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アリア、追放される
61 唐突に告げる終わり
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「王弟……」
「そう、私が現在のグーデファン王アーラムの弟、イーデン。こっちが妻のウィフィーナ。それでその一人息子のリドリアウス。どうもリードは私と妻の放浪癖ばかり受け継いだらしくてねえ。貴族なんて嫌いだ!って昔っからこうなんだよ。なんだこれ、美味しいねえアリアさん」
「私もイーデンも社交界では浮いていまして……まあそれで気が合ったんですけどね、ウフフ。あら、ホント美味しいわねアリアさん。もっと食べていいかしら?」
「仕方ないだろう?ヤなもんはヤなんだ。でもさー義務みたいなもんもあるし、やばいかなーとは思ってる。おかわり貰っていい?アリアさん」
「はあ……」
なんというか流石リードさんのご両親って感じで、容赦なくおやつを食べていらっしゃいます。ぐるぐるケーキを一人一本食べておかわりを要求する人を初めて見ました。
「これは本当に美味しいですね、聖女アリア様。どうかレシピを教えていただけませんか、モグモグ」
なんというか、流石リードさんのお家の料理長さんと言うべきか、こちらの方も容赦なくおやつを食べていらっしゃいます。ぐるぐるケーキを一本持ち去って、厨房で全員で分けて食べたらしいです。すぐにレシピを要求する人も初めてです。
「ほほう、こちらの方が半魔神の聖女様でしかもリード坊ちゃんの胃袋を掴んでしまったアリア様ですね。ふむふむ、美味しいです、この爺も胃袋を掴まれてしまいましたぞ、はっはっは」
「はあ……」
リードさんの家は何と言うか「ああ、リードさんの家なのね……」という人たちで溢れていました。貴族様の家ってもっとこうミラージ公爵のお屋敷みたいに格式張って、妙な緊張感が流れているんだと思っていました。しかしリードさんの家は何か違います。
「あの、ドーリスさん?一人で食べるのはズルくないですか?」
「すいません、メイド長のメイヤーさん。もう食べてなくなってしまいました」
「箒で叩いていいです?」
「はは、勘弁してくださいよ」
ギスギスしてもいなくて、ふんわりした優しい雰囲気といえば聞こえがいいでしょうが、なんとなーく緩い感じが全体的にするお家です……。
「良く分かった。つまり、アリアさんを確保しておけば毎日美味しいご飯が食べられてリードはここに居るしかないという事だね!」
「素敵ね!ご飯の美味しいお嫁さんなんて最高だわ。料理長をよろしくね、アリアさん」
「いや、母さんそこはせめて俺をよろしくって言ってよ……」
「あらやだ間違えたわ。今日のお夕飯は何をいただきましょう!ね?アリアさん」
「母さん!食いしん坊すぎるだろう!」
「あらやだわまた間違えたわ」
「はは、ははは……」
実はこうして私の旅は唐突に終わりを告げてしまったのです。
「あ、あの、半魔神様の教会にご挨拶を……」
「な、なんだと!?あの潰れかけた教会か!よし分かったちょっと待っていなさい」
リードさんのお家の隣のお家が一瞬で取り壊されて、そこによぼよぼのおじいさんと小さな家が一つ立ちました。
「わ、ワシがぁ……この国のう……半魔神様のう……たったひとりのう……ゲホゲホ」
「お、おじいちゃん!もういいから、寝てて!」
慌ててベッドによぼよぼのおじいちゃんを寝かせて上げます。どうもこの方が半魔神様の神官さんのようです。
「すまないねえ……所で昼飯はまだかのう……」
「パン粥でいいですか?」
あっという間に空いた場所に半魔神様の小さな神殿が立ってしまいました……。
「息子が半魔神様にお仕えしたんだろ?そりゃ寄進位するさ!パン美味しいし」
「そうですよ~私達も半魔神様にお仕えしたいわースープ美味しいし」
「ていうかなんでも旨いしなー。ドラゴンステーキ美味かったぞー」
「「何それ食べたい」」
そしてすぐにマグノリア様もやって来られて
「行き先位書いて行きなさいよ!まあでもリードが一緒だって言うからここだと思ったけどね!」
「はあ……」
「良い神殿じゃない!これは人が集まりそうね!」
マグノリア様に続いて神官さん達も次々に引っ越してこられました。
「いやはや、すぐに手狭になってしまいましたなあ~何とかなりませんか?」
「任せてください!寄進します!」
神殿はあっという間に大きくなって、たくさんの人で賑やかになって行きます。ええええ!?
「ま、そういう感じだからさ。諦めてここで暮らしていきな?」
ポン、と後ろから肩を叩かれました。
「そんな、ルー様まで!」
振り返った時には神気しか残っていませんでしたが、神様に言われてしまってはまあ従うよりほかにないのかもしれませんね……。
「私、何を反省したらいいのでしょうかーー!」
「さあ?特に反省することなんてないんじゃないの?」
ああもう!これで良いのでしょうか!?
