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半魔神の残念聖女
18 お兄ちゃんの正体
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「うわぁ……大きなお屋敷ですねぇ」
「アリアお姉さん、転んじゃうよ?」
「え?きゃっ!」
ケビンに声をかけられ、予想通りにアリアさんは絨毯に足を取られて前のめりに転ぶ。
急いで立ち上がり、パンパンと埃を払う動作をするが実際に埃なんてない。公爵家の屋敷の廊下はこのまま寝転んで昼寝ができるくらい掃除が行き届いていた。
「えっと、ケビンとルーイが辺境伯の息子で、お母さんはメイドさんだったのね?」
偉い人過ぎてよく分からないわ!
「うむ、わしの妹ベネットがフィッツ辺境伯の所に嫁いでおって……仲良く暮らしておるかと思っておったのじゃが……まさか御家騒動とは」
頭が痛い、そんな風にミラージ公爵は目頭を揉んだ。
「しかし、ケビンとルーイが無事で良かった!行方知れずと聞いて随分心配しておったが、こうしてここまで来れたのはそなた達のおかげと聞いておる。ありがとう、感謝しかない」
頭を下げられ、私とリードさんと弓使いのフィンラルさんは同じように首を振って、同じように焦り、同じように困った。
「や、やめて下さい!私達はただ、同じ乗り合い馬車に乗っただけですから!」
「アリアお姉さん、本当にありがとう!僕達はお姉さんに凄く助けられました」
ケビン君の言葉はとても嬉しい。
「困っている人がいたら助けるのが当たり前じゃない。ふふふ!あ、えーとケビン様!」
そうだ!この子は貴族の息子さんなんだった。ちゃんと様をつけなくっちゃね!
「ケビンでいいよ!アリアお姉さん!ルーイとお世話とアンも助けてくれてありがとう!アリアお姉さんがいなかったら、ルーイ、死んでたかもしれないって……」
「ええっ 赤ちゃん大丈夫だった?」
今は平気だって、ケビン君はにっこり笑った。
「詳しい話は中で致そう。こちらへ」
メイドさんが開けてくれた高そうな扉をくぐって、多分応接室らしき所に場違いな私達は通された。
きちんとした服を着て、身なりを整えると、ケビン君はどこから見ても貴族の子供だった。オーラが違うわ!
「辺境伯が隣国からの侵攻と部下の裏切りに遭ったのが10日前。そこから、メイドのアンに連れられてケビンとルーイが命からがら逃げたと言う訳だ」
ひぇぇ!私達がのんびり王都に向かって旅をしている間に辺境ではそんな事が!
「あの、公爵様。もしかして戦争に……なりますか……?」
おずおずとリードさんは質問する。戦争……私は平和な村しか知らないけど、怖いしやだな……。
「大規模なものにはならんと思うが……王都からの派兵もあったし。フィッツ辺境伯もベネットも無事が確認されたからの」
ミラージ公爵はケビンの方を向く。
「父上も母上も無事じゃ。お前とルーイの事を心配しておった。お前達が無事と分かれば、すぐに盛り返し痴れ者どもを追い払うであろうよ」
「!はいっ!おじ上!」
ケビン君は目に涙を浮かべながら、元気に応える。大変だったんだろうな。赤ちゃんの弟とメイドさんと3人で逃げ出したなんて。捕まったら酷い目に遭わされるし……。
「アリアさん、本当にありがとう。君のおかげでルーイは生き延びた。赤子のルーイが無事だったのは君の機転のお陰だ。山羊ミルクなど、良く調達できたな。感謝する」
公爵様に頭を下げられてしまった!ひえ!!
「あ、あの!わ、私は!できる事をしただけです!!あー、えー!あ!これも半魔神様の御加護のおかげですぅー!」
困った時は半魔神様のせいにすれば……違った半魔神様のおかげにすれば良いのよ!さっすが半魔神様!いつでもどこでも頼りになります!ありがとう!
