197 / 229
197 至高の喜びとよだれ
しおりを挟む
「昼食は選ぶ自由を設定したはず」
「その通りでございます」
「ならば私達が安全である外部の食事を取っても構わないだろう?」
「それはいけません! 殿下」
そうだ、まだレオンと調理担当者は戦ってたんだった、ごめーん。
「なぜか?」
「外部からの食材など何が紛れ込んでいるか分かりません、毒や危険物が含まれていたらどうなさるおつもりか!」
「その為に騎士や付き人が事前に毒見をしているのだ、そうだな?」
レオンが少しだけわざとらしく後ろを振り返ると、レオン付の騎士が胸に手を当てながらゆっくりと頷く。
「その通りでございます、レオン殿下」
そして左手にはパムから受け取った3段お弁当を持っている。彼の後ろにいる騎士も同じような仕草に同じような表情、そしてよだれがちろりと垂れている、それはしまって、しまって!
「もし仮にあのお弁当に危険なものがあればまず我が騎士達が気づく。騎士達の危機管理能力を信用していないのか?」
「き、騎士様を疑うことなど……」
「なら問題ないではないか」
おっとレオンは後ろにいる大人の騎士達の肩書を借りた、正しいな。そしてあの騎士達はパムのお弁当の虜だ。レオンの学園への護衛騎士は数名いて順番にやってくるが、全員その順番を楽しみにしている。可哀想にがっちり胃袋を掴まれてしまっているのだ……。
「サンドイッチ……ふふ……」
あっ! 駄目だ、レオン殿下の今日の護衛騎士、確か名前はリックだっけな?もうリックの頭の中にはサンドイッチしか詰まっていない!
「今日は三角のかな……丸いパンをくり抜いていっぱい小さいのが詰まってたのも美味しかったなぁ」
リック、リック!! 声大きいよ!
「三角ですよ……」
「わぁ……」
こら、パム! 変なささやきをしないで!
「わあ! 三角のやつ~。耳までいっぱい具が詰まってますか?」
「お任せください、フィンさま。このパムそこらあたりは抜かりはありませんよ」
「わあわあ! 楽しみです、パム。早くお弁当箱くださいな」
「こちらです。フィンさまのは小さめに切っておきましたけれど、皆さんと中身は同じですからね」
「わあわあ! ありがとうパム。残さず食べるね」
「はい、皆様が全部食べて空のお弁当箱が帰って来るのがパムの至高の喜びでございます」
「んんっ!!」
「あっ!」
レオンのわざとらしい咳払い。ホント、レオンごめん。だって皆、今日のお弁当も楽しみなんだもん。
「中休憩のおやつは手のひらミートパイです。包み紙から出さずに召し上がって下さい。パイは崩れやすいので包み紙を利用して食せば制服も手も汚さずに食べる事ができますよ」
「きゅふん……っ!な、なんの肉を使ったのかなぁ?!」
「ふふふ、ブラックバッファローの肩肉をミンチにしました」
「きゅふっっ!! それ絶対美味いやつっ」
「イアンっ! パムっ! 黙ってくれっ!!」
「はひぃっ!」
レオンに大声で怒られてしまった! でもレオンも口の端から垂れかかってる涎を拭いてね。ミートパイ、レオンの好物だもんね?
「その通りでございます」
「ならば私達が安全である外部の食事を取っても構わないだろう?」
「それはいけません! 殿下」
そうだ、まだレオンと調理担当者は戦ってたんだった、ごめーん。
「なぜか?」
「外部からの食材など何が紛れ込んでいるか分かりません、毒や危険物が含まれていたらどうなさるおつもりか!」
「その為に騎士や付き人が事前に毒見をしているのだ、そうだな?」
レオンが少しだけわざとらしく後ろを振り返ると、レオン付の騎士が胸に手を当てながらゆっくりと頷く。
「その通りでございます、レオン殿下」
そして左手にはパムから受け取った3段お弁当を持っている。彼の後ろにいる騎士も同じような仕草に同じような表情、そしてよだれがちろりと垂れている、それはしまって、しまって!
「もし仮にあのお弁当に危険なものがあればまず我が騎士達が気づく。騎士達の危機管理能力を信用していないのか?」
「き、騎士様を疑うことなど……」
「なら問題ないではないか」
おっとレオンは後ろにいる大人の騎士達の肩書を借りた、正しいな。そしてあの騎士達はパムのお弁当の虜だ。レオンの学園への護衛騎士は数名いて順番にやってくるが、全員その順番を楽しみにしている。可哀想にがっちり胃袋を掴まれてしまっているのだ……。
「サンドイッチ……ふふ……」
あっ! 駄目だ、レオン殿下の今日の護衛騎士、確か名前はリックだっけな?もうリックの頭の中にはサンドイッチしか詰まっていない!
「今日は三角のかな……丸いパンをくり抜いていっぱい小さいのが詰まってたのも美味しかったなぁ」
リック、リック!! 声大きいよ!
「三角ですよ……」
「わぁ……」
こら、パム! 変なささやきをしないで!
「わあ! 三角のやつ~。耳までいっぱい具が詰まってますか?」
「お任せください、フィンさま。このパムそこらあたりは抜かりはありませんよ」
「わあわあ! 楽しみです、パム。早くお弁当箱くださいな」
「こちらです。フィンさまのは小さめに切っておきましたけれど、皆さんと中身は同じですからね」
「わあわあ! ありがとうパム。残さず食べるね」
「はい、皆様が全部食べて空のお弁当箱が帰って来るのがパムの至高の喜びでございます」
「んんっ!!」
「あっ!」
レオンのわざとらしい咳払い。ホント、レオンごめん。だって皆、今日のお弁当も楽しみなんだもん。
「中休憩のおやつは手のひらミートパイです。包み紙から出さずに召し上がって下さい。パイは崩れやすいので包み紙を利用して食せば制服も手も汚さずに食べる事ができますよ」
「きゅふん……っ!な、なんの肉を使ったのかなぁ?!」
「ふふふ、ブラックバッファローの肩肉をミンチにしました」
「きゅふっっ!! それ絶対美味いやつっ」
「イアンっ! パムっ! 黙ってくれっ!!」
「はひぃっ!」
レオンに大声で怒られてしまった! でもレオンも口の端から垂れかかってる涎を拭いてね。ミートパイ、レオンの好物だもんね?
52
お気に入りに追加
1,883
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)
柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか!
そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。
完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる