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半魔神の残念聖女
16 今宵のメイ太郎
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囲まれています!囲まれているんです!しかもどうやらただの盗賊じゃなさそうなんです!
街が見えるまであともう一歩、そんな森で私達は悪い人に囲まれてしまいました!ひぇえ!
「この馬車に女と子供、そして赤ん坊が乗ってるな!?引き渡して貰おう」
訳ありさん狙いだーーー!流石訳ありさんだ……!
思わずそちらを見てしまう。お母さんは真っ青な顔でこちらを見返した。お兄ちゃんもお母さんの服をきゅっと握りしめて唇を噛んでいる。
「お姉、さん」
名前もまだ聞いていないお兄ちゃんは私を見ていた。
「ぼ、僕が、出てい「リードさん」」
私は口を挟んでいた。
「私は熊女じゃないですよ?」
緊張した顔をふっと緩めてリードさんは笑ってくれた。
「知ってますよ」
「ふふ!」
私も笑う事が出来た。良し!
「お兄ちゃんはお母さんと赤ちゃんを守るのよ?」
「おねえ、さん?」
「私が出ます」
私は1人で馬車から降りる。怖いけど、私なら出来ますよね?半魔神様!
「貴方たちは何者ですか!あの親子にどんな御用ですか?!」
「怪我するぞ!引っ込んでろ!」
「引っ込みません!貴方達こそ帰って下さい!」
私は支援魔法をかける。
「「身体強化!」「物理防壁!」」
「この女、魔法を使うぞ!」
まだまだいくよ!
「「打撃強化!」」
ぬるりと愛用のバトルメイスを取り出す。
「ふふふ!今宵のメイ太郎は血に飢えておる……!」
バトルメイスのメイ太郎よ!今、即興で名前をつけてやったわ!
「中の親子に用があるなら、私を倒してから行くことね!」
「るーさまホームラン!!!」
人って飛ぶんだ。それが俺の感想。アリアさんが力任せにバトルメイスを振ると、鎧を纏った男が飛んだ。馬車の後ろから俺と、弓使いの傭兵、そして謎の男……多分、あの親子の秘密の護衛だろう。
大の大人の男が雁首並べて16歳の女の子の戦いぶりをみている。そう、ただ見ていた……。
「凄まじいな……」
「そうですね」
「く、熊女……」
「馬鹿!殺されるぞ!」
ギンっ!アリアさんがこっちを睨んだ気がした。こ、怖い……。
「さあ!残りは貴方だけですよ……!」
アリアさんは19人の男たちを気絶させ、最後の司令官と向き合っていた。
司令官は分が悪いと逃げ出したが
「逃すかー!!!」
アリアさんのメイスが男脳天にヒットして、泡を拭いて司令官は倒れた。
「ほ、本当に一人で倒してしまった」
「ふぅ!もう大丈夫ですよ!」
手早く男達を縛り上げる。手付きも鮮やかで、人を縛り上げ慣れている……アリアさん、貴方はどうなってるんだ!
「村が山賊に襲われた時も私が撃退していましたからね!」
「アリアさんの村には他の神殿はなかったのですか?」
「ありましたよ?でも皆んな出てきてくれませんでしたから」
「村の男衆と一緒に戦ったんですか?」
「いいえ?これも、聖女の仕事だと言って誰も手伝ってくれませんでしたよ。罠や防護柵の設置くらい手伝ってくれたって良いのにって思ってました」
「アリアさんの住んでいた村はどうなってるんですか!全部アリアさんに押し付けてるんですか?!?!」
「えっ!それって普通じゃ?」
「普通じゃないですよ!」
アリアさんの境遇に驚いてしまった。
街が見えるまであともう一歩、そんな森で私達は悪い人に囲まれてしまいました!ひぇえ!
「この馬車に女と子供、そして赤ん坊が乗ってるな!?引き渡して貰おう」
訳ありさん狙いだーーー!流石訳ありさんだ……!
思わずそちらを見てしまう。お母さんは真っ青な顔でこちらを見返した。お兄ちゃんもお母さんの服をきゅっと握りしめて唇を噛んでいる。
「お姉、さん」
名前もまだ聞いていないお兄ちゃんは私を見ていた。
「ぼ、僕が、出てい「リードさん」」
私は口を挟んでいた。
「私は熊女じゃないですよ?」
緊張した顔をふっと緩めてリードさんは笑ってくれた。
「知ってますよ」
「ふふ!」
私も笑う事が出来た。良し!
「お兄ちゃんはお母さんと赤ちゃんを守るのよ?」
「おねえ、さん?」
「私が出ます」
私は1人で馬車から降りる。怖いけど、私なら出来ますよね?半魔神様!
「貴方たちは何者ですか!あの親子にどんな御用ですか?!」
「怪我するぞ!引っ込んでろ!」
「引っ込みません!貴方達こそ帰って下さい!」
私は支援魔法をかける。
「「身体強化!」「物理防壁!」」
「この女、魔法を使うぞ!」
まだまだいくよ!
「「打撃強化!」」
ぬるりと愛用のバトルメイスを取り出す。
「ふふふ!今宵のメイ太郎は血に飢えておる……!」
バトルメイスのメイ太郎よ!今、即興で名前をつけてやったわ!
「中の親子に用があるなら、私を倒してから行くことね!」
「るーさまホームラン!!!」
人って飛ぶんだ。それが俺の感想。アリアさんが力任せにバトルメイスを振ると、鎧を纏った男が飛んだ。馬車の後ろから俺と、弓使いの傭兵、そして謎の男……多分、あの親子の秘密の護衛だろう。
大の大人の男が雁首並べて16歳の女の子の戦いぶりをみている。そう、ただ見ていた……。
「凄まじいな……」
「そうですね」
「く、熊女……」
「馬鹿!殺されるぞ!」
ギンっ!アリアさんがこっちを睨んだ気がした。こ、怖い……。
「さあ!残りは貴方だけですよ……!」
アリアさんは19人の男たちを気絶させ、最後の司令官と向き合っていた。
司令官は分が悪いと逃げ出したが
「逃すかー!!!」
アリアさんのメイスが男脳天にヒットして、泡を拭いて司令官は倒れた。
「ほ、本当に一人で倒してしまった」
「ふぅ!もう大丈夫ですよ!」
手早く男達を縛り上げる。手付きも鮮やかで、人を縛り上げ慣れている……アリアさん、貴方はどうなってるんだ!
「村が山賊に襲われた時も私が撃退していましたからね!」
「アリアさんの村には他の神殿はなかったのですか?」
「ありましたよ?でも皆んな出てきてくれませんでしたから」
「村の男衆と一緒に戦ったんですか?」
「いいえ?これも、聖女の仕事だと言って誰も手伝ってくれませんでしたよ。罠や防護柵の設置くらい手伝ってくれたって良いのにって思ってました」
「アリアさんの住んでいた村はどうなってるんですか!全部アリアさんに押し付けてるんですか?!?!」
「えっ!それって普通じゃ?」
「普通じゃないですよ!」
アリアさんの境遇に驚いてしまった。
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