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王都に
29 神殿は大騒ぎ
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アリアは分身したい勢いだった。
「えええ?!」
「アリアさま!パンが焼き上がりました!」
「クッキーのくるみがありません!」
「こっち!焼いて!」
「神殿前に運んでーーー!」
作るもの、食べる物、体の調子。全て気持ち良いのだ。
辺りの空気に神気がパチパチと弾けて、澄んで行く。空気が美味いとご飯も美味い!半魔神様の「いっぱい食べたい!」気持ちが溶け込んで、お腹の調子も快調!
特に施しとか、バザーとかやっている訳でもないのに。通常から売っているパンやクッキーが飛ぶように売れ。お茶やジュースがどんどん無くなる。
「お腹が空いてきたから何か食べ物を売って欲しいな」
と言うお参りに来た人に少し振舞ったら、自分も自分もと大混乱が起こった。
神官から司祭、見習いに至るまで総出で食べ物作りが始まってしまったのだ。
しかし作っても作ってもみな成功するし、パンのふわふわ度などいつもの1.5倍ふわっふわだ。
「枕にしたーい!」
自分の焼いたパンに顔を突っ込みかけた見習いもいた。
アリアがちょこんと置いた小さな神像は大人気で見ながら拝むと良いことがあると、参拝客が途絶えることがない。
「ひええええ!」
全員が走り回ったが、神気のおかげで疲れも溜まらずバンバン働ける!
「は、半魔神様って実は怖い!!!」
夕方になってやっと落ち着いてきた所でまたもや衝撃が走る。
「み、みなさーーん!非常に申し訳ないのですが!神様が来られますぅーーー!」
「1日に2柱?!」
「飲兵衛様がきますーーー!手の空いてるひとは周りからお酒をかき集めてください!!」
リードさんが、青くなっている私の肩を叩く。
「飲兵衛様って誰なの……?」
「お酒の神様です!ディオルフ様です!」
「わあ!有名神!」
嬉しそうに手を叩いたので、聞いてみる。
「リードさん、お酒飲めますか?」
「大好き!」
やった!
「飲兵衛様に付き合ってやってください!私は飲めないので、いつもつまらんって怒られるんですーー!」
「良いよ良いよー!やったー!美味い酒が飲めそう!」
「あの、皆さんの中でもお酒飲める人は飲兵衛様とご一緒して頂けませんか?楽しいのが好きな方ですから、人数が多い方が喜ばれます!」
かなりの人数が手を上げてくれた!やった!!今年はラク出来るぞー!
しばらくすると、ドーン!と言う大きな音が、中庭に響いた。
「来ましたー!皆んな突撃ーー!」
「ちんちくりん!今年のは美味かった!早く飲みたくてきちまったぞ!」
飲兵衛様は私の事をちんちくりんと呼ぶ。もう!
「飲兵衛様!今年はいっぱい人がいるので楽しんでいって下さいね!」
「おお!こりゃ良いな!」
来た時から上機嫌なんて、嬉しい限りだ。私は無限収納の飲兵衛様枠から樽を取り出す。去年のブドウで作ったお酒だ。
どかん!と樽を飲兵衛様の前に出して
「どうぞ!」
「いただくぜ!」
酒盛りの開始だ。パパっと飲兵衛枠から、料理を取り出し並べて行く。
毎年やってくるもんで暇を見て大量の料理を作ってはしまい、作ってはしまいしてあるのだ。
アリアはできる子!
簡単にフルーツを切ったものや生野菜、ナッツから手の込んだ煮込み、魚、何でもあるぞ!
「アリア!美味い!」
「ありがとうございます!」
見た目はほろ酔い美青年の飲兵衛様はどんどん料理を食べ、飲み干して行く。
昔はあちこちで飲兵衛様を迎えて宴があったそうだが、今はかなり減ってしまったらしい。
だからって半魔神様の聖女である私の所に来なくても、と思うけど。半魔神様と飲兵衛様は仲が良いんだ。
何せお料理好きの半魔神様と、美味い美味いと食べる飲兵衛様。作る方もあれだけ見事に食べると嬉しくなるんです!
飲兵衛様に何を食べさせようかな?って考えるのも楽しいんですよね!ふふふ!
「追加で作らないと足りないー!」
悲鳴だけど、楽しい。飲兵衛様の神気があふれてなんでも楽しくなってくる。
「アリア様、楽しいですね!」
「飲兵衛様が来てるからね!」
野菜を刻む音もリズミカルだ。
「お買い物から戻りましたー!なんです?この騒ぎは?楽しいですね!」
「中庭に参加してきて良いよ!」
お肉を炒めるのも、魚を煮るのもなんでもかんでも楽しい!はっきり言ってうるさいが音を聞きつけるとどんどん楽しくなってしまうから、怒るに怒れない。
流石、飲兵衛さま!
