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その他の話
9 ヒューの大冒険9
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「ヒュー!今度はちゃんと許可を取ってからきてよ!一緒にもっと遊ぼう! 」
「わかったよ、キーチェ。今度はいっぱい遊ぼうね」
慌ただしいけど、僕たちは次の日の朝に帰る事にした。
「アディ殿、ちょっと」
「何ですか、リオウ王太子」
出発前にアディはリオウ王太子に呼ばれてしばらく姿が見えなかったけど、戻ってきたので出発した。
「絶対だからねー! 」
「わかったよー! 」
僕はキーチェにかなり気に入られたようで、馬車が見えなくなるまでキーチェは手を振っていたようだった。リオウ王太子は怖いけどキーチェは良い子だ。きっとキーチェの性格はカイリさんに似たんだろうな。
あんなに酷いことをしたのに、笑って許してくれるカイリさん。優しい上に頭も良くて……僕もああなりたい。
「ヒュー、それにしても本気なのかい?オメガになって私とつがいになりたいなんて」
「うん、本気だよ。だってそうしたら一番アディの役に立つでしょ?僕、アディの役に立ちたいんだ」
「分かっているのか?ヒュー。私と結婚するということは跡継ぎが必要だということだよ?」
「大丈夫!カイリさんみたいになれば良いんでしょ! 」
きっと僕だってなれるはずだ、だって同じ国の人だもん!でもアディは不安そうな、それでいて何か言いづらいことを言いたそうな変な顔でこっちを見ている。なんだろ?
「ヒュー……本当に分かっているのか?跡継ぎっていうのは子供のことだよ、ヒューは子供を……」
「知ってる!結婚した二人が仲良くしてれば、そのうちコウノトリが運んできてキャベツ畑に置いてくんだよね!そんでキャベツから赤ちゃんが産まれてくる!」
僕、おかあさんから聞いてるから知ってるんだ!
「アディ?どうして頭を抱えて蹲ってるの?」
「いや……やっぱりその辺りからだったか……リオウ殿は慧眼だなぁ」
「ええええええええ? 」
な、何か違ったのかな!?やっぱり異世界は違うんだ……。
その時、急に馬の嘶きが響いてガタン、と馬車が止まった。いやな気配が外からする……!これは僕達に好意的な気配じゃない、敵だ。
「アディ、馬車の真ん中らへんに来て。きっと悪い奴がこの馬車を止めたよ」
「なんだって?ヒュー分かるのか?」
「声小っちゃくして……5.6……10…‥12人だ。この感じは獣人だと思う、僕見てくる」
「駄目だ!獣人ならヒューを狙ってる!ヒューは中にいるんだ」
え?どういうこと??
「僕が狙われるってどういう事、アディ。僕、獣人とケンカなんてしていないよ」
アディはすまない、と小さくつぶやいてから教えてくれた。
「カイリさんとヒューは異世界から来た人間だ。カイリさんと虎獣人のリオウ王太子が結ばれたことで分かったが、異世界人と獣人との間の子供は、混じりけのない子供が産まれる……平たく言えば強い子供が産まれるんだ」
「強い……ああ、キーチェって凄く強かったね」
こくり、とアディは頷く。
「だから獣人国のいくつもの国からヒューを寄越せと言われている。断ってはいたんだが、こうしてヒューが出歩いたところを狙って……無理やり自国へ連れ去ろうという輩が現れる……リオウ殿の読みが当たってしまった」
「ええーー!僕、アディの国にいたいんだけど!」
「ヒューの気持ちなんてこれっぽっちも考えずに、連れ去ろうとしてるんだ。だから出ちゃいけない、騎士達に任せよう」
うーん……でも、アディ。
「でも騎士達よりあいつら強いよ?きっと騎士達は負けて大怪我しちゃう。凄く可哀想だ……でも僕なら倒せるよ」
「ヒュー?そこまで分かるのか……?見たこともない相手なのに?」
「うん、普通分かるよね? 」
「……普通分からないよ、ヒュー」
えええええ!分かんないものなの!?
「でも、大丈夫だからアディはここで待ってて?僕がやっつけてくるから」
「ま、待てヒュー!」
僕は馬車の扉を開けてぴょん、と飛び降りた。まったく変な事考えてるのは一体どこの獣人さんかな?怒っちゃうぞー!
