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186 どうしてバレちゃうの
しおりを挟むあの兄弟、兄は剣が強くて弟は魔法が凄い。
「ぎゅぅ……」
「ど、どうしたのイアン?」
「なんでもないよ、ラセル兄さん……」
「何でもないって顔じゃないけど……」
ラセルのおまけとして気配を消して過ごそうと思ったのに、私まで悪目立ちしてしまった。つい、ちょっとやってしまっただけじゃないか……。
「我が学園始まって以来の魔力保有量です!」
ってマリアネットにまで報告が行ったらしい。もちろんマリアネットは椅子から転げ落ちるほど大笑いしたそうだ……ちくしょうっ。
「だ、だってあれくらい皆出来るじゃないか!そうだろ、タム!」
「大将、もしかして忘れてるかもしれないんですが……俺とミニィは天才って呼ばれてたんですよね、分かります?その俺とミニィを指して「皆」って言ってるとしたらそりゃあ世間からずれまくってますよ?」
「え? だって、タムもミニィも……あ、あれ?」
「大丈夫ッスかぁ? まあ俺は今日も温室の世話あるんで先行きますねー!」
朝にパムのお弁当さん屋さんで顔を合わせたタムに今度は呆れられてしまった。あ。あれ??そうだっけ?
「パム、そうだっけ……?」
「そうですよーイアン様。イアン様が教えていた魔導士達は結構強くなってましたけど、中々ついてこられなかったじゃないですか。ミニィちゃんが良く新人用の別トレーニングを用意してましたよ」
「えっ……そうなの?」
「そうですよー。普通の人は美味しいお茶が飲みたいからといって空中からキラキラしたお水をジャージャー出せませんからね?」
「えっ……出せないの?」
「……出ませんよ?」
あれ?こう、山の中にあるなんか凄いお水の泉の位置を覚えておいてそこからこう……ちょっと拝借してきちゃ駄目だった……?
「で、でもお茶は美味しい方がいいし……」
「美味しい方が良いですねぇ。あのキラキラした水は美味しいですねぇ。でも出ませんよ?」
「……ぎゅう……」
「諦めて天才魔法使いになった方が宜しいですね」
それは嫌だ!私は普通の学生として普通にラセルと学園生活を送るんだ!
「マリアお姉さんと仲良くなっておいて良かったですね。これ以上噂は大きくならないんじゃないですか?」
「もう最大値まで膨らんだようなものじゃないか……」
しょんぼりしつつ学園の教室に入ると教授陣から案の定呼び出されて質問攻めにされた。
「君は一体何なんだ!」
「なぜ、こんな子供にあんな魔力が」
全部に口を噤んで何も答えずいたら、マリアネットからの書状が届いて何とかなった……。助かる。
「へ、陛下から直々に文が届いてございます!」
「なにぃ!? 至急こちらに」
その手紙を読んで、学園長以下教授達は何度も私のほうを見て、それから首を傾げたり、不審そうな目で見たり……。
「……その子狐は特に害はないのでこれからも一般生徒として学園に通わせてやれ、だそうです」
「ぎゅっ!?」
どうして狐のことをバラすんだ!マリアネットめ!
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