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180 そんなに?
しおりを挟む「レオン様、この決闘の見届け人ですが、私では少々力不足です。学園の剣術の講師、学園長などを呼ばれた方が宜しいかと存じます」
「……ノイン卿、そんなにか?」
「はい。一体どのような修行をしたらあの年齢でここまでの実力を身に着けることができのでしょう……私が教えを請いたいくらいです」
二日後の決闘は放課後に行われることになり、学園の敷地内運動場にラセルとリメル・ダイアン、そしてレオン達とレオンの護衛騎士が現れた。
「ラセルは防具とか要らないの?」
「え、腕と脛にキレル草のガードつけてるよ!」
「だってリメル・ダイアンは全身鎧みたいだから」
「そうみたいだね」
約束の時間にラセルが運動場に到着すると観客はたくさんいたけれど、リメル・ダイアンは現れなかった。レオン達もつき、ややしばらくしてからよろよろといかにも重そうな鉄の全身鎧をまとってリメルはやってきた。
あまりに重いんだろう……あっちへよろよろ、こっちへよろよろ……彼の友人が両脇から支えていても重さに負けてたたらを踏んでいる。大丈夫なの??運動場へ足を踏み入れる前にぜーぜーと肩で息をしているのが分かる。立っているのがやっとじゃないかな、あれ……。
そしてガシャンガシャンと大きな音を立てながらリメルが到着した時点で護衛騎士がレオンの前に膝をついて頭を下げたのだった。
「へ……」
その言葉はリメルにも聞こえていたようで、間抜けな声が出た。そして私とラセルもちょっと顔を見合わせた。流石に大人の騎士のノイン卿にそんなことを言われるとは思わなかったけれど……ラセルの修業相手を考えるともしかしたらあるかもしれない……だって大抵ヘイズ達6兄弟と打ち合ってたもんね。
「ぼくなんてヘイズさんたちに片手で良くひっくり返されるくらいの初心者なのに」
「あ、うん……」
ごめん、そのヘイズ達がな……ちょっと強いからね、うん……。ちょーっとやり過ぎちゃったかなあ……ごめん、ラセル。ヘイズ達のいう初心者って多分世間の常識からずれてたんだと思う。
「殿下、私からの進言ですが、あの鉄の玩具みたいな少年と、あちらの剣士を戦わせる意味が分かりません。もう見えた勝負です、鉄の玩具が壊される現場を全員で見るのは些か趣味が宜しくないと思います」
「ノイン卿、そんなにか」
「はい、そんなにです」
見学に来ている生徒達がざわざわと騒ぎ出す。流石の私もそんなにか~~と呟いてしまう。
「……この決闘は取りやめに……」
ノイン卿はきっと信頼のおける騎士なんだろう、レオンがノイン卿の言葉を信じやめさせる決断をしたのに、リメルは必死で口を開いた。こういう時はちゃんと喋ることができるのは彼の運の悪さなんだろうか?
「で、殿下! 私は負けませんっ。あんな名前も聞いたことがないラセル・ワイアードなどに! どうか、どうかこのまま続けさせてください!!」
「しかし……」
「殿下っ! ダイアン家の名に懸けてお願い致します!!」
「むむ……」
家名までかけちゃったら流石のレオンも駄目だといいづらい。
「誰か、学園長と教授をお呼びしてくれ」
「私が行きましょう」
「頼んだ、セドリック」
こうしてやっぱり試合は続行されることになってしまった。
でももう私とラセルは飽きてきて、欠伸を噛み殺している状態であり、更に私達の関心事は昨日かいたパム宛の手紙が早くついてパムが助けに来てくれるかどうかになっていた。お願いたすけて……パムゥ。ご飯が美味しくないのはこんなに地獄だったんだね、辛いよぉ。
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