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マリナデット・ウィフラート
17 精霊魔法にゃん
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「では、精霊魔法から始めてみたいと思います!」
「私は少しだけ精霊魔法が使えますから、サポートいたしますね」
次の日城壁外に出てマリナは魔法の練習を始めた。杖の方が軽いので、持てるのだ!
エレナが隣に立つ。
お願いしますね、そう言って精霊との契約呪文を唱え始める。
「私は契約を望む者……吹き渡る自由な風よ、我が声に答えその力を貸し与えたまえ!」
びゅぅーーーっ!マリナの声に答えたように大きな風が吹いた。
「あ、あら?何も現れない……失敗ですか……?」
本当なら、小さな風精霊のシルフが見える形で側に来るはずなのに。
エレナは頭を抱えた。
「私はどうやら精霊様には愛されないのね……」
しょんぼり、肩を落とすマリナ。
「大丈夫ですよ、精霊は風だけではありません。川の方にいって水の精霊にチャレンジしてみましょう?」
エレンはマリナを慰めているが、お分かりだろうか。精霊と契約して、風精霊を見る事ができるエレナの視界いっぱいに風の精霊が溢れかえっている状況を。
マリナなど精霊に集られて顔すら見えない。
まりにゃんと契約するのはアタシ!
いいや!僕だね!
この翼の美しい私だろう!
まりにゃんにはプリティな私がお似合いよ!
ええい!雑魚シルフどもは家に帰って寝てろ!まりにゃんと契約するのは上位精霊のウィンディー様だ!
貴方のような粗雑なウィンディーなどまりにゃんのしもべには相応しくない!美しいわたくしがマリナデットと共にあるべきです!!
いやいや、そこはわたしが……!
精霊王は帰って部屋掃除でもしてて下さいっ!!
ひゃあ!
つまりは誰が専属になるか揉めに揉めて決まらなかったのである。
「川!」
「麗しき水の精霊よ!」
しーん。
「焚き火!」
「猛々しき火の精霊よ!」
しーん。
「畑!」
「母なる土の精霊よ!」
しーん。
「わ、私には精霊魔法使いとしての才能は一欠片もなかったのですね……。仕方のない事ですが……少し、かな、悲しい……」
「マリナ様……ハンカチです」
「ありがとう、エレン。ぐすん……流石に今日はもう帰ってもいいかしら……?」
ぽろりと涙をこぼす姿も美しく、マリナはエレンに手を引かれて、帰って行く。
「今日のおやつは、マリナさまが大好きな苺タルトを焼きますので元気出して下さい」
「ありがとう、エレン……失敗はつきものですものね。明日からまた頑張るわ」
エレナには見えている。
うわーーん!まりにゃーーーん!泣かせてごめんんんーー!
まりにゃん!もう一回!もう一回だけ召喚してーー!絶対答えるからーー!
まりにゃーん!!
泣き叫びながらマリナの姿を埋め尽くしている。色とりどりの精霊の塊みたいな謎の動く物体にマリナはなっていた。
道行く精霊魔法使い達が腰を抜かしたり、失神したりするくらい凄まじい量の精霊を引き連れて家に帰って行った。
だが、契約に成功しなかったマリナには、何も見えなかった……。
「私は少しだけ精霊魔法が使えますから、サポートいたしますね」
次の日城壁外に出てマリナは魔法の練習を始めた。杖の方が軽いので、持てるのだ!
エレナが隣に立つ。
お願いしますね、そう言って精霊との契約呪文を唱え始める。
「私は契約を望む者……吹き渡る自由な風よ、我が声に答えその力を貸し与えたまえ!」
びゅぅーーーっ!マリナの声に答えたように大きな風が吹いた。
「あ、あら?何も現れない……失敗ですか……?」
本当なら、小さな風精霊のシルフが見える形で側に来るはずなのに。
エレナは頭を抱えた。
「私はどうやら精霊様には愛されないのね……」
しょんぼり、肩を落とすマリナ。
「大丈夫ですよ、精霊は風だけではありません。川の方にいって水の精霊にチャレンジしてみましょう?」
エレンはマリナを慰めているが、お分かりだろうか。精霊と契約して、風精霊を見る事ができるエレナの視界いっぱいに風の精霊が溢れかえっている状況を。
マリナなど精霊に集られて顔すら見えない。
まりにゃんと契約するのはアタシ!
いいや!僕だね!
この翼の美しい私だろう!
まりにゃんにはプリティな私がお似合いよ!
ええい!雑魚シルフどもは家に帰って寝てろ!まりにゃんと契約するのは上位精霊のウィンディー様だ!
貴方のような粗雑なウィンディーなどまりにゃんのしもべには相応しくない!美しいわたくしがマリナデットと共にあるべきです!!
いやいや、そこはわたしが……!
精霊王は帰って部屋掃除でもしてて下さいっ!!
ひゃあ!
つまりは誰が専属になるか揉めに揉めて決まらなかったのである。
「川!」
「麗しき水の精霊よ!」
しーん。
「焚き火!」
「猛々しき火の精霊よ!」
しーん。
「畑!」
「母なる土の精霊よ!」
しーん。
「わ、私には精霊魔法使いとしての才能は一欠片もなかったのですね……。仕方のない事ですが……少し、かな、悲しい……」
「マリナ様……ハンカチです」
「ありがとう、エレン。ぐすん……流石に今日はもう帰ってもいいかしら……?」
ぽろりと涙をこぼす姿も美しく、マリナはエレンに手を引かれて、帰って行く。
「今日のおやつは、マリナさまが大好きな苺タルトを焼きますので元気出して下さい」
「ありがとう、エレン……失敗はつきものですものね。明日からまた頑張るわ」
エレナには見えている。
うわーーん!まりにゃーーーん!泣かせてごめんんんーー!
まりにゃん!もう一回!もう一回だけ召喚してーー!絶対答えるからーー!
まりにゃーん!!
泣き叫びながらマリナの姿を埋め尽くしている。色とりどりの精霊の塊みたいな謎の動く物体にマリナはなっていた。
道行く精霊魔法使い達が腰を抜かしたり、失神したりするくらい凄まじい量の精霊を引き連れて家に帰って行った。
だが、契約に成功しなかったマリナには、何も見えなかった……。
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