【完結】半魔神の聖女は今日も反省する

鏑木 うりこ

文字の大きさ
上 下
17 / 61
半魔神の残念聖女

17 ミラージ公爵

しおりを挟む
 ともかく、みんなで襲って来た男たちを集める。

「私はミラージ公爵に仕える騎士でございます。お三方を護衛するようにと任を受けて参りましたが……必要なかったですね」

「そんな事は!」

 私だって必死だったのよ!もう!騎士なら私が出る前に名乗り出てくれれば良いじゃない!ぷん!

「宜しければなのですが、このままミラージ公の居城まで来てもらえませんでしょうか?」

 私達は顔を見合わせたが、特別急ぐ理由もなかったので、了承した。半魔神様のお祭りまでまだまだ時間があるのと、命を狙われた3人がブルブル震え可哀想だったのもあった。

「わたしがついてるわ。頑張って領主様の所まで行こう?」

 まさか私にブルブルしてる訳じゃないですよね?!もうメイ太郎はしまってあるからね!

 襲って来た男達は縛り上げて木に結んで置いた。後で取り調べると言っていた。馬車はガタゴトと進み、街の中央にあるミラージ公爵のお屋敷の門をくぐります。

「うわーすごいですねー!」

 色とりどりの花が咲き乱れる庭を進むと大きな建物の前に偉そうなおじさんが見える。

「おじさま!」

 お兄ちゃんが窓から身を乗り出して手を振った。

「ケビン!!良く無事で!」


 んー、お兄ちゃん、あの偉そうなおじさんの事をおじさまって言ったね?おやおやぁ?私はもしかしてとんでもない失礼をやらかしたのかしら……?!

「り、リードさん……もしかして、私ったらかなり偉い人に色々やっちゃいましたか……?」

「い、いやぁ……俺もまさかこんなに偉い人がお出ましになるとは思わなかったぜ……」

 あわわ……ど、どうしよう!お兄ちゃんは1番偉そうな人をおじさんって呼んだわ……!
 馬車は止まり、お兄ちゃんは転がるように飛び出して、偉そうなおじさんに飛びついた。多分あの人がミラージ公爵……ひぇえ…!
 一緒に乗ってきた騎士さんがお母さんと赤ちゃんを下ろして、最後に私達がこそっと降りた。あうう、どうなっちゃうの私達!

 おじさんと目があった!た、助けてリードさん!あっ!私を!私を前に押し出さないで!リードさーーん!!

「こちらが半魔神の聖女様か!ありがとう!貴女様に私の甥たちが助けられたと聞いております!」

「よ、良かったぁ~~!怒られたらどうしようかと思っちゃったー!」

 ミラージ公爵は一瞬、キョトンとしたが、私の目の前で大笑いした。

 優しそうなおじさんでよかった!私達はほっと胸を撫で下ろした。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

怖いからと婚約破棄されました。後悔してももう遅い!

秋鷺 照
ファンタジー
ローゼは第3王子フレッドの幼馴染で婚約者。しかし、「怖いから」という理由で婚約破棄されてしまう。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...