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その他の話
8 ヒューの大冒険8
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「最近上がってきた報告書なんだがな。アルファがオメガやベータに変わる、もしくはオメガがベータ、アルファに変わる事があるというんだ」
リオウ王太子は分厚い紙の束をカイリさんに渡した。そ、そこはアディにくれるんじゃないの?!
でもカイリさんは眼鏡をあげ直して素早く目を通した。
「ふむ、男性のアルファ同士がつがい行動を取った場合、受け手のアルファが徐々にオメガ化……でもこれは100%じゃないんだろう? 」
「もちろんだ。だが、ヒューの場合は確率が高いんじゃないかと推測する」
「何故だ? 」
「異世界人だからだよ。カイリの話だと、カイリ達が住んでいた世界にはアルファやオメガという存在はなかったらしい。世界を渡った際にカイリやヒューは変異した……一度変異した物は変異しやすいだろう?それに一番の理由は」
「一番の理由は……?」
「ヒューが思い込みの激しい性格だということだ」
「えーー!どういうことー!」
なんだよそれーー!真面目に聞いて損しちゃったよ!それなのにカイリさんは口元に手を当て、考えこんでいる。
「……それは、一理あるかもしれない。バース性に捕らわれず、その人を愛したい愛されたいと強く願い行動をした結果による変異ならばそこに本人の意志は多大に影響を及ぼす……その理屈でいくと俺もベータやアルファに変異する可能性もある、ということか?」
「いや、それはない」
カイリさんの推論にまたもやリオウ王太子は言い切る。この人、なんでこんなに自信満々なんだろう?
「なぜ? 」
「変異するためにはそのような行動を取る必要があるからだ。アルファになりたければ、アルファのように、ベータやオメガを抱かなけりゃならんし、ベータになりたければベータ同士で付き合う必要があるだろう。俺がカイリを絶対に離さないから、別のバース性にはなれない」
「ちょ! 」
真っ赤になって慌てふためくカイリさんを他所にリオウ王太子は得意げに話し始める。
「ホントにカイリはいつも可愛いし、いいにおいするし、駄目って言ってもお願いしたらいいよって言ってくれるし……」
「いい加減に黙れバカ虎!!やめろーーー!!」
カイリさんは怒っているけどでも、本気で怒ってないみたいで……。ポカポカとリオウ王太子のことを叩いてるけど、リオウ王太子は全然痛がってなくて……なんかとっても仲が良いんだって良く分かった。
「ヒュー、とりあえず一緒に帰ってくれるかい?皆、心配しているんだ」
「分かった、アディ」
僕のお世話をしてくれていたメイドさんや侍女さん達が皆泣いているって言われてしまった。僕がいなくなって心配してくれる人がいっぱいいたなんて……ちょっと嬉しい気持ちになってしまった。
「私も、凄く心配したよ、ヒュー」
「……アディ……」
いつも通り優しいアディ。僕はアディの為に何かしたいんだ!!
リオウ王太子は分厚い紙の束をカイリさんに渡した。そ、そこはアディにくれるんじゃないの?!
でもカイリさんは眼鏡をあげ直して素早く目を通した。
「ふむ、男性のアルファ同士がつがい行動を取った場合、受け手のアルファが徐々にオメガ化……でもこれは100%じゃないんだろう? 」
「もちろんだ。だが、ヒューの場合は確率が高いんじゃないかと推測する」
「何故だ? 」
「異世界人だからだよ。カイリの話だと、カイリ達が住んでいた世界にはアルファやオメガという存在はなかったらしい。世界を渡った際にカイリやヒューは変異した……一度変異した物は変異しやすいだろう?それに一番の理由は」
「一番の理由は……?」
「ヒューが思い込みの激しい性格だということだ」
「えーー!どういうことー!」
なんだよそれーー!真面目に聞いて損しちゃったよ!それなのにカイリさんは口元に手を当て、考えこんでいる。
「……それは、一理あるかもしれない。バース性に捕らわれず、その人を愛したい愛されたいと強く願い行動をした結果による変異ならばそこに本人の意志は多大に影響を及ぼす……その理屈でいくと俺もベータやアルファに変異する可能性もある、ということか?」
「いや、それはない」
カイリさんの推論にまたもやリオウ王太子は言い切る。この人、なんでこんなに自信満々なんだろう?
「なぜ? 」
「変異するためにはそのような行動を取る必要があるからだ。アルファになりたければ、アルファのように、ベータやオメガを抱かなけりゃならんし、ベータになりたければベータ同士で付き合う必要があるだろう。俺がカイリを絶対に離さないから、別のバース性にはなれない」
「ちょ! 」
真っ赤になって慌てふためくカイリさんを他所にリオウ王太子は得意げに話し始める。
「ホントにカイリはいつも可愛いし、いいにおいするし、駄目って言ってもお願いしたらいいよって言ってくれるし……」
「いい加減に黙れバカ虎!!やめろーーー!!」
カイリさんは怒っているけどでも、本気で怒ってないみたいで……。ポカポカとリオウ王太子のことを叩いてるけど、リオウ王太子は全然痛がってなくて……なんかとっても仲が良いんだって良く分かった。
「ヒュー、とりあえず一緒に帰ってくれるかい?皆、心配しているんだ」
「分かった、アディ」
僕のお世話をしてくれていたメイドさんや侍女さん達が皆泣いているって言われてしまった。僕がいなくなって心配してくれる人がいっぱいいたなんて……ちょっと嬉しい気持ちになってしまった。
「私も、凄く心配したよ、ヒュー」
「……アディ……」
いつも通り優しいアディ。僕はアディの為に何かしたいんだ!!
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