59 / 78
いいえ、メイドです
21 王への道は厳しい
しおりを挟む
「ただいま戻りました!」
「……?!ジョルジュ……ノイマン……?」
「はいっ!不肖ジョルジュ・ノイマンでございます!ナイトレイ殿下!ヘイルズ国への最後通牒を預かるべくやってまいりました!」
ナイトレイ殿下は驚かれつつも手紙を手渡してくれた。確かに私はここの所のレラさんの教育のお陰で少し変わったかもしれないな!はっはっはっ!
「で、では副提督ジョルジュ。この手紙を10日程でヘイルズの王宮に届けて欲しい……」
「いやなに!三日程で参りますよ!海も泳げるし空も飛べる飛び鰐の群れを見つけましたからね!こんな海など丸一日で泳ぎ切ります!はっはっは!」
たかが隣国へ行くのに10日もかけていたような軟弱者など、もう我が海軍にはおりませんよ!
「た、頼もしい限り、だよ。ジョルジュ」
「はい!行ってまいります!はっはっはっは!」
体つきが変わったとか、顔つきが変わったとかそう言う問題でなく、何か全てが変わってしまったジョルジュをナイトレイは口を閉じることを忘れて見送った。
「……我が海軍に何が起こった……?」
はははは!!大きな笑い声がして、先程見送った筈のジョルジュが腕を組んだままの仁王立ちで海の上を滑って行く。
「まあ、面白いですわね」
アルカンジェルはそれを窓からみてにこにこ笑っているが、目を擦ってもジョルジュは単身で海の上で笑いながら高速でヘイルズ方面に向かっていた。あっという間に視界から消えてしまう。
「あ、アルカ。今ジョルジュが船にも乗らず、たった一人で海の上を移動していたように見えたんだが、私は疲れているのだよな?」
きょとん、とした顔の婚約者を見て「あ、これは私が理解出来ない奴だ」と瞬時に判断した。
「水の上を滑っているように見えて下に、運んでくれる何かがいるそうですわ、レイ様。我が家の使用人もほとんど出来ますわ、楽しそうですわよね」
「そ、そうか。使用人も出来るなら、海軍副提督なら出来ない訳がないな」
「ええ!わたくしにも教えて欲しいのですが、無理だと言って教えてくれないのです。レイ様もレミ達に習ってみては?」
なんて恐ろしい事を!と、思いつつもあの海軍の上に立つにはやはり必要なことかも知れない。
「あ、ああ。暇を見て稽古をつけて貰おうかな」
これも立派な王になる為の試練に違いないと、拳を強く握る。きっとお守りのハンカチが自分の命は守ってくれると信じて。
「王とはなんと厳しい道なのでしょうね、アルカ」
「でもレイ様なら立派にやり遂げると信じております」
頑張ってやり遂げられるものだと信じたい。
「……?!ジョルジュ……ノイマン……?」
「はいっ!不肖ジョルジュ・ノイマンでございます!ナイトレイ殿下!ヘイルズ国への最後通牒を預かるべくやってまいりました!」
ナイトレイ殿下は驚かれつつも手紙を手渡してくれた。確かに私はここの所のレラさんの教育のお陰で少し変わったかもしれないな!はっはっはっ!
「で、では副提督ジョルジュ。この手紙を10日程でヘイルズの王宮に届けて欲しい……」
「いやなに!三日程で参りますよ!海も泳げるし空も飛べる飛び鰐の群れを見つけましたからね!こんな海など丸一日で泳ぎ切ります!はっはっは!」
たかが隣国へ行くのに10日もかけていたような軟弱者など、もう我が海軍にはおりませんよ!
「た、頼もしい限り、だよ。ジョルジュ」
「はい!行ってまいります!はっはっはっは!」
体つきが変わったとか、顔つきが変わったとかそう言う問題でなく、何か全てが変わってしまったジョルジュをナイトレイは口を閉じることを忘れて見送った。
「……我が海軍に何が起こった……?」
はははは!!大きな笑い声がして、先程見送った筈のジョルジュが腕を組んだままの仁王立ちで海の上を滑って行く。
「まあ、面白いですわね」
アルカンジェルはそれを窓からみてにこにこ笑っているが、目を擦ってもジョルジュは単身で海の上で笑いながら高速でヘイルズ方面に向かっていた。あっという間に視界から消えてしまう。
「あ、アルカ。今ジョルジュが船にも乗らず、たった一人で海の上を移動していたように見えたんだが、私は疲れているのだよな?」
きょとん、とした顔の婚約者を見て「あ、これは私が理解出来ない奴だ」と瞬時に判断した。
「水の上を滑っているように見えて下に、運んでくれる何かがいるそうですわ、レイ様。我が家の使用人もほとんど出来ますわ、楽しそうですわよね」
「そ、そうか。使用人も出来るなら、海軍副提督なら出来ない訳がないな」
「ええ!わたくしにも教えて欲しいのですが、無理だと言って教えてくれないのです。レイ様もレミ達に習ってみては?」
なんて恐ろしい事を!と、思いつつもあの海軍の上に立つにはやはり必要なことかも知れない。
「あ、ああ。暇を見て稽古をつけて貰おうかな」
これも立派な王になる為の試練に違いないと、拳を強く握る。きっとお守りのハンカチが自分の命は守ってくれると信じて。
「王とはなんと厳しい道なのでしょうね、アルカ」
「でもレイ様なら立派にやり遂げると信じております」
頑張ってやり遂げられるものだと信じたい。
19
お気に入りに追加
3,969
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は王子の溺愛を終わらせない~ヒロイン遭遇で婚約破棄されたくないので、彼と国外に脱出します~
可児 うさこ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。第二王子の婚約者として溺愛されて暮らしていたが、ヒロインが登場。第二王子はヒロインと幼なじみで、シナリオでは真っ先に攻略されてしまう。婚約破棄されて幸せを手放したくない私は、彼に言った。「ハネムーン(国外脱出)したいです」。私の願いなら何でも叶えてくれる彼は、すぐに手際を整えてくれた。幸せなハネムーンを楽しんでいると、ヒロインの影が追ってきて……※ハッピーエンドです※
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
婚約破棄の特等席はこちらですか?
A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。
将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。
何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。
カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
婚約破棄された令嬢は変人公爵に嫁がされる ~新婚生活を嘲笑いにきた? 夫がかわゆすぎて今それどころじゃないんですが!!
杓子ねこ
恋愛
侯爵令嬢テオドシーネは、王太子の婚約者として花嫁修業に励んできた。
しかしその努力が裏目に出てしまい、王太子ピエトロに浮気され、浮気相手への嫌がらせを理由に婚約破棄された挙句、変人と名高いクイア公爵のもとへ嫁がされることに。
対面した当主シエルフィリードは馬のかぶりものをして、噂どおりの奇人……と思ったら、馬の下から出てきたのは超絶美少年?
でもあなたかなり年上のはずですよね? 年下にしか見えませんが? どうして涙ぐんでるんですか?
え、王太子殿下が新婚生活を嘲笑いにきた? 公爵様がかわゆすぎていまそれどころじゃないんですが!!
恋を知らなかった生真面目令嬢がきゅんきゅんしながら引きこもり公爵を育成するお話です。
本編11話+番外編。
※「小説家になろう」でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる