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7 せいぎの勇者
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「何故、異物感がないのか……高級品怖い、高級品怖い」
「来ていただいた勇者様のお兄様へおかしな物をご提供などできませんから……とても良くお似合いでした」
「うわあああ……嬉しくないぃ……しかもこの服って何気に透けてませんか?」
ファンシーでレーシィな下着こそ見えていないが、着てくださいと渡された柔らかくて軽い素材のフリルやらがついたシャツ。袖の辺りをよく見ると向こうの景色がみえる……よね?あと、細身の黒いズボンは……何気に外腿のところ、透けてますよね?大事な所と素材違ってますよね??
「近頃、夏が近いせいか気温が高くなりがちですので、こちらの方が涼しいですよ」
「あ、なるほど……じゃねえよっ!」
「申し訳ございません。他の物となるともっと解析度が上昇しますが」
「何を解析したいの!?」
「失礼致しました」
しかし、本当にクローゼットにかかっていた別の服はもっと大胆に切れ込みが入っていたり、見える見える!って物だったり、ミニスカートだったり、ビキニ、かな? って物だったり。とにかくこの透けていそうなフリルシャツに透けないベストを着て、黒い疑惑アリのズボンが一番まとも……ええと、今まで俺達が暮らしていた世界でもなんとかやっていけそうな位の恰好になったので妥協した。妥協せざるを得なかった!
「良く、お似合いです」
「や、イヤリングとかやめて……」
「残念です」
過剰な装飾品をつけようとするのもやめて……俺は、ただの勇者のオマケの兄なんだからーっ!
「本当に……良くお似合いで……食べちゃいたい」
「ひっ!? 今、なんと!?」
「何もいっておりませんよ、ふふ」
そういいながら首筋をするりと撫でられてぞわわわっとした。襟を直したなんていってるけど、なんか別の目的があったでしょ? ねぇ、絶対そうでしょう!?
青葉……お兄ちゃんはもう帰りたいです、帰してください……。
部屋の中にシアと二人っきりになりたくないし、朝食もあるとのことで急いで廊下に出るとジゼルさんが立っていた。
「おはようございます、ハルト様……会いたかった」
「お、おはよう……ございます」
10年くらい離れ離れになった恋人に会えたようなそんな感動に潤んだ目で見られても困ります……てか、昨日バイバイしてから半日も立ってないですよね? てかてか騎士団長、どうしてこんな時間から俺の部屋の前に立っていたのかな? 仕事とかどうしたのかな……??
「本日も御身の警護につかせていただきたく存じます」
「ハルト様の身辺でしたら、私がお世話させていただきますので騎士団長は騎士団にお戻りください」
「っ!?」
俺の後ろにぴったりくっ付いてきていたシアが怖い声を出した……アッやだ!今日は快晴なのに、今凄い雷的な現象が室内で轟いたよ!? 怖いいいいいい!
「ほう……? 一介の執事が、ハルト様の護衛……はは、片腹が痛い」
「おや、ご不調ですか、騎士団長様。早めに医務室へ行かれるとよいでしょう。まさかハルト様の御手を煩わすような愚考はお持ち合わせではございませんよね?」
バチィ、バチバチバチィ! あっもしかして雷魔法ってこういう感じなのかな、俺雷魔法は使えない気がするや……うん、使えなくていいと思う……。壁に寄りかかって現実逃避をしよう、そうしよう……。そうやって真っ白に燃え尽きかかっていると、廊下の向こう側から能天気な元凶の声が聞こえてきた。
「兄ちゃん~おはよ~……って、え? 何、激しいじゃん?」
「おはようございます……ハルト様……」
妹、どうして片手にお姫様を連れてるのだい?しかもこれはイチャイチャしてる……ああ、俺を抱き寄せるジゼルさんと同じ顔じゃねえか……ま、まさか青葉お前!
「お前、まさかエーデリア姫と……」
「私達? 私達はとぉっても仲良しだもんねぇ?イブ?」
「ええ……素敵な夜でした……アオバ……好き……」
「イブも凄く可愛かった……今日も、ね?」
「ええ、勿論ですわ……アオバ……イブを可愛がってくださいませね?」
「もちろんよ……」
うわああああああっ! 大問題発生じゃないのかあああああっ!? 青葉、青葉! お前もしかしなくてもこの雰囲気、お前俺から取り上げたアレで、この国のお姫様をききき傷物にしたのかあああああ!?
