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25 魔王、登場!

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 いつも馬鹿な事をしているコーディ達とは裏腹に、非常に苛立っている者達がいた。

「何故だ、何故あんなちっぽけな村を潰せぬのだ!!」

「わ、分かりません、分かりませんが、あの村には何かとてつもない秘密があるようで……」

 ここは魔王軍の最前線である。魔王軍はこの辺り一帯の人間の住処を飲み込むが如くの勢いで蹂躙してきた。彼らを妨げるものは何もなく、少し強い人間はいたものの、魔王軍の魔獣部隊で悉く殲滅できた。

「はっはーー!弱い、弱い弱い!人間は脆弱!我らが魔族に屈する定め!」

 しかし、そんな彼らが豆粒ほどの小さな村の前で足止めを食らう事になったのだ。

「何故あの村は落とせぬ!!」

「わ、わかりませんが、奇怪で卑劣な手段を使う者がいるようなのです!」

「ナニィ?」

 魔狼軍団は毒の霧を喰らい、自慢の鼻をやられて今ももがき苦しんでいる。哀れな事に、苦しむだけで死には至らず、悲しそうな声を上げながら鼻を掻きむしり悶えている。あまりの辛さに殺してくれ、と懇願するものも多数いるそうだ。
 オーク部隊は彼らの中で権威の象徴である騎獣を何度も奪われ、戦意を喪失している。どうもその騎獣達はオークが手塩にかけて育てた可愛い獣達でそれを奪われるのはとても辛い事らしい。

 ある時は何か小さな豆のようなモノを口の中に打ち込まれ、誤ってそれをかみつぶしてしまったものは猛毒により倒されたりしたようだ。多分この場にタトがいたら

「あー。サクランボーンの種は毒があるからね。食べちゃダメだよ噛まずにはきだすんだよ?」

 と注意してくれた事だろう。だがここにタトはいない。


 
「私自らが行くしかないな……!」

「魔王様っ!」

 業を煮やし、魔王自ら村に向かって侵攻を始めたのだった。


「見ろーー!みんなあああ!虹モヤのスーイカがとれたぞーーーー!皆でいっぱい食えるぞーー!」

「やったーーー!」

 その頃のタトとコーディ達は、一抱えもありそうな大きくて緑で黒い縞々の入った大きなスーイカに大はしゃぎしていた。

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