【本編完結】オマケ転移だった俺が異世界で愛された訳

鏑木 うりこ

文字の大きさ
上 下
28 / 42
その他の話

5 帰るか

しおりを挟む
「陛下、納得が行きませぬ。なぜリオウ殿の次がロデル殿なのですか!リオウ殿が王太子を退いたなら次は我が子ハイラムでありましょう!」

 この話し合い?の場に呼ばれていない人物が現れた。側妃様だけど、名前は覚えていない。
 俺が一番最初頭を下げたら無視したからそんなもんかと関わらないようにしたんだ。

「ハイラムでは務まらないからだが?」

 火に油を注ぐような台詞をリオウは吐いた。おいおい、ケンカしたいのか?

「まっ!なんてこと!ハイラムは立派に王太子を、次期王に相応しい男です!何年も部屋から出ないような腰抜けよりよっぽどね」

 向こうもやる気なのか??流石肉食獣の獣人、血の気が多い。

「それに我が孫を侮辱した平民も許せません!決闘ですわ!」

「け、決闘……?!」

 な、なんか凄いことになって来たぞ。



「では、正義の決闘を執り行う!勝った方の言い分を正義とし、その後一切の訴えを認めない!」

 なんつー力技。まあ獣人には力ある者に従う傾向が強いから、それもアリなのかもしれない。

「ではリオウ王太子、ハイラム王子、前へ」

「おう、キーチェ。見ておけよ、虎の戦い方を見せてやる」

 リオウは相手であるハイラムより、後ろで控えているキーチェに声をかけた。

「うん!俺も負けないよー!」

「そうだな」

 実際ハイラムを見れば青い顔をして、そして何かぶつぶつ呟いているようだ。

「母上は全くなんてことをしてくれるんだ。私がリオウに勝てる訳ないのに!見れば分かるだろう、あのリオウは昔の力を取り戻している。腑抜けた時ならまだしも、つがいにカッコつけようとやる気になってるリオウに勝てる訳ないのに!」

 へ?そう言う感じなの?リオウを見れば尻尾をぶんぶん振り回してアピールしてるな……?

「カイリ!絶対勝つから、見ててくれ!そして俺も町に絶対行く!」

「お、おう……」

 俺は決闘場の特等席で見ている。近くには子供達をあやしたり、自分も戦うーー!と血気盛んなケイティを止めたりする侍女さん達がいて助けてくれていた。

 ……思えば気がつけばどこかへ駆け出している子供達を一人で見るのは大変だ。俺はちょっと早まったかもしれん。

「とーちゃ、つおい?」

「とーちゃ、かつ?」

 下の双子のサーシャとスオウまで尻尾をぶんぶん、お目目キラキラ。うん、なんて好戦的な子供達だろう。

「いいか、キーチェ。決闘において手加減はむしろ相手に失礼だ。怪我をしても城の医療団がなんとかするから思いっきりやれ!」

「そうだぞ!どうだ?戦闘爪の出し入れはスムーズに出来るようになったか?うん、良いね。後は何か壊すとかも気にしなくて良い。思いっきりぶちのめせ!!」

「分かった!ラン姉ちゃんにロデル兄ちゃん!」

 ランシャ様達は最初のリオウの決闘なんて目もくれずキーチェにアドバイスをしている。

「そしてこうがーーーっと行ってガッ!としてグサっ!だ!!」

「それで馬乗りになってボッコボコだぞ!」

「分かった!引っ掻いても良い?」

「「目を狙え!」」

 お、おう……俺はケンカなんてしたことも無いけど、キーチェには優秀なセコンドが二人も付いている……こりゃ安心かもしれない。

 最近のキーチェの身体能力の上がり方は凄くて、もっと体を動かせる環境が欲しいって思ってたんだ。
 俺には出来ないことも軽々と熟すし……下の弟妹達の世話も積極的にしてくれるけれど、キーチェだって子供なんだ。目一杯遊びたいはずだ。

 やっぱりリオウは連れて行くかな……?そんなことを考えていると、大きな銅鑼が打ち鳴らされ、リオウとハイラムの決闘が始まった。

しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...