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いいえ、メイドです
34 生きているならそれで良い
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「ただいま帰りました。兄上」
「ユーシス!?」
姿形はユーシスなのに、雰囲気が全く違う人間がそこに立っている。な、なにがあったんだ!?……いや、これは聞いてはいけない類のやつだろう。
「よ、良く生きて帰って来た……頑張ったんだな…‥?」
「大丈夫です、大したことは……ええ、大したことはしておりません……」
ユーシスは生きている、それで良しとしよう!そういえばユーノは!?
「お兄様……私はここですわ……」
「ひっ!」
気配と言うものが全くなかったが、ユーシスの隣にユーノはいた。う、何故いるのに見えなかったんだ……?こ、これも聞いてはいけない類の奴だな!ユーノも生きている、それでいいんだ……それで。
「お初にお目にかかります……ルカと申します。縁あって、平民より取り立てていただき、お二方と同行させていただきました……これからお目に留まる事もあると思いますが、よろしくお願い致します……」
「え!?あ、よ、よろしく頼むよ……」
ルカと名乗った少年も二人同様死んだ魚のような目をしている……でも彼も生きている、生きているから良いんだろう……。そして
「レミ!レラ!お帰りなさい。無事で良かったわ、大変だったでしょう?ありがとう」
「ありがとうございます、お嬢様。何の問題もなかったですわ」
「ふふ、ありがとうございます。帰りに掃除をしながら帰って来たので少し遅れただけですわ」
メイド?二人の無事を喜ぶアルカンジェル。そのメイドの後ろに小っちゃくなりながら立っているメイド見習いっぽいが……男性か女性か分からない……謎の、人物?人物……なのか?角?角みたいなものがある?見てくれは少女のように見えるが、小柄な男性のようでもあり……人間……?なのか?
多分、見なかった事にしたい案件なんだろう。
「ところで、レミ、レラ。あの方はどなたなのですか?シーランの者ではないですし、向こうの国からやって来られたのかしら?」
「魔王ですわ」
「え?箱の中の方?」
「ええ、心を入れ替えたいと言うのでメイド見習いとしてビシバシ鍛えてやろうと思いまして」
「まあ!」
魔王……へえ……魔王ね……へえ……。
「ユーシス、ユーノ。とりあえず私はとてつもなく頭痛がして、今すぐ倒れたくなったので、医者の所に行ってくるが、大丈夫だろうか?」
死んだ目の二人は表情が「分かります」という風に少し変わり
「そうしてください、ナイトレイ兄上。大丈夫、一緒に船で帰ってきましたが、メイドってほんと凄いですね」
「休んでも事態はあまり変わりませんが、行ってらっしゃいませ、ナイトレイ兄上。大丈夫、メイドがいますから」
「そうだな、メイドがいるものな……」
とりあえず私はそっと医務室へ向かう事にする。大丈夫、大丈夫、私は強い国王になるんだ。今は少し疲れただけ……明日からなんとかしよう、アルカンジェルもいるからな、大丈夫だ、うん……。
今は眠ろう。それが良い……。
「ユーシス!?」
姿形はユーシスなのに、雰囲気が全く違う人間がそこに立っている。な、なにがあったんだ!?……いや、これは聞いてはいけない類のやつだろう。
「よ、良く生きて帰って来た……頑張ったんだな…‥?」
「大丈夫です、大したことは……ええ、大したことはしておりません……」
ユーシスは生きている、それで良しとしよう!そういえばユーノは!?
「お兄様……私はここですわ……」
「ひっ!」
気配と言うものが全くなかったが、ユーシスの隣にユーノはいた。う、何故いるのに見えなかったんだ……?こ、これも聞いてはいけない類の奴だな!ユーノも生きている、それでいいんだ……それで。
「お初にお目にかかります……ルカと申します。縁あって、平民より取り立てていただき、お二方と同行させていただきました……これからお目に留まる事もあると思いますが、よろしくお願い致します……」
「え!?あ、よ、よろしく頼むよ……」
ルカと名乗った少年も二人同様死んだ魚のような目をしている……でも彼も生きている、生きているから良いんだろう……。そして
「レミ!レラ!お帰りなさい。無事で良かったわ、大変だったでしょう?ありがとう」
「ありがとうございます、お嬢様。何の問題もなかったですわ」
「ふふ、ありがとうございます。帰りに掃除をしながら帰って来たので少し遅れただけですわ」
メイド?二人の無事を喜ぶアルカンジェル。そのメイドの後ろに小っちゃくなりながら立っているメイド見習いっぽいが……男性か女性か分からない……謎の、人物?人物……なのか?角?角みたいなものがある?見てくれは少女のように見えるが、小柄な男性のようでもあり……人間……?なのか?
多分、見なかった事にしたい案件なんだろう。
「ところで、レミ、レラ。あの方はどなたなのですか?シーランの者ではないですし、向こうの国からやって来られたのかしら?」
「魔王ですわ」
「え?箱の中の方?」
「ええ、心を入れ替えたいと言うのでメイド見習いとしてビシバシ鍛えてやろうと思いまして」
「まあ!」
魔王……へえ……魔王ね……へえ……。
「ユーシス、ユーノ。とりあえず私はとてつもなく頭痛がして、今すぐ倒れたくなったので、医者の所に行ってくるが、大丈夫だろうか?」
死んだ目の二人は表情が「分かります」という風に少し変わり
「そうしてください、ナイトレイ兄上。大丈夫、一緒に船で帰ってきましたが、メイドってほんと凄いですね」
「休んでも事態はあまり変わりませんが、行ってらっしゃいませ、ナイトレイ兄上。大丈夫、メイドがいますから」
「そうだな、メイドがいるものな……」
とりあえず私はそっと医務室へ向かう事にする。大丈夫、大丈夫、私は強い国王になるんだ。今は少し疲れただけ……明日からなんとかしよう、アルカンジェルもいるからな、大丈夫だ、うん……。
今は眠ろう。それが良い……。
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