半魔神の聖女は今日も反省する【終】
「そう、私が現在のグーデファン王アーラムの弟、イーデン。こっちが妻のウィフィーナ。それでその一人息子のリドリアウス。どうもリードは私と妻の放浪癖ばかり受け継いだらしくてねえ。貴族なんて嫌いだ!って昔っからこうなんだよ。なんだこれ、美味しいねえアリアさん」
「私もイーデンも社交界では浮いていまして……まあそれで気が合ったんですけどね、ウフフ。あら、ホント美味しいわねアリアさん。もっと食べていいかしら?」
「仕方ないだろう?ヤなもんはヤなんだ。でもさー義務みたいなもんもあるし、やばいかなーとは思ってる。おかわり貰っていい?アリアさん」
「はあ……」
なんというか流石リードさんのご両親って感じで、容赦なくおやつを食べていらっしゃいます。ぐるぐるケーキを一人一本食べておかわりを要求する人を初めて見ました。
「これは本当に美味しいですね、聖女アリア様。どうかレシピを教えていただけませんか、モグモグ」
なんというか、流石リードさんのお家の料理長さんと言うべきか、こちらの方も容赦なくおやつを食べていらっしゃいます。ぐるぐるケーキを一本持ち去って、厨房で全員で分けて食べたらしいです。すぐにレシピを要求する人も初めてです。
「ほほう、こちらの方が半魔神の聖女様でしかもリード坊ちゃんの胃袋を掴んでしまったアリア様ですね。ふむふむ、美味しいです、この爺も胃袋を掴まれてしまいましたぞ、はっはっは」
「はあ……」
リードさんの家は何と言うか「ああ、リードさんの家なのね……」という人たちで溢れていました。貴族様の家ってもっとこうミラージ公爵のお屋敷みたいに格式張って、妙な緊張感が流れているんだと思っていました。しかしリードさんの家は何か違います。
「あの、ドーリスさん?一人で食べるのはズルくないですか?」
「すいません、メイド長のメイヤーさん。もう食べてなくなってしまいました」
「箒で叩いていいです?」
「はは、勘弁してくださいよ」
ギスギスしてもいなくて、ふんわりした優しい雰囲気といえば聞こえがいいでしょうが、なんとなーく緩い感じが全体的にするお家です……。
「良く分かった。つまり、アリアさんを確保しておけば毎日美味しいご飯が食べられてリードはここに居るしかないという事だね!」
「素敵ね!ご飯の美味しいお嫁さんなんて最高だわ。料理長をよろしくね、アリアさん」
「いや、母さんそこはせめて俺をよろしくって言ってよ……」
「あらやだ間違えたわ。今日のお夕飯は何をいただきましょう!ね?アリアさん」
「母さん!食いしん坊すぎるだろう!」
「あらやだわまた間違えたわ」
「はは、ははは……」
実はこうして私の旅は唐突に終わりを告げてしまったのです。
「あ、あの、半魔神様の教会にご挨拶を……」
「な、なんだと!?あの潰れかけた教会か!よし分かったちょっと待っていなさい」
リードさんのお家の隣のお家が一瞬で取り壊されて、そこによぼよぼのおじいさんと小さな家が一つ立ちました。
「わ、ワシがぁ……この国のう……半魔神様のう……たったひとりのう……ゲホゲホ」
「お、おじいちゃん!もういいから、寝てて!」
慌ててベッドによぼよぼのおじいちゃんを寝かせて上げます。どうもこの方が半魔神様の神官さんのようです。
「すまないねえ……所で昼飯はまだかのう……」
「パン粥でいいですか?」
あっという間に空いた場所に半魔神様の小さな神殿が立ってしまいました……。
「息子が半魔神様にお仕えしたんだろ?そりゃ寄進位するさ!パン美味しいし」
「そうですよ~私達も半魔神様にお仕えしたいわースープ美味しいし」
「ていうかなんでも旨いしなー。ドラゴンステーキ美味かったぞー」
「「何それ食べたい」」
そしてすぐにマグノリア様もやって来られて
「行き先位書いて行きなさいよ!まあでもリードが一緒だって言うからここだと思ったけどね!」
「はあ……」
「良い神殿じゃない!これは人が集まりそうね!」
マグノリア様に続いて神官さん達も次々に引っ越してこられました。
「いやはや、すぐに手狭になってしまいましたなあ~何とかなりませんか?」
「任せてください!寄進します!」
神殿はあっという間に大きくなって、たくさんの人で賑やかになって行きます。ええええ!?
「ま、そういう感じだからさ。諦めてここで暮らしていきな?」
ポン、と後ろから肩を叩かれました。
「そんな、ルー様まで!」
振り返った時には神気しか残っていませんでしたが、神様に言われてしまってはまあ従うよりほかにないのかもしれませんね……。
「私、何を反省したらいいのでしょうかーー!」
「さあ?特に反省することなんてないんじゃないの?」
ああもう!これで良いのでしょうか!?
半魔神の聖女は今日も反省する【終】
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