「青葉ッ! ちょっとこい!!」
「なによおっ」
滅茶苦茶至近距離でくっ付いているエーデリア姫から青葉を引っぺがし、ちょうどあった廊下の角へ引きずる。お前もしかしなくてもなんかしちゃっただろう!
「青葉、お前まさかとは思うけど、エ、エーデリア姫をてご、手籠めにしたのか」
「したよ! エーデリアの初めて奪っちゃった~。でも青葉の初めても上げたんだからおあいこだよねっ」
「お前! 王族のお姫様を傷物になんかしたらどんなことされるか分かってんのか!」
「あーそれは大丈夫。だってこれ「せいぎの勇者様」だもん。勇者様は美少女とエッチしないと駄目なんだぞっ」
「は?」
「だーかーらー! 勇者はあらゆる美少女のエッチをして力と技を磨いて魔王に挑むゲームなの。昨日、スキル増えたでしょう? あれは私がエーデリアとエッチしたからエーデリアのスキルをコピーしたの。そうやって強力なスキルを増やすんだよ」
「は!? あの時もうエーデリア姫とヤってたのか!」
「うん! エーデリア超かわいくて……あの後3回もしちゃった!結構スキル経験値あがったでしょ?」
「嘘……だろ?」
「嘘じゃないし!」
確かにステータスと念じると頭の中にゲームでよく見るあの表示が出るイメージがあって……経験値が上がっていた……そういうシステムなの??
「勿論スキルを使用することによって得られる経験値もあるけど、エッチした方がグングン上がるんだよね。スキル自体を増やすのはやっぱりエッチだし……あと、エッチした人数で戦闘時にバフがかかるからいっぱい女の子とエッチしないとダメなんだよっ」
「し、信じられねえエロゲー!!」
「そうだよっエロゲーだよ!!」
女神様ああああああああ! どうやったら、どうやったら帰れますかあああああ!
「せいぎの勇者」のせいぎは性技だったようだ……馬鹿野郎ーー!
「来ていただいた勇者様のお兄様へおかしな物をご提供などできませんから……とても良くお似合いでした」
「うわあああ……嬉しくないぃ……しかもこの服って何気に透けてませんか?」
ファンシーでレーシィな下着こそ見えていないが、着てくださいと渡された柔らかくて軽い素材のフリルやらがついたシャツ。袖の辺りをよく見ると向こうの景色がみえる……よね?あと、細身の黒いズボンは……何気に外腿のところ、透けてますよね?大事な所と素材違ってますよね??
「近頃、夏が近いせいか気温が高くなりがちですので、こちらの方が涼しいですよ」
「あ、なるほど……じゃねえよっ!」
「申し訳ございません。他の物となるともっと解析度が上昇しますが」
「何を解析したいの!?」
「失礼致しました」
しかし、本当にクローゼットにかかっていた別の服はもっと大胆に切れ込みが入っていたり、見える見える!って物だったり、ミニスカートだったり、ビキニ、かな? って物だったり。とにかくこの透けていそうなフリルシャツに透けないベストを着て、黒い疑惑アリのズボンが一番まとも……ええと、今まで俺達が暮らしていた世界でもなんとかやっていけそうな位の恰好になったので妥協した。妥協せざるを得なかった!
「良く、お似合いです」
「や、イヤリングとかやめて……」
「残念です」
過剰な装飾品をつけようとするのもやめて……俺は、ただの勇者のオマケの兄なんだからーっ!
「本当に……良くお似合いで……食べちゃいたい」
「ひっ!? 今、なんと!?」
「何もいっておりませんよ、ふふ」
そういいながら首筋をするりと撫でられてぞわわわっとした。襟を直したなんていってるけど、なんか別の目的があったでしょ? ねぇ、絶対そうでしょう!?
