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149 新しいタイプのイチャイチャ
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「暑苦しいっくっつかないで下さい!」
「えー? 仲良くしましょう~?」
「離れろっ」
お金持ちのリゼレン君が合流したので、私達の乗っている馬車がちょっと豪華になった。座り心地がちょっと良くなった座席に私とラセルは並んで座ってみる。ちょっと嬉しいな。そんな私達の向かい側のミニィの横にリゼレン君がピッタリくっ付いて遊んでいる、微笑ましいなぁ。またじゃれ合いをしているんだけど、やっぱりラセルは心配なようで恐る恐る私に聞いて来た。
「イ、イアン、ミニィさんはリゼレン師匠のことが嫌いなの? そんなことないよね?」
ちょっと語気の荒いミニィの言葉にラセルが気を使ってしまっている。
「なぁに、あれは照れ隠しで俗に言うツンデレ?とか言うやつだ。本当は好きなんだよ」
「えっ! そうなのタムさん?! 良かったぁ」
この世にある激まずドリンクを一気飲みしたようなものすごーく嫌な顔をしているけれど、ミニィは否定しなかった。これ以上ラセルに心配をかけたくないんだろう、吐き出したい言葉をぐわっと飲み込んでカッコいい顔が台無しになっている。
「そうです、私達は凄く仲良しですよ、ねー? ミニィさん」
「ソウデスネーナカヨシデスウ」
ミニィは優しくて良い子だよ。ほっとして胸を撫でおろしているラセルのためなら我慢できる素敵な子だ……それでも本気で嫌がってないって私は気が付いてるよ、タムもね。ミニィが本気で嫌った人間はいつの間にか消えてるからね……不思議だね……どこの闇に葬られたんだろうねえ、うん。
「おーい、そんなことより見えて来たぞー海だ」
「えー! どこどこー!わーーっ」
「わー! 光ってる~」
空気を察したのか御者を買って出ているクレヤボンスから明るい声が飛んで来た。馬車の窓を開けて私とラセルは顔を出す。後ろでしっかりタムが服を引っ張って落ちないようにしてくれているのがありがたい。
「鳥!」
「白い鳥! 食べられるかなぁ~?」
「パムさんに後で聞こう!」
私達は海鳥を見上げながらやっと海辺の街、リアハーバーに到着した。
「リア伯爵の屋敷に行きましょう。大丈夫、伯爵は気のいいおじさんですから堅苦しくないですよ」
「こんな怪しい面子は歓迎して貰えないだろ?」
「もう怪しくないじゃないですか。ワイアード伯爵とその息子達と家人ですよ、問題ないです」
「そうだった……」
「……ぼくも偉い人の家は嫌だな……」
ラセルもハイランド国でリトス伯爵の家で嫌な目に合っているから、腰が引けている。あの御仁は暇を見てクレヤボンスがネチネチと虐めてくれるらしいからそれで留飲を下げておこうと思う。
「大丈夫ですよ、ラセル。だって今度は皆一緒ですから。イアンもミニィさんもタムさんも勿論私もね」
リゼレン君がパチーンと音がしそうなウィンクをラセルに向ける。年頃の女の子なら目がハートになって倒れちゃうかもしれないけれど、我らがラセルならそんなことはない。にこっと負けない笑顔を返すぞ!
