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30 強野菜は美味しい!

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 タトの野菜をほっぺたに限界まで詰め込んで美味しそうに食べている魔王疑惑の抜けない牛獣人(?)のフェリムを置いてコーディ達は王都へ戻る事にした。

「きっと、王都へ行けばあいつが本当に魔王かどうかわかる人がいるに違いない。そいつを連れて戻ってくるから、タトはその牛獣人に気を付けつつ世話をしててくれ」

「分かったよ。でもフェリムはとてもいい子だよ、気性も大人しいし。俺は間違いなく牛獣人だと思うけどなあ」

 タトから葉物野菜を受け取り一生懸命たべるフェリムは

≪美味い美味い、なんだこれ?うまーい!はっ!私は魔王だぞ、一体何を……うまーい!≫

 ちょっとダメになりかけていた。

「タト、本当に気をつけろよ!」

「分かったよ」

 そうしてコーディ達は藁納豆を着たまま、王都へ戻って行った。

 しかしみんな忘れていたが、この家には簡単に判定できる存在がいたのだ。

「げっ!魔王!?」

「むっ!女神の分体かっ!!」

 女神の力のほんの一部しか使えない幼児と魔王の力を見せるわけにはいかない少女(?)の戦いは激化した。

「「タト~~~~~~!!」」

「わっ!どうしたんだよ?二人とも」

「タト!あいつまお「うええええんその子がボクのキャベッチを取ったのぉ~~~」あ、てめえ!」

「タトしゃあ~~ん!ぼくのお野菜が~~「何言ってるの!タトそいつまお」うえええええんん!」

 今まで散々、食べ散らかしてきた小女神に勝ち目はなく

「フェリムのご飯を盗るなんてお前最低だな?ほんとに女神か?そんな食い意地の張った奴にやる野菜はない!」

 なんて言われる始末である。

「ぐぬぬぬ……」

「へっ」

 絶対に相容れないものを感じながらも、いがみ合っているとタトに叱られる。タトが怒ると野菜を貰えないから二人は仕方がなく表面上はとても仲良くすることにしたようだ。

「モー喧嘩しないよぉ~」「アタシたちとってもなかしよー!」


 こうしてうやむやのうちに魔王は安全化され、タトの村は平和が訪れた。周りから魔物達は消え、コーディ達はうっかり藁納豆のまま王都入りし、人々の目に触れてしまった。

「勇者ワラナットー!」

「ちげーーーし!!!」

 王都ではワラナットーブームが起こり、ワラナットーを着るのが大流行したとかしないとか。


「今日はタマギーネがいっぱい採れたぞー」

「わーい、タマギーネスープすき!いっぱい食べる~~!」

「そうだなあ、甘くて美味しいもんなー」

 こうしてタトの家庭菜園はこの世界にとんでもない物を生み出して行くのだった。

「とれたて野菜はやっぱり美味しいなあ!」

 

 終わり




ーーーーーーーーー

 家庭菜園はここで一旦終わりとさせて下さい。ファンタジーカップで出せず仕舞いだったり……_:(´ཀ`」 ∠):次からはもっと早目に!!
 この先、魔王はまだ居るとか新なる野菜とか色々出来そうではあるのですけれど今回はこの辺で失礼させていただきます。

 感想、お気に入り、しおりなど本当にありがとうございました。応援いただき、とても楽しく更新出来ました!本当に嬉しいです!
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みんなの感想(34件)

アキ
2022.06.16 アキ
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鏑木 うりこ
2022.06.22 鏑木 うりこ

 魔王もレベルアップしますが、今はレベルの上限に達しています。多分250レベルくらいでしょうか!虹色野菜を食べさせないようにしないと……(;´Д`)頑張れコーディ

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nico
2022.06.15 nico
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鏑木 うりこ
2022.06.22 鏑木 うりこ

 魔王はつい屈して(本人は作戦だと言い張る)しまいました!王都でのお土産は暫くワラナットー勇者のキーホルダー……(!?)

 次回も何か楽しい物を書けたらいいなと思ってます!お付き合いいただきありがとうございました!

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nico
2022.06.15 nico
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鏑木 うりこ
2022.06.15 鏑木 うりこ

何せ見た目が小さいので、そいつがでっかいレタスを貰って……頬袋……!?

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