青葉……お兄ちゃんはもう帰りたいです、帰してください……。
部屋の中にシアと二人っきりになりたくないし、朝食もあるとのことで急いで廊下に出るとジゼルさんが立っていた。
「おはようございます、ハルト様……会いたかった」
「お、おはよう……ございます」
10年くらい離れ離れになった恋人に会えたようなそんな感動に潤んだ目で見られても困ります……てか、昨日バイバイしてから半日も立ってないですよね? てかてか騎士団長、どうしてこんな時間から俺の部屋の前に立っていたのかな? 仕事とかどうしたのかな……??
「本日も御身の警護につかせていただきたく存じます」
「ハルト様の身辺でしたら、私がお世話させていただきますので騎士団長は騎士団にお戻りください」
「っ!?」
俺の後ろにぴったりくっ付いてきていたシアが怖い声を出した……アッやだ!今日は快晴なのに、今凄い雷的な現象が室内で轟いたよ!? 怖いいいいいい!
「ほう……? 一介の執事が、ハルト様の護衛……はは、片腹が痛い」
「おや、ご不調ですか、騎士団長様。早めに医務室へ行かれるとよいでしょう。まさかハルト様の御手を煩わすような愚考はお持ち合わせではございませんよね?」
バチィ、バチバチバチィ! あっもしかして雷魔法ってこういう感じなのかな、俺雷魔法は使えない気がするや……うん、使えなくていいと思う……。壁に寄りかかって現実逃避をしよう、そうしよう……。そうやって真っ白に燃え尽きかかっていると、廊下の向こう側から能天気な元凶の声が聞こえてきた。
「兄ちゃん~おはよ~……って、え? 何、激しいじゃん?」
「おはようございます……ハルト様……」
妹、どうして片手にお姫様を連れてるのだい?しかもこれはイチャイチャしてる……ああ、俺を抱き寄せるジゼルさんと同じ顔じゃねえか……ま、まさか青葉お前!
「お前、まさかエーデリア姫と……」
「私達? 私達はとぉっても仲良しだもんねぇ?イブ?」
「ええ……素敵な夜でした……アオバ……好き……」
「イブも凄く可愛かった……今日も、ね?」
「ええ、勿論ですわ……アオバ……イブを可愛がってくださいませね?」
「もちろんよ……」
うわああああああっ! 大問題発生じゃないのかあああああっ!? 青葉、青葉! お前もしかしなくてもこの雰囲気、お前俺から取り上げたアレで、この国のお姫様をききき傷物にしたのかあああああ!?
「青葉ッ! ちょっとこい!!」
「なによおっ」
滅茶苦茶至近距離でくっ付いているエーデリア姫から青葉を引っぺがし、ちょうどあった廊下の角へ引きずる。お前もしかしなくてもなんかしちゃっただろう!
「青葉、お前まさかとは思うけど、エ、エーデリア姫をてご、手籠めにしたのか」
「したよ! エーデリアの初めて奪っちゃった~。でも青葉の初めても上げたんだからおあいこだよねっ」
「お前! 王族のお姫様を傷物になんかしたらどんなことされるか分かってんのか!」
「あーそれは大丈夫。だってこれ「せいぎの勇者様」だもん。勇者様は美少女とエッチしないと駄目なんだぞっ」
「は?」
「だーかーらー! 勇者はあらゆる美少女のエッチをして力と技を磨いて魔王に挑むゲームなの。昨日、スキル増えたでしょう? あれは私がエーデリアとエッチしたからエーデリアのスキルをコピーしたの。そうやって強力なスキルを増やすんだよ」
「は!? あの時もうエーデリア姫とヤってたのか!」
「うん! エーデリア超かわいくて……あの後3回もしちゃった!結構スキル経験値あがったでしょ?」
「嘘……だろ?」
「嘘じゃないし!」
確かにステータスと念じると頭の中にゲームでよく見るあの表示が出るイメージがあって……経験値が上がっていた……そういうシステムなの??
「勿論スキルを使用することによって得られる経験値もあるけど、エッチした方がグングン上がるんだよね。スキル自体を増やすのはやっぱりエッチだし……あと、エッチした人数で戦闘時にバフがかかるからいっぱい女の子とエッチしないとダメなんだよっ」
「し、信じられねえエロゲー!!」
「そうだよっエロゲーだよ!!」
女神様ああああああああ! どうやったら、どうやったら帰れますかあああああ!
「せいぎの勇者」のせいぎは性技だったようだ……馬鹿野郎ーー!
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