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179 2日後に決闘だ

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「ふむ……分かった。ラセル!」
「あれ? レオン、殿下。どうしたんですか?」
「あっ……ああっ」

 レオンはざわめく生徒の中からだったけれど、ラセルに直接声をかけた。レオンの声は良く響き、人々の中心にいたラセルにもはっきり届いたようだ……声の質は天分の物。レオンには人を惹きつける力がある。
 声をかけられたラセルは驚いて振り返り、リメル・ダイアンは驚いて声を詰まらせた。せっかく殿下とお話する機会なのに、リメルはそのタイミングも掴めないらしい。

「決闘だって? 見届け人が必要なのだろう?」
「ええ、彼にそう言われちゃって。大丈夫か心配なんですけど受けなきゃいけないんでしょう?学園の規則って凄いですね」
「はは、断れば自動的に負けと見なされるからね。日取りはいつなんだい?」
「私は今からでも良いんですけど、リメル・ダイアンは鎧が必要らしいんで、今からは無理でしょう」

 ラセルとレオンの視線がリメル・ダイアンに注がれる。リメルの返事待ちなのだが、リメルは緊張しているのか言葉に詰まってしまっている。

「あっ、うっ……あっ」
「……」

 両親からよっぽど圧力でもかけられているのか見ていても気の毒だ。

「ふむ……では2日後でどうだろう?私の護衛騎士に1人来てもらおう。彼なら腕も立つし大丈夫だろう」
「私はいつでも構いません」
「良いかな?君も」
「うあっ、ひぇい!」

 それ、了承なの?私は首を傾げたかったが、レオンがこくりと頷いてしまったのでそう決まってしまったようだ。

「では今日のところはこれで解散としよう。皆も良いね? 決闘は2日後だ」
「わかりました、レオン殿下」
「りょ、了解いたひまひたっ」

 リメルは最後までカミカミで、それでも深々とお辞儀はした。

「それじゃあ行こうかラセル。パムさんも来てるんだろう?」
「えっ? パムさんは来てないですよ。リアハーバーの料理の抜き打ちテストに行ってますもん」

 レオンとセドリック、フィンに至っては思いっきり不満の声を上げた。

「ええ~っ! またあのパンケーキ食べられると思って楽しみにしてたのにぃ」
「えっ、だって寮はご飯出るじゃないですか!パムさんは来ませんよ」

 そうだよ、ご飯が出るのにわざわざパムを呼んだりしないよ??
 するとレオン達は物凄く気の毒そうな目で私とラセルを見つめる。

「そうか、お前達はまだ寮のご飯を食べてないんだっけな……そうか、ならすぐにパムさんをよびたくなるさ、そう、すぐにだ」
「えっ……」

 私とラセルは暫く絶句してしまった。そんなに美味しくないの?ラセルはともかく私は無茶な日程で組まれた行軍を体験してるから大抵の食事は美味しくいただけるけど……。
 そう思いながら、レオン達と領に戻り、その日の夕食を食べた後に私は手紙を書いた。

「パムへ
学園の寮のご飯が高級な食材を使っているくせに
冒涜的に美味しくない調理法と味付けです。
このままでは私とラセルは萎びてしまいます。
君に慈悲の心があるなら、私達をどうか助けてやってくれませんか?
ていうか、助けて!!」

 そういえば無茶な行軍中もパムが用意してくれた特製携帯食料とかだったわ、食べてたの。
 あれ、結構美味しくて他の部隊の人が泣きながら分けてくれってきてたんだったけ……。

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