「わかったよ、キーチェ。今度はいっぱい遊ぼうね」
慌ただしいけど、僕たちは次の日の朝に帰る事にした。
「アディ殿、ちょっと」
「何ですか、リオウ王太子」
出発前にアディはリオウ王太子に呼ばれてしばらく姿が見えなかったけど、戻ってきたので出発した。
「絶対だからねー! 」
「わかったよー! 」
僕はキーチェにかなり気に入られたようで、馬車が見えなくなるまでキーチェは手を振っていたようだった。リオウ王太子は怖いけどキーチェは良い子だ。きっとキーチェの性格はカイリさんに似たんだろうな。
あんなに酷いことをしたのに、笑って許してくれるカイリさん。優しい上に頭も良くて……僕もああなりたい。
「ヒュー、それにしても本気なのかい?オメガになって私とつがいになりたいなんて」
「うん、本気だよ。だってそうしたら一番アディの役に立つでしょ?僕、アディの役に立ちたいんだ」
「分かっているのか?ヒュー。私と結婚するということは跡継ぎが必要だということだよ?」
「大丈夫!カイリさんみたいになれば良いんでしょ! 」
きっと僕だってなれるはずだ、だって同じ国の人だもん!でもアディは不安そうな、それでいて何か言いづらいことを言いたそうな変な顔でこっちを見ている。なんだろ?
「ヒュー……本当に分かっているのか?跡継ぎっていうのは子供のことだよ、ヒューは子供を……」
「知ってる!結婚した二人が仲良くしてれば、そのうちコウノトリが運んできてキャベツ畑に置いてくんだよね!そんでキャベツから赤ちゃんが産まれてくる!」
僕、おかあさんから聞いてるから知ってるんだ!
「アディ?どうして頭を抱えて蹲ってるの?」
「いや……やっぱりその辺りからだったか……リオウ殿は慧眼だなぁ」
「ええええええええ? 」
な、何か違ったのかな!?やっぱり異世界は違うんだ……。
その時、急に馬の嘶きが響いてガタン、と馬車が止まった。いやな気配が外からする……!これは僕達に好意的な気配じゃない、敵だ。
「アディ、馬車の真ん中らへんに来て。きっと悪い奴がこの馬車を止めたよ」
「なんだって?ヒュー分かるのか?」
「声小っちゃくして……5.6……10…‥12人だ。この感じは獣人だと思う、僕見てくる」
「駄目だ!獣人ならヒューを狙ってる!ヒューは中にいるんだ」
え?どういうこと??
「僕が狙われるってどういう事、アディ。僕、獣人とケンカなんてしていないよ」
アディはすまない、と小さくつぶやいてから教えてくれた。
「カイリさんとヒューは異世界から来た人間だ。カイリさんと虎獣人のリオウ王太子が結ばれたことで分かったが、異世界人と獣人との間の子供は、混じりけのない子供が産まれる……平たく言えば強い子供が産まれるんだ」
「強い……ああ、キーチェって凄く強かったね」
こくり、とアディは頷く。
「だから獣人国のいくつもの国からヒューを寄越せと言われている。断ってはいたんだが、こうしてヒューが出歩いたところを狙って……無理やり自国へ連れ去ろうという輩が現れる……リオウ殿の読みが当たってしまった」
「ええーー!僕、アディの国にいたいんだけど!」
「ヒューの気持ちなんてこれっぽっちも考えずに、連れ去ろうとしてるんだ。だから出ちゃいけない、騎士達に任せよう」
うーん……でも、アディ。
「でも騎士達よりあいつら強いよ?きっと騎士達は負けて大怪我しちゃう。凄く可哀想だ……でも僕なら倒せるよ」
「ヒュー?そこまで分かるのか……?見たこともない相手なのに?」
「うん、普通分かるよね? 」
「……普通分からないよ、ヒュー」
えええええ!分かんないものなの!?
「でも、大丈夫だからアディはここで待ってて?僕がやっつけてくるから」
「ま、待てヒュー!」
僕は馬車の扉を開けてぴょん、と飛び降りた。まったく変な事考えてるのは一体どこの獣人さんかな?怒っちゃうぞー!
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