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その他の話
5 帰るか
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「陛下、納得が行きませぬ。なぜリオウ殿の次がロデル殿なのですか!リオウ殿が王太子を退いたなら次は我が子ハイラムでありましょう!」
この話し合い?の場に呼ばれていない人物が現れた。側妃様だけど、名前は覚えていない。
俺が一番最初頭を下げたら無視したからそんなもんかと関わらないようにしたんだ。
「ハイラムでは務まらないからだが?」
火に油を注ぐような台詞をリオウは吐いた。おいおい、ケンカしたいのか?
「まっ!なんてこと!ハイラムは立派に王太子を、次期王に相応しい男です!何年も部屋から出ないような腰抜けよりよっぽどね」
向こうもやる気なのか??流石肉食獣の獣人、血の気が多い。
「それに我が孫を侮辱した平民も許せません!決闘ですわ!」
「け、決闘……?!」
な、なんか凄いことになって来たぞ。
「では、正義の決闘を執り行う!勝った方の言い分を正義とし、その後一切の訴えを認めない!」
なんつー力技。まあ獣人には力ある者に従う傾向が強いから、それもアリなのかもしれない。
「ではリオウ王太子、ハイラム王子、前へ」
「おう、キーチェ。見ておけよ、虎の戦い方を見せてやる」
リオウは相手であるハイラムより、後ろで控えているキーチェに声をかけた。
「うん!俺も負けないよー!」
「そうだな」
実際ハイラムを見れば青い顔をして、そして何かぶつぶつ呟いているようだ。
「母上は全くなんてことをしてくれるんだ。私がリオウに勝てる訳ないのに!見れば分かるだろう、あのリオウは昔の力を取り戻している。腑抜けた時ならまだしも、つがいにカッコつけようとやる気になってるリオウに勝てる訳ないのに!」
へ?そう言う感じなの?リオウを見れば尻尾をぶんぶん振り回してアピールしてるな……?
「カイリ!絶対勝つから、見ててくれ!そして俺も町に絶対行く!」
「お、おう……」
俺は決闘場の特等席で見ている。近くには子供達をあやしたり、自分も戦うーー!と血気盛んなケイティを止めたりする侍女さん達がいて助けてくれていた。
……思えば気がつけばどこかへ駆け出している子供達を一人で見るのは大変だ。俺はちょっと早まったかもしれん。
「とーちゃ、つおい?」
「とーちゃ、かつ?」
下の双子のサーシャとスオウまで尻尾をぶんぶん、お目目キラキラ。うん、なんて好戦的な子供達だろう。
「いいか、キーチェ。決闘において手加減はむしろ相手に失礼だ。怪我をしても城の医療団がなんとかするから思いっきりやれ!」
「そうだぞ!どうだ?戦闘爪の出し入れはスムーズに出来るようになったか?うん、良いね。後は何か壊すとかも気にしなくて良い。思いっきりぶちのめせ!!」
「分かった!ラン姉ちゃんにロデル兄ちゃん!」
ランシャ様達は最初のリオウの決闘なんて目もくれずキーチェにアドバイスをしている。
「そしてこうがーーーっと行ってガッ!としてグサっ!だ!!」
「それで馬乗りになってボッコボコだぞ!」
「分かった!引っ掻いても良い?」
「「目を狙え!」」
お、おう……俺はケンカなんてしたことも無いけど、キーチェには優秀なセコンドが二人も付いている……こりゃ安心かもしれない。
最近のキーチェの身体能力の上がり方は凄くて、もっと体を動かせる環境が欲しいって思ってたんだ。
俺には出来ないことも軽々と熟すし……下の弟妹達の世話も積極的にしてくれるけれど、キーチェだって子供なんだ。目一杯遊びたいはずだ。
やっぱりリオウは連れて行くかな……?そんなことを考えていると、大きな銅鑼が打ち鳴らされ、リオウとハイラムの決闘が始まった。
この話し合い?の場に呼ばれていない人物が現れた。側妃様だけど、名前は覚えていない。
俺が一番最初頭を下げたら無視したからそんなもんかと関わらないようにしたんだ。
「ハイラムでは務まらないからだが?」
火に油を注ぐような台詞をリオウは吐いた。おいおい、ケンカしたいのか?
「まっ!なんてこと!ハイラムは立派に王太子を、次期王に相応しい男です!何年も部屋から出ないような腰抜けよりよっぽどね」
向こうもやる気なのか??流石肉食獣の獣人、血の気が多い。
「それに我が孫を侮辱した平民も許せません!決闘ですわ!」
「け、決闘……?!」
な、なんか凄いことになって来たぞ。
「では、正義の決闘を執り行う!勝った方の言い分を正義とし、その後一切の訴えを認めない!」
なんつー力技。まあ獣人には力ある者に従う傾向が強いから、それもアリなのかもしれない。
「ではリオウ王太子、ハイラム王子、前へ」
「おう、キーチェ。見ておけよ、虎の戦い方を見せてやる」
リオウは相手であるハイラムより、後ろで控えているキーチェに声をかけた。
「うん!俺も負けないよー!」
「そうだな」
実際ハイラムを見れば青い顔をして、そして何かぶつぶつ呟いているようだ。
「母上は全くなんてことをしてくれるんだ。私がリオウに勝てる訳ないのに!見れば分かるだろう、あのリオウは昔の力を取り戻している。腑抜けた時ならまだしも、つがいにカッコつけようとやる気になってるリオウに勝てる訳ないのに!」
へ?そう言う感じなの?リオウを見れば尻尾をぶんぶん振り回してアピールしてるな……?
「カイリ!絶対勝つから、見ててくれ!そして俺も町に絶対行く!」
「お、おう……」
俺は決闘場の特等席で見ている。近くには子供達をあやしたり、自分も戦うーー!と血気盛んなケイティを止めたりする侍女さん達がいて助けてくれていた。
……思えば気がつけばどこかへ駆け出している子供達を一人で見るのは大変だ。俺はちょっと早まったかもしれん。
「とーちゃ、つおい?」
「とーちゃ、かつ?」
下の双子のサーシャとスオウまで尻尾をぶんぶん、お目目キラキラ。うん、なんて好戦的な子供達だろう。
「いいか、キーチェ。決闘において手加減はむしろ相手に失礼だ。怪我をしても城の医療団がなんとかするから思いっきりやれ!」
「そうだぞ!どうだ?戦闘爪の出し入れはスムーズに出来るようになったか?うん、良いね。後は何か壊すとかも気にしなくて良い。思いっきりぶちのめせ!!」
「分かった!ラン姉ちゃんにロデル兄ちゃん!」
ランシャ様達は最初のリオウの決闘なんて目もくれずキーチェにアドバイスをしている。
「そしてこうがーーーっと行ってガッ!としてグサっ!だ!!」
「それで馬乗りになってボッコボコだぞ!」
「分かった!引っ掻いても良い?」
「「目を狙え!」」
お、おう……俺はケンカなんてしたことも無いけど、キーチェには優秀なセコンドが二人も付いている……こりゃ安心かもしれない。
最近のキーチェの身体能力の上がり方は凄くて、もっと体を動かせる環境が欲しいって思ってたんだ。
俺には出来ないことも軽々と熟すし……下の弟妹達の世話も積極的にしてくれるけれど、キーチェだって子供なんだ。目一杯遊びたいはずだ。
やっぱりリオウは連れて行くかな……?そんなことを考えていると、大きな銅鑼が打ち鳴らされ、リオウとハイラムの決闘が始まった。
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