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29 そしてルリルーは逃げ出した(ルリルー視点)

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「あー!すっきりした!」

 私と家族は隣国、リーインクールで暮らし始めていました。私達が国を出る時に、シャンプーを卸していた商会は揉めに揉めた。私がお母様の実家の裏山からとって来た女神草から作るシャンプーとリンスとボディソープの権利は私が持っているので、私がいなくなると売ることが出来なくなるから。

「も、申し訳ございません……!国からの決定ですので……」

 そう、私達一家は国外追放処分になっているんです。国の決定ですから従わない訳にはいかないんです。渋々、泣く泣くという体裁を取りながら、かなりのものを処分し、少ないメイドも別の家に雇ってもらい家族だけで国をでました。

「ルリルー!よく来てくれたわ!」

「ミシェール様、キャロライン様!」

「ルリルーさん、本当にごめんなさい!」

 首都につくと用意していただいた家にはミシェール様とキャロライン様がいらっしゃっていました。ああ!色々お話したいですが、まずはご挨拶をしなくては!

「ミシェール様、色々していただいてありがとうございます!」

 私の一家が住むようにとミシェール様が用意してくださった家は元々私達が住んでいた家よりかなり立派なもので、驚いてしまいました。

「適当に家具も入れておいたのですが、気に入らなければ入れ替えてもらえますか?あとメイドを二人雇ってありますから手伝ってもらってくださいね」

「何から何まで……すみません!」

 ミシェール様は満足そうな笑顔で話しを続けました。

「ルリルーのお父様は子爵様でいらっしゃいましたわよね?爵位はどうしましょう?あまり高いものはご用意できませんが、わが国の子爵位で良ければお受け取りしていただけないでしょうか?」

「え!?ミシェール様何をおっしゃっておられるのですか、そんなことできるわけがありません!私達は平民として、商売をやっていくつもりですから」

 こちらの国でシャンプーを売るつもりなの!だから爵位なんてなくてもいいのよ。そう話し合ってこちらの国に来たのだから。

「良いじゃありませんか、特に損することもありませんよ。前々から父上に打診してあったことですので、問題はないですわ。それに狭いながらも領地をお渡ししますから、女神草、たくさん育ててみてください。この国の産業になれば、そういう打算もあるのですから」

「ミシェール様……」

 私はシャンプーの材料になる女神草を引っこ抜いて持ってきたのです。どこか土地を借りてこちらでも栽培できないかと思って。私は女神草はこの国で必ず栽培できると思っているんですけど、こればっかりはやってみなくてはわかりません。

「ね、良いでしょう?」

 そう優しく微笑むミシェール様に我が家一同は深く深く頭を下げて忠誠を誓ったのでした。

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