私、半魔神さまの聖女で良かった!
「アリアお姉さん、転んじゃうよ?」
「え?きゃっ!」
ケビンに声をかけられ、予想通りにアリアさんは絨毯に足を取られて前のめりに転ぶ。
急いで立ち上がり、パンパンと埃を払う動作をするが実際に埃なんてない。公爵家の屋敷の廊下はこのまま寝転んで昼寝ができるくらい掃除が行き届いていた。
「えっと、ケビンとルーイが辺境伯の息子で、お母さんはメイドさんだったのね?」
偉い人過ぎてよく分からないわ!
「うむ、わしの妹ベネットがフィッツ辺境伯の所に嫁いでおって……仲良く暮らしておるかと思っておったのじゃが……まさか御家騒動とは」
頭が痛い、そんな風にミラージ公爵は目頭を揉んだ。
「しかし、ケビンとルーイが無事で良かった!行方知れずと聞いて随分心配しておったが、こうしてここまで来れたのはそなた達のおかげと聞いておる。ありがとう、感謝しかない」
頭を下げられ、私とリードさんと弓使いのフィンラルさんは同じように首を振って、同じように焦り、同じように困った。
「や、やめて下さい!私達はただ、同じ乗り合い馬車に乗っただけですから!」
「アリアお姉さん、本当にありがとう!僕達はお姉さんに凄く助けられました」
ケビン君の言葉はとても嬉しい。
「困っている人がいたら助けるのが当たり前じゃない。ふふふ!あ、えーとケビン様!」
そうだ!この子は貴族の息子さんなんだった。ちゃんと様をつけなくっちゃね!
「ケビンでいいよ!アリアお姉さん!ルーイとお世話とアンも助けてくれてありがとう!アリアお姉さんがいなかったら、ルーイ、死んでたかもしれないって……」
「ええっ 赤ちゃん大丈夫だった?」
今は平気だって、ケビン君はにっこり笑った。
「詳しい話は中で致そう。こちらへ」
メイドさんが開けてくれた高そうな扉をくぐって、多分応接室らしき所に場違いな私達は通された。
きちんとした服を着て、身なりを整えると、ケビン君はどこから見ても貴族の子供だった。オーラが違うわ!
「辺境伯が隣国からの侵攻と部下の裏切りに遭ったのが10日前。そこから、メイドのアンに連れられてケビンとルーイが命からがら逃げたと言う訳だ」
ひぇぇ!私達がのんびり王都に向かって旅をしている間に辺境ではそんな事が!
「あの、公爵様。もしかして戦争に……なりますか……?」
おずおずとリードさんは質問する。戦争……私は平和な村しか知らないけど、怖いしやだな……。
「大規模なものにはならんと思うが……王都からの派兵もあったし。フィッツ辺境伯もベネットも無事が確認されたからの」
ミラージ公爵はケビンの方を向く。
「父上も母上も無事じゃ。お前とルーイの事を心配しておった。お前達が無事と分かれば、すぐに盛り返し痴れ者どもを追い払うであろうよ」
「!はいっ!おじ上!」
ケビン君は目に涙を浮かべながら、元気に応える。大変だったんだろうな。赤ちゃんの弟とメイドさんと3人で逃げ出したなんて。捕まったら酷い目に遭わされるし……。
「アリアさん、本当にありがとう。君のおかげでルーイは生き延びた。赤子のルーイが無事だったのは君の機転のお陰だ。山羊ミルクなど、良く調達できたな。感謝する」
公爵様に頭を下げられてしまった!ひえ!!
「あ、あの!わ、私は!できる事をしただけです!!あー、えー!あ!これも半魔神様の御加護のおかげですぅー!」
困った時は半魔神様のせいにすれば……違った半魔神様のおかげにすれば良いのよ!さっすが半魔神様!いつでもどこでも頼りになります!ありがとう!
私、半魔神さまの聖女で良かった!
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