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11 助けを求めるも……。
しおりを挟む「最初の神との対話は済んでいらっしゃいますね。ああ、聖別された魂の輝きを感じます……流石、勇者様のお兄様でいらっしゃいます……」
「あ……はあ……」
俺自身はよくわからないから気のない返事をするしかない。神殿の白い石づくりの祈りの間というところは確かに静謐で、神聖な感じがしているような気がする。広い部屋の中、奥中央に大きな女神の立像がある。あ! 確かに俺と妹があったの、あの人だわ、人じゃない、神だった女神様だった。よく見たら凄い美人だ……!
神官長さんにいわれるままに、立像の前に座り両手を組んで祈ってみた……あれ? なんかご機嫌な思念が脳裏に響いた。
《ありがとう、ハルト。頑張っていますね……この調子で世界を頼みますよ……貴方の力で傷ついた人を癒してあげてください……美人ですって、嬉しいわ》
《はっ女神様!? 生きてた、じゃなくて! そんなことよりこの世界の設定どうにかしてください、何かよくわからないんですが、全世界の半分の人類、ええ男性が俺に異常な好意を向けてくる気がするんです、そこをなんとかしてください、そうじゃないと怖くて夜もゆっくり眠れない気がするんですお願いたすけて助けてーー!》
《大丈夫ですよ……ハルト。世界の半分ではありません……お年を召した方や、配偶者がいる方、あまりに年端の行かない幼子などは除外されております……。それは仕方がないのです。年頃の女性が全て青葉のことを愛しているのです、それがチーレムというものなのです……ですから男性はあなたの担当です……そういうことなのです》
《それをなんとかしてくださいよって訴えてるんですっなんとかしてください、なんとかーーーーーっ!》
《大丈夫ですよ……ハルト……貴方ならやれます。そしてあなたはあなたなりの幸せを手に入れ、良き人生を歩むのです……、ッ……あー……ッ……電波が……よわ、……充電が……あ、……--》
ちょっと、女神様!? 女神様ァ! 電波!? 充電って言ったか!?おい、おーーーいいっ!! ぶつん、ツーツーツーって電話かよ。
〈スキルが追加されました。真正神聖魔法ホワイトヒール・ワイドホワイトヒール・神の恩寵レベル40・即死効果無効(晴翔、青葉)……〉
「え……なに……」
どうやらほんの一瞬、女神様の前でお祈りをしたら色々貰えてしまったようだ。少し後ろにいた神官長さんがピカピカの石の床の上に池ができるほど涙をこぼしている……干からびちゃいますよ……?
「ああ……これが、これが神の奇跡か……! わたくしにも啓示がくだりました……全身全霊を持ってハルト様に仕えるようにと……ええ、わたくしのすべて余す所なくハルト様に捧げたい……身も心も!」
「身も心もしっかり自分で管理してくださいぃーーー!」
「あなたの為ならわたくしのすべてを捧げたい、捧げさせてくださいぃー!」
「いらねえーーー!」
俺は一目散に城へ逃げ帰ったけれど、いつの間にか回り込まれていた……!
「本日よりわたくしもハルト様と寝食を共にしたく存じます」
「は? 何をおっしゃる神官長様。貴方様は神殿の要職におられる方、さっさと神殿へお帰り下さいませ」
「ハルト様の身辺警護は我々騎士団がしっかりガッチリ寝所の中まで余す事なく見させていただきますから、神官長様はお帰り下さい」
「いえいえ、ハルト様の御身に不埒者の魔の手が伸びぬよう神が我らにお言葉を下さったのです。それに神殿は教皇様(80歳)が居られるので問題ないです」
どうしよう……変な人が増えた。やっぱり神殿へは行くべきじゃなかったのかもしれない。
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