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174 注目が止まる所を知らない
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「むふーっ」
「あはは……」
私達の通う学校は帝国学園で、王族も通う由緒正しく古い歴史のある学校だった。物凄く急いでタウンハウスを手配したので随分街はずれになってしまったし、手入れも行き届いていない。
「基本、寮生活になるらしいので、タウンハウスは不要かと思いますが……クレヤボンスがアジト欲しいとかわがままを申しまして」
「良い具合に地下になんかある物件見つけちゃったから、つい!」
そんな感じでミニィは帝都にも屋敷を持った。そこから一応私達は登園して来た一日目、校門の前でラセルはやる気いっぱい鼻息を吹き出した所だった。
「今日からここで勉強するんだね!」
「そうだね、勉強、運動、あと生活も大体ここ。休日はタウンハウスに戻ってもいいけど、暫くはクレヤボンスたちが工事してると思うから夏休み頃が良いのかも」
「そっちもどうなるか楽しみだな~!」
ラセルは目を輝かせているけれど、周りを見回せばラセルみたいにキラキラしている子もいれば、どんより勉強なんてしたくないと顔に書いてある子もいる。貴族同士のトラブルもあるだろうし、親から過剰な期待を受けた子もいるだろう……そういう子に比べて我々は気が楽だ。
「まあ式があるみたいだし、行こう」
「うん、大ホールだっけ」
「そうみたい」
ラセルは周りの建物を見ることに一生懸命で視線には気が付いていないけれど、目立っている気がする。何せ子供時代に顔合わせが済んでいる貴族の子供達が多い中、私達は完全な新顔だからあいつらは誰だ?と探りの目で見られるのはしょうがないか。そしてもっと注目を集めてしまうのが彼らのせいだろう。
「ラセル! イアン!」
「レオン! ……殿下!」
「ははっラセルが畏まったぞ」
「まあ必要な事だからな」
式が行われる大ホールへ行く途中、在園中の中で一番高い地位にいるだろう面々が気安げに声をかけてくる事。目立つなという方が無理なんだよなあ。
「ラセルはともかく、イアンは色々大丈夫なのか?」
「ぼく……いや、私と部屋が一緒なので色々面倒みれます」
「それなら安心かな?」
「ラセルがイアンの面倒を見るんだな?」
次期皇帝だとみなされているレオン殿下に、その懐刀になるだろうセドリックと、もはや大神官の域に達したフィンがにこやかに話しかけ、それにラセルが臆することなく返す……そして三人とも私達のことを嫌がっていない、むしろ歓迎している……これだけでもう注目は留まる所を知らない、諦めよう。
「前のリアハーバー、楽しかったぞ、ラセル。あの後帝都に帰ったら勉強が簡単すぎて笑ってしまった」
「ミニィさんは効率大好きなんですよ。お陰でぼく……えっと、私もなんとか学園の勉強はクリアしたと思います」
「クリアした? 学園での学習はほとんど身に着けたみたいな言い方だがそうなのか?」
「ええと……帝国での礼儀作法は分からない所があるから実践しておいでって」
「えっ……ラセル一年生なのにもう中級の勉強分るの?」
「中級の勉強がどのくらいか分からないから何とも言えないけど……」
はっきり言う、中級の勉強は終わってる……。ミニィのやつ教えれば教えるほどラセルが吸収していくから面白がって教えてた。
「あはは、なるほど。義父上が小さかった私に色々教え込んだ理由がわかりました。これは楽しい」
「だろ? しかも孤児上がりのミニィの方が貪欲だったから本当に何でも覚えて凄かったんだぞ」
「でも今日はもうやめよ~~頭があっついよぉ!」
来る前にだいぶ詰め込まれたからなあ。まあ学力の心配は多分ないし、それなりに楽しい学園生活は送れると思う!
「あはは……」
私達の通う学校は帝国学園で、王族も通う由緒正しく古い歴史のある学校だった。物凄く急いでタウンハウスを手配したので随分街はずれになってしまったし、手入れも行き届いていない。
「基本、寮生活になるらしいので、タウンハウスは不要かと思いますが……クレヤボンスがアジト欲しいとかわがままを申しまして」
「良い具合に地下になんかある物件見つけちゃったから、つい!」
そんな感じでミニィは帝都にも屋敷を持った。そこから一応私達は登園して来た一日目、校門の前でラセルはやる気いっぱい鼻息を吹き出した所だった。
「今日からここで勉強するんだね!」
「そうだね、勉強、運動、あと生活も大体ここ。休日はタウンハウスに戻ってもいいけど、暫くはクレヤボンスたちが工事してると思うから夏休み頃が良いのかも」
「そっちもどうなるか楽しみだな~!」
ラセルは目を輝かせているけれど、周りを見回せばラセルみたいにキラキラしている子もいれば、どんより勉強なんてしたくないと顔に書いてある子もいる。貴族同士のトラブルもあるだろうし、親から過剰な期待を受けた子もいるだろう……そういう子に比べて我々は気が楽だ。
「まあ式があるみたいだし、行こう」
「うん、大ホールだっけ」
「そうみたい」
ラセルは周りの建物を見ることに一生懸命で視線には気が付いていないけれど、目立っている気がする。何せ子供時代に顔合わせが済んでいる貴族の子供達が多い中、私達は完全な新顔だからあいつらは誰だ?と探りの目で見られるのはしょうがないか。そしてもっと注目を集めてしまうのが彼らのせいだろう。
「ラセル! イアン!」
「レオン! ……殿下!」
「ははっラセルが畏まったぞ」
「まあ必要な事だからな」
式が行われる大ホールへ行く途中、在園中の中で一番高い地位にいるだろう面々が気安げに声をかけてくる事。目立つなという方が無理なんだよなあ。
「ラセルはともかく、イアンは色々大丈夫なのか?」
「ぼく……いや、私と部屋が一緒なので色々面倒みれます」
「それなら安心かな?」
「ラセルがイアンの面倒を見るんだな?」
次期皇帝だとみなされているレオン殿下に、その懐刀になるだろうセドリックと、もはや大神官の域に達したフィンがにこやかに話しかけ、それにラセルが臆することなく返す……そして三人とも私達のことを嫌がっていない、むしろ歓迎している……これだけでもう注目は留まる所を知らない、諦めよう。
「前のリアハーバー、楽しかったぞ、ラセル。あの後帝都に帰ったら勉強が簡単すぎて笑ってしまった」
「ミニィさんは効率大好きなんですよ。お陰でぼく……えっと、私もなんとか学園の勉強はクリアしたと思います」
「クリアした? 学園での学習はほとんど身に着けたみたいな言い方だがそうなのか?」
「ええと……帝国での礼儀作法は分からない所があるから実践しておいでって」
「えっ……ラセル一年生なのにもう中級の勉強分るの?」
「中級の勉強がどのくらいか分からないから何とも言えないけど……」
はっきり言う、中級の勉強は終わってる……。ミニィのやつ教えれば教えるほどラセルが吸収していくから面白がって教えてた。
「あはは、なるほど。義父上が小さかった私に色々教え込んだ理由がわかりました。これは楽しい」
「だろ? しかも孤児上がりのミニィの方が貪欲だったから本当に何でも覚えて凄かったんだぞ」
「でも今日はもうやめよ~~頭があっついよぉ!」
来る前にだいぶ詰め込まれたからなあ。まあ学力の心配は多分ないし、それなりに楽しい学園生活は送れると思う!
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