どんどん樽を追加してどんどん料理を運ぶ。
飲兵衛様が満足するまで宴は続く。
「えええ?!」
「アリアさま!パンが焼き上がりました!」
「クッキーのくるみがありません!」
「こっち!焼いて!」
「神殿前に運んでーーー!」
作るもの、食べる物、体の調子。全て気持ち良いのだ。
辺りの空気に神気がパチパチと弾けて、澄んで行く。空気が美味いとご飯も美味い!半魔神様の「いっぱい食べたい!」気持ちが溶け込んで、お腹の調子も快調!
特に施しとか、バザーとかやっている訳でもないのに。通常から売っているパンやクッキーが飛ぶように売れ。お茶やジュースがどんどん無くなる。
「お腹が空いてきたから何か食べ物を売って欲しいな」
と言うお参りに来た人に少し振舞ったら、自分も自分もと大混乱が起こった。
神官から司祭、見習いに至るまで総出で食べ物作りが始まってしまったのだ。
しかし作っても作ってもみな成功するし、パンのふわふわ度などいつもの1.5倍ふわっふわだ。
「枕にしたーい!」
自分の焼いたパンに顔を突っ込みかけた見習いもいた。
アリアがちょこんと置いた小さな神像は大人気で見ながら拝むと良いことがあると、参拝客が途絶えることがない。
「ひええええ!」
全員が走り回ったが、神気のおかげで疲れも溜まらずバンバン働ける!
「は、半魔神様って実は怖い!!!」
夕方になってやっと落ち着いてきた所でまたもや衝撃が走る。
「み、みなさーーん!非常に申し訳ないのですが!神様が来られますぅーーー!」
「1日に2柱?!」
「飲兵衛様がきますーーー!手の空いてるひとは周りからお酒をかき集めてください!!」
リードさんが、青くなっている私の肩を叩く。
「飲兵衛様って誰なの……?」
「お酒の神様です!ディオルフ様です!」
「わあ!有名神!」
嬉しそうに手を叩いたので、聞いてみる。
「リードさん、お酒飲めますか?」
「大好き!」
やった!
「飲兵衛様に付き合ってやってください!私は飲めないので、いつもつまらんって怒られるんですーー!」
「良いよ良いよー!やったー!美味い酒が飲めそう!」
「あの、皆さんの中でもお酒飲める人は飲兵衛様とご一緒して頂けませんか?楽しいのが好きな方ですから、人数が多い方が喜ばれます!」
かなりの人数が手を上げてくれた!やった!!今年はラク出来るぞー!
しばらくすると、ドーン!と言う大きな音が、中庭に響いた。
「来ましたー!皆んな突撃ーー!」
「ちんちくりん!今年のは美味かった!早く飲みたくてきちまったぞ!」
飲兵衛様は私の事をちんちくりんと呼ぶ。もう!
「飲兵衛様!今年はいっぱい人がいるので楽しんでいって下さいね!」
「おお!こりゃ良いな!」
来た時から上機嫌なんて、嬉しい限りだ。私は無限収納の飲兵衛様枠から樽を取り出す。去年のブドウで作ったお酒だ。
どかん!と樽を飲兵衛様の前に出して
「どうぞ!」
「いただくぜ!」
酒盛りの開始だ。パパっと飲兵衛枠から、料理を取り出し並べて行く。
毎年やってくるもんで暇を見て大量の料理を作ってはしまい、作ってはしまいしてあるのだ。
アリアはできる子!
簡単にフルーツを切ったものや生野菜、ナッツから手の込んだ煮込み、魚、何でもあるぞ!
「アリア!美味い!」
「ありがとうございます!」
見た目はほろ酔い美青年の飲兵衛様はどんどん料理を食べ、飲み干して行く。
昔はあちこちで飲兵衛様を迎えて宴があったそうだが、今はかなり減ってしまったらしい。
だからって半魔神様の聖女である私の所に来なくても、と思うけど。半魔神様と飲兵衛様は仲が良いんだ。
何せお料理好きの半魔神様と、美味い美味いと食べる飲兵衛様。作る方もあれだけ見事に食べると嬉しくなるんです!
飲兵衛様に何を食べさせようかな?って考えるのも楽しいんですよね!ふふふ!
「追加で作らないと足りないー!」
悲鳴だけど、楽しい。飲兵衛様の神気があふれてなんでも楽しくなってくる。
「アリア様、楽しいですね!」
「飲兵衛様が来てるからね!」
野菜を刻む音もリズミカルだ。
「お買い物から戻りましたー!なんです?この騒ぎは?楽しいですね!」
「中庭に参加してきて良いよ!」
お肉を炒めるのも、魚を煮るのもなんでもかんでも楽しい!はっきり言ってうるさいが音を聞きつけるとどんどん楽しくなってしまうから、怒るに怒れない。
流石、飲兵衛さま!
どんどん樽を追加してどんどん料理を運ぶ。
飲兵衛様が満足するまで宴は続く。
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