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190 休日のランチです
しおりを挟む「目立たず学園生活するのは無理だった」
「そりゃそうでしょう! あははは」
学園最初の休日は街外れのミニィが買ったボロ屋敷でぼやくことから始めた。
数日前は本当にボロボロだったのに、今はもう多少見れる感じになって、外回りの門や塀が最低限だけど修理されている。
屋敷自体も外れた扉が一応直されていたり、割れたガラスの部分が板で塞がれていたりしている。
「でもキッチンはしっかり直ってましたね!」
「そりゃパムが来たって教えて貰ったからね! 優先させて直したよ」
「ありがとう、クレヤボンス。さあ皆さん、ご飯が出来ましたよー」
「わぁい!」
私とラセル、そしてクレヤボンスと部下の二人、そしてパムで昼食を食べる。
「タムさんは?」
「もう温室に夢中だよ。なんか貴重な花が咲きそうとかいってずっとこもってるんだって」
何百年に一回しか咲かない花とかいってたなー。
「学者さんも板についてるな。後で弁当届けてやるか」
「頼むね、クレヤボンス」
クレヤボンスの宅配弁当は無許可で学園に侵入するだろうけど、バレなきゃ問題ないよね?バレないといえば……。
「学園で隠すのってぼくがハイランドの王家と関係あることだけで良いの?」
「色々考えたんだけど、それで良いよ」
「そっかー。向こうとはあんまり関わってないから、大丈夫そうだけど。リゼレン大隊長のこととかミニィさんのこととか隠さなくてよかったのかなって思って」
お昼ご飯はパスタだ。ミートボールがいっぱい入った奴、しかも皆のお皿に山盛りに盛ってくれた。マナーも忘れて思いっきり頬張るのが美味しい奴だ。
「というかね、リゼレン大隊長は当然なんだけど、ミニィも結構有名人でね……隠し通せなさそうなの。隠し通せないことは中途半端に隠しちゃダメなんだ」
「そうかぁ~確かに途中から知ったら嫌な気持ちになるもんね」
「うん」
実際はミニィとリゼレン君は仲良くやっている。ちょっと皮肉屋のミニィ、あまり気にしないリゼレン君で何となくウマがあっているようだ。
でも帝国内部の貴族はそう思ってない。亡命してきた敵国元幹部とそれを牽制し見張るためのリゼレン大隊長、こういう取り合わせだと思っている。
実際、そう見えるようにマリアネットは配置したんだろうし、私でも同じ立場に立ったらそうする。そして最初に会った頃、ハイランドへ行く前のやり取りで私達が間者でも諜報員でもないことは分かってくれている。何せ元の国には何にも大事な物は残してきていないし、更に王太子まで追い返しているんだからね。
「だからその辺は秘密にするべきじゃないんだ。何か聞かれても分かってることなら何を話しても構わないよ」
「そっかー! 少しホッとしたよ。友達に隠し事は嫌だもん」
無邪気に笑うラセルにクレヤボンスが釘を刺してくれた。
「でもラセル。騙さなきゃいけない時もあるし、友達も選ばなきゃいけない時もあるのを忘れちゃいけないぞ。大抵はカバーできるけどラセルの言動にワイアード伯爵家がかかってくる時もあるからな?」
「う、うん……気をつける」
「おう! これからその辺は学んでいくんだぞ」
平民から貴族……特に帝国は大きい。国が大きいと悪意も大きい物だ。それから守る術も身につけていかないといけないからね。
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