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1 ここはテンプレざまあ小説だった
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「あ……」
その日、私は気づいてしまった。ノイシュ・リハルト、私の名前と言うよりリハルト子爵家のエラローズ・リハルト子爵令嬢と言う名前に。
「これ、姉ちゃんが読んでたざまぁ小説のビッチ令嬢の名前だ……」
姉ちゃんから何度も何度も聞かされたお気に入りの小説。その中に登場する名前を必死で思い出す。ラング国、エドワード第二王子。ランシア・ヴェルクレー公爵令嬢……ああ!寸分違わず一緒だ!やばいどうしよう!なんで私がノイシュ・リハルトなんだ!
テンプレなんだけどねー、好きで見ちゃうんだ!と嬉々として語る姉ちゃんの話を頭をフル回転させながら思い出す。
「わ、私が一年生に入ってもう冬じゃないか!しかもあのエラは一つ上の学年。すでにエドワード殿下とは一年一緒に……ああ、もうかなり進んでいる!」
冬の終わり、卒業パーティーでエドワード様は婚約者のランシア様を断罪。しかし、ランシア様から反撃を喰らいものの見事に撃沈。そのせいでリハルト家はお家断絶、一家離散、お兄様も、私も妹のリーシュアも奴隷寸前の後妻やら、貴族のおもちゃにされるのだ。
「エラローズのせい……いや、お父様が欲をかいたせいで!」
お父様の名前はヨシュア・リハルト。しがない子爵家の当主なのだが、お父様は顔がいいのだ。サラサラと綺麗な銀髪に、青紫めいた夜明け色の瞳。
顔のパーツも整っていて、手足も長く、色も白い。
だが、それ以外ちっとも才能もなく、小さな領地はギリギリ生活、借金もいくつもあった。
そんなお父様の顔に惚れたのがお母様のナターシャ・エンランド伯爵令嬢。二人の間に愛は微妙だったが、お母様はきちんと役割を果たした。私のお兄様であるガウェン、そしてスペアとなる次男の私、ノイシュ。そして妹のリーシュアと3人の子供に恵まれた。
そして私達3人は顔がお父様に似た。リハルト家の兄妹は揃って美形だったが、私、ノイシュが銀髪に紫の瞳と良くお父様の外見を受け継いだ。嬉しい事に兄妹は皆、頭の中身はお母様に似た!
お母様がお父様とリハルト家を管理し、借金や領地を正常化させ、少しづつ我が家の暮らしは上向きになる。勿論、お母様の実家にも沢山の支援をいただいたのに……お父様はまあ……やらかす訳なんだ。
「この子を我がリハルト家に迎え入れる。庶子とは言え私の娘だ。来年から学園に通わせる」
「……」
お母様と私達3人は何も言えなかった。連れてきた娘はお兄様の二つ下、私の一つ上で金髪に青い目で、ヨシュアお父様に似ていると言われれば似ているような違うと言えば違う。そんな微妙な娘だった。
「その娘は本当に旦那様の……?」
お母様は聞くがお父様は声を荒げる。
「このエラの目の色を見れば一目瞭然では無いか!私の血を引いて紫色をしている!」
うーん……?紫かな?言われてみれば、少し紫がかっているような……いや、青だな。と言うか完全に顔つきが我が家じゃない。やっぱり似ていない。
私達三人とお母様の脳裏に浮かんだ言葉は「騙されている」だったのだが、お父様はガンとして譲らず、エラという娘も
「が、がんばりまぁすぅ~~」
なんて言って、結局私達が折れた。折れなければ良かった!あの日を後悔してももう遅いのだった。
その日、私は気づいてしまった。ノイシュ・リハルト、私の名前と言うよりリハルト子爵家のエラローズ・リハルト子爵令嬢と言う名前に。
「これ、姉ちゃんが読んでたざまぁ小説のビッチ令嬢の名前だ……」
姉ちゃんから何度も何度も聞かされたお気に入りの小説。その中に登場する名前を必死で思い出す。ラング国、エドワード第二王子。ランシア・ヴェルクレー公爵令嬢……ああ!寸分違わず一緒だ!やばいどうしよう!なんで私がノイシュ・リハルトなんだ!
テンプレなんだけどねー、好きで見ちゃうんだ!と嬉々として語る姉ちゃんの話を頭をフル回転させながら思い出す。
「わ、私が一年生に入ってもう冬じゃないか!しかもあのエラは一つ上の学年。すでにエドワード殿下とは一年一緒に……ああ、もうかなり進んでいる!」
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「エラローズのせい……いや、お父様が欲をかいたせいで!」
お父様の名前はヨシュア・リハルト。しがない子爵家の当主なのだが、お父様は顔がいいのだ。サラサラと綺麗な銀髪に、青紫めいた夜明け色の瞳。
顔のパーツも整っていて、手足も長く、色も白い。
だが、それ以外ちっとも才能もなく、小さな領地はギリギリ生活、借金もいくつもあった。
そんなお父様の顔に惚れたのがお母様のナターシャ・エンランド伯爵令嬢。二人の間に愛は微妙だったが、お母様はきちんと役割を果たした。私のお兄様であるガウェン、そしてスペアとなる次男の私、ノイシュ。そして妹のリーシュアと3人の子供に恵まれた。
そして私達3人は顔がお父様に似た。リハルト家の兄妹は揃って美形だったが、私、ノイシュが銀髪に紫の瞳と良くお父様の外見を受け継いだ。嬉しい事に兄妹は皆、頭の中身はお母様に似た!
お母様がお父様とリハルト家を管理し、借金や領地を正常化させ、少しづつ我が家の暮らしは上向きになる。勿論、お母様の実家にも沢山の支援をいただいたのに……お父様はまあ……やらかす訳なんだ。
「この子を我がリハルト家に迎え入れる。庶子とは言え私の娘だ。来年から学園に通わせる」
「……」
お母様と私達3人は何も言えなかった。連れてきた娘はお兄様の二つ下、私の一つ上で金髪に青い目で、ヨシュアお父様に似ていると言われれば似ているような違うと言えば違う。そんな微妙な娘だった。
「その娘は本当に旦那様の……?」
お母様は聞くがお父様は声を荒げる。
「このエラの目の色を見れば一目瞭然では無いか!私の血を引いて紫色をしている!」
うーん……?紫かな?言われてみれば、少し紫がかっているような……いや、青だな。と言うか完全に顔つきが我が家じゃない。やっぱり似ていない。
私達三人とお母様の脳裏に浮かんだ言葉は「騙されている」だったのだが、お父様はガンとして譲らず、エラという娘も
「が、がんばりまぁすぅ~~」
なんて言って、結局私達が折れた。折れなければ良かった!あの日を後悔してももう遅いのだった。
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