルは99。どう頑張ってもそれ以上は上がらない。
だからファルに置いていかれる事はないって。
ファルもちゃんとクランハウスに来るって約束してくれたし。
「それなのに、それなのに……レベル156ってどういうことよーーーファルーー!」
うわーん!
大きくなったら冒険者になって、楽な暮らしがしたい!って。
だから、2人で冒険者アカデミーに入った。昔はこんな立派なものはなくて、1日くらいの研修で冒険者になれたみたいだった。
アカデミーなんてだりぃよ!適当に話をして聞いたらすぐに冒険者ギルドに行って薬草摘みの依頼でも受けた方が金にも実績にもなるぜ!
皆んな、こう言っていた。
でもモンスター倒すんだよね……?大した武器もないのに、少し怖いな……。
そう思っていた時、その人に会ったんだ。
「いつまでアカデミーに居るんだよ、だっせぇ!」
「……」
その人は同じくらいの剣士の男になじられながらも、無言の魔法使いだった。私達、転職したばかりの間でも少し話題になっている人だった。
ずっとアカデミーにいるヤツがいるって。
だって、皆んなすぐ街の冒険者ギルドに行くのに、その人はアカデミーで依頼を受けているんだもの。アカデミーの依頼なんて安いし、お金にも経験にも大してならないって皆知ってるのに。
少し気になって話してみたら、良い人だった。
「なんで卒業バッジ貰わないんだ?皆んなつよい知り合いがいるんだろうなー」
俺は装備も不安だし、知り合いは来ないし……だからアカデミーの装備を貰おうと思って。と、言う。
え?卒業バッジってなに?強い??何それ知らない。アカデミーって卒業試験とかあるの???
「あー説明よりやってみたら?」
ファルセットの名乗った人は、私達にそう提案してきた。
自分はだいぶ進んでいるのに、わざわざ私達を待っていてくれて、途中からからは一緒に依頼をこなした。
ずいぶん面倒見の良い人だなぁ、そう思った。
無事、卒業バッジも貰い、いざ実践と思ったら、とんでもない事を提案してきた。
「帝国に狩に行くんだけど、一緒に行かない?」
帝国ってどこ?!?!もう、そこから謎だった。見た事もない乗り物を乗り継ぎ、着いた場所はあり得ないくらい強いモンスターがひしめき合う場所だった。
門番さんが青い顔で
「お前ら!なんでこんなところに来てるんだ!はやく帰りなさい!」
と、必死で止めてくれたが、ファルは涼しい顔だった。
「いーのいーの」
私達を岩陰に隠して、ファルは魔物を殲滅し始める。
「非移動だからね」
非移動って何?!私達はそこからだった。ただ、隠れて座っているだけで、ありえない速度でレベルが上がる。何の夢か分からなかった。
「非移動は……植物型のモンスターに多く、一度根を張るとその場から動かないタイプ。遠距離魔法で攻撃すれば無傷で倒せる事もあるが、回復技を使う物が多いため、討伐は困難って書いてあるんだけど……」
「バンバン倒してるわね……?」
何かがファルは違った。まず、そもそも、モンスターを倒すことを「狩る」と言う。狩る、つまりモンスターは獲物であって、自分達が圧倒的に有利である。そんな雰囲気だった。
確かに今、ファルは狩りをしている。無傷でモンスターを一方的に焼き尽くしていた。
あっという間に、私達は上級職に上がり……魔法の威力が上がったファルはもっともっと強い敵を蹂躙していった。
私とリディアはぼけーっとしているだけで、とうとうレベルが99になってしまった。最高レベルだ。
私達の少し前にアカデミーを出ていった男の人はまだ剣士で
「ありえねぇだろ!」
と喚いていたが、私たちもあり得ないと思った。
「ほら、行くよ。特殊転生だ」
ファルは本でしか見たことのない転生をみんなでしようと言う。
「この人が連れて行ってくれるんだ」
アカデミーにいる普通のおじさんがまさか……。私達は様子を見てやめておくと伝えると、怒りもしないて
「分かった、じゃあね!」
と、ファルは消えてしまった。一体どうなったのか……。悶々とナディアと過ごしていたら、ファルが飛び込んで来る。
「生産職だ!やさぐれ生産職がいる!」
わけが分からなかった。
2人も生産職をスカウトしてきてくれと頼まれる。あまり怖くなさそうな女の子に声をかけた。
「転生してこようか!!」
ほぼ強引に話を進められたが….悪い気はしなかった。それになんだかワクワクする。
ファルといると、退屈なんて絶対にしなかった。
アイーダとファーナと4人で戦った時は、なかなかレベルが上がらなくて大変だったけれど、こう言うのが普通だよね?と納得した。
でも全員のレベルが高くなってファルと組めるようになると、やっぱりファルが異常だと再確認させられた。
早い!強い!怖い!でも楽しかった。皆んな強くなり、もう強さの限界、これ以上強くなれないと言うところまで来たのにファルはもっと上があるのだと言う。
流石に信じられなかった。今でも私達は十分に強い。あの村でナディアと楽な暮らしがしたいと夢に描いた理想の生活をしている。
実家に仕送りをしてもまだまだ贅沢もできる。魔物ももう簡単に倒せる。冒険者ギルドでも一目置かれ、皆んな羨望の眼差しでみてくる。
それなのにファルは戦うのをやめなかった。今思えばどうしてついていかなかったんだろうと後悔する。
だってファルはどんどん強くなっていく。
私達はきっと油断をしていたんだろう。だって最高レベルは99。どう頑張ってもそれ以上は上がらない。
だからファルに置いていかれる事はないって。
ファルもちゃんとクランハウスに来るって約束してくれたし。
「それなのに、それなのに……レベル156ってどういうことよーーーファルーー!」
うわーん!
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