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3 俺……男よ?

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「勇者アオバ、賢者ハルト。我が国のみならず世界の全てを手中に収めようと暗躍する魔族の王を討ち滅ぼせ!!」
「……」
「……」

 俺達は召喚された転生勇者と賢者というちょっと盛り過ぎている気もする設定らしい。そして、その俺たちに傲慢でいけすかない命令を下したのはこの国の王太子だ。
 青葉と俺は王太子に気づかれないよう視線を合わせ、頷きあった。こいつ、なんか隠してる。きっと良くない企みがある!

「あー、エーデリア姫かわゆい~」

 いけすかない王太子の妹のお姫様、エーデリア姫は俯き加減で物悲しげ……本格的に何かあるヤツ!

「じゃあ私はエーデリアちゃんと一発ヤってくるから」
「青葉、お前って奴はぁ……」

 イキイキし過ぎだろう……っ!

「兄ちゃんは情報収集たのんます! てか、ゲームに仲間の賢者なんていなかったんだ。兄ちゃんが何ができるかもわかんないから、よろしくね」
「へっ?! そうなの?? ますます俺がいる意味が分からないじゃないか……」
「そりゃ交換相手だし?」
「うわぁああ……マジでその為だけ??」

 青葉の奴は女の子に案内してもらいたいとか駄々を捏ねてエーデリア姫と一緒に消えてしまった。その様子を舌打ちをしながら見送る王太子の態度の悪いこと。好感度があれば駄々下がりのマイナスってとこだろうな。

「勇者でもなく、しかも男……騎士団長、お前が相手をしてやれ」
「畏まりました」

 俺の横に背の高いイケメンが現れた。この人が騎士団長さんか。

「賢者ハルト様、この度は我が国の呼び掛けに応じていただき誠にありがとうございます。全国民に代わりお礼申し上げます」

 金髪に青い目……鍛えている騎士らしくしっかりした体つき、それでいて手足が長いせいか筋肉だるまって感じでもなくかっこいい!
 しかも絶対いい人、真面目そう!信用できそうなイケメンに王太子の感じの悪さを忘れた。

「いえ……あの、お名前を聞いても良いですか?」
「わ、私はジゼル・イアトーグと申します、賢者ハルト様」
「ジゼルさんね、よろしくお願いします。私の方が年下のようですし、気安く晴翔と呼んで下さい」
「いえ! 救国の勇者様の兄上様にそのようなことは!」

 やっぱり真面目で良い人だなぁ~。ジゼルさんとは仲良くできそうだ……ただ、話をしてる時に心なしかジゼルさんの顔が赤いような気がしたのはきっと気のせいだろう。
 俺、男にモテても嬉しくないよ、モテるなら女性が良い……んだけど、女性は全部青葉が気になる仕様らしいのが恐ろしいところだよ。

「案内させていただきます」
「あ、お願いします」

 スッと手を差し出されて、俺は首を傾げてしまった。えっとこれは……手を乗せてエスコートされろということ??

「えっと、俺は男でして……」
「え?! あ、そ、そうでした。失礼しました」

 焦った様子で手を引っ込めたジゼルさん。え? 俺って女の子扱いされたの??  俺、胸ないよ、しっかり男子よ!

 ついてるものついてないけど……心はちゃんと男なんだよう……!


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