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マリナデット・ウィフラート

31 北の魔女様ですにゃん

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「そうだ、ギラの温泉に行こう」

 そんな合言葉のようなものが飛び交っている。

「まりにゃんが入った温泉があるらしい」

 
「ふ、湯治という文化を知っているかね?紳士諸君」

 皆んなから袋叩きにされて、色々変形したヴィクトルが立ち上がる。

「なるほど、然り」

「素晴らしい、名案です」

「ならば、ギラへ」

 男達は北を目指すのだった。

「所で温泉のお湯はどこに捨てているのかな?!」

「然り!」「然り!」「然り!」




「実際どうします?マリナ様」

「うーん、悩んでいるのですよ」

 温泉から出て、ほこほこと温まったマリナはエレンとエレナにお肌の手入れをして貰っていた。

「私達の国に居ても、どこかの貴族に男である事を隠したまま輿入れ……それは一番避けたい事なんです」

 騙す上にバレたらどんな目に合うか分からない。

「かと言って、テスラ王子と結婚も……やはり結婚するなら女性と結婚したいんです」

 それは難しいかもしれないと、双子は思う。これだけの美貌の隣に立つのはなかなか勇気がいることではなかろうか?
 
「誰かに相談……あ!そうだわ、北の魔女様のお家が近いわね!エレナ、連絡取れないかしら?」

「畏まりました、マリナデット様」
 
「久しぶりにお会いしたいわ、こちらにお越し頂けないかしら?」

「ご招待してみましょう」



「まあ!マリナデット。本当に久しぶりねぇ!今日は呼んでくれて嬉しいわ!わたくしったら魔女でしょう?招かれないと入れない場所が多くて困るわぁ」

「ふふ!それはお姉様が魅了的過ぎるのがイケナイって知ってましてよ?借家なのですが、温泉もついていて悪くないですわ。お寛ぎいただけたら嬉しいのですけれど」

 ふふ!マリナデットは可愛いわね!と北魔女ノーレスフィアリディアは仰って下さいます。金の巻き毛に豊満なお体のとっても魅力的で美しい魔女様なんですよ。
 素敵過ぎて男性は魂を抜かれるともっぱらの噂です。

「そんな事もあるような、ないような?うふふふ」

 妖艶に笑うノーレス様は本当にお美しいのです。私も魂が抜けてしまうかもしれませんわ。

 温泉に入り、エレンとエレナのお料理を召し上がって頂いた後で私はやっとお話を聞いていただけることになりました。

「と、言う訳なのです。私は男子として生きて行きたいのですが、どうも上手く行かないのです」

 ノーレス様に隠し事は出来ません。初めて出会った時から、私が男子ということはバレていましたから。

「そりゃそうよーマリナデット。あなたは女性として17年間過ごしたのだから、同じほど男性として過ごさなきゃ釣り合いが取れないわよ」

「あっ!確かに言われる通りですわね!」

「焦らなくて良いのよ、可愛いマリナデット」

 ノーレス様にナデナデされてしまいました!きゃあ、嬉しいですわ。こんな美女に可愛いなんて言ってもらえるなんて!

「にしても、マリナデットの国は酷いわね、貴方の父親もちょっと懲らしめた方が良いわ。マリナデット、少しこの国に居なさいな」

「え、でも……」

「大丈夫、あの第二王子なら、たたないように呪いでもかけておくから大丈夫よ」

「立たない?足ですか?」

 違うけど大丈夫よーそーれ、悪さ出来なくなーれっと!ノーレス様がちちょいと指先を振ると何か黒い塊が現れて、凄い勢いで王城の方に飛んで行きました。
 何でしょう?あれは。

「勃たないだよね」「だよね」

 エレンとエレナがボソボソと二人で内緒話をしていますが、良く聞こえません。後で教えて貰いましょう。


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