「うん! なら大丈夫だね」
「そうそう、その笑顔が大事だよ」
貴族相手はもしかしたらリゼレン君が一番上手かもしれないなぁ。めんどくさいから全部お任せしたいな、そう考えると良い人材なのかもしれない。
「ミニィさんは私のことを名前で呼んでくださいね、仲良しアピールです」
「……名前、知らねえし」
「アイザックです。アイザック・リゼレン。父は侯爵で、リゼレン家の三男ですよ。侯爵家は継げませんから、ワイアード伯爵家へ婿入りです、ふふ」
「謹んでお断りしたい」
「無理だって分ってるくせに~あっタムさんの言っていたツンデレですね、ツンデレ。可愛いですよ~」
「黙れ」
「これがツンデレかぁ~なにかぐっとくるものがあります、良いですねぇ」
「うるさい、黙れって言ってるだろ、アイザック」
「怒られちゃった、あはは」
やっぱり結局仲良しなんだよね。これって新しいタイプのイチャイチャなんだろうか?悩むところだなあ。
「えー? 仲良くしましょう~?」
「離れろっ」
お金持ちのリゼレン君が合流したので、私達の乗っている馬車がちょっと豪華になった。座り心地がちょっと良くなった座席に私とラセルは並んで座ってみる。ちょっと嬉しいな。そんな私達の向かい側のミニィの横にリゼレン君がピッタリくっ付いて遊んでいる、微笑ましいなぁ。またじゃれ合いをしているんだけど、やっぱりラセルは心配なようで恐る恐る私に聞いて来た。
「イ、イアン、ミニィさんはリゼレン師匠のことが嫌いなの? そんなことないよね?」
ちょっと語気の荒いミニィの言葉にラセルが気を使ってしまっている。
「なぁに、あれは照れ隠しで俗に言うツンデレ?とか言うやつだ。本当は好きなんだよ」
「えっ! そうなのタムさん?! 良かったぁ」
この世にある激まずドリンクを一気飲みしたようなものすごーく嫌な顔をしているけれど、ミニィは否定しなかった。これ以上ラセルに心配をかけたくないんだろう、吐き出したい言葉をぐわっと飲み込んでカッコいい顔が台無しになっている。
「そうです、私達は凄く仲良しですよ、ねー? ミニィさん」
「ソウデスネーナカヨシデスウ」
ミニィは優しくて良い子だよ。ほっとして胸を撫でおろしているラセルのためなら我慢できる素敵な子だ……それでも本気で嫌がってないって私は気が付いてるよ、タムもね。ミニィが本気で嫌った人間はいつの間にか消えてるからね……不思議だね……どこの闇に葬られたんだろうねえ、うん。
「おーい、そんなことより見えて来たぞー海だ」
「えー! どこどこー!わーーっ」
「わー! 光ってる~」
空気を察したのか御者を買って出ているクレヤボンスから明るい声が飛んで来た。馬車の窓を開けて私とラセルは顔を出す。後ろでしっかりタムが服を引っ張って落ちないようにしてくれているのがありがたい。
「鳥!」
「白い鳥! 食べられるかなぁ~?」
「パムさんに後で聞こう!」
私達は海鳥を見上げながらやっと海辺の街、リアハーバーに到着した。
「リア伯爵の屋敷に行きましょう。大丈夫、伯爵は気のいいおじさんですから堅苦しくないですよ」
「こんな怪しい面子は歓迎して貰えないだろ?」
「もう怪しくないじゃないですか。ワイアード伯爵とその息子達と家人ですよ、問題ないです」
「そうだった……」
「……ぼくも偉い人の家は嫌だな……」
ラセルもハイランド国でリトス伯爵の家で嫌な目に合っているから、腰が引けている。あの御仁は暇を見てクレヤボンスがネチネチと虐めてくれるらしいからそれで留飲を下げておこうと思う。
「大丈夫ですよ、ラセル。だって今度は皆一緒ですから。イアンもミニィさんもタムさんも勿論私もね」
リゼレン君がパチーンと音がしそうなウィンクをラセルに向ける。年頃の女の子なら目がハートになって倒れちゃうかもしれないけれど、我らがラセルならそんなことはない。にこっと負けない笑顔を返すぞ!
「うん! なら大丈夫だね」
「そうそう、その笑顔が大事だよ」
貴族相手はもしかしたらリゼレン君が一番上手かもしれないなぁ。めんどくさいから全部お任せしたいな、そう考えると良い人材なのかもしれない。
「ミニィさんは私のことを名前で呼んでくださいね、仲良しアピールです」
「……名前、知らねえし」
「アイザックです。アイザック・リゼレン。父は侯爵で、リゼレン家の三男ですよ。侯爵家は継げませんから、ワイアード伯爵家へ婿入りです、ふふ」
「謹んでお断りしたい」
「無理だって分ってるくせに~あっタムさんの言っていたツンデレですね、ツンデレ。可愛いですよ~」
「黙れ」
「これがツンデレかぁ~なにかぐっとくるものがあります、良いですねぇ」
「うるさい、黙れって言ってるだろ、アイザック」
「怒られちゃった、あはは」
やっぱり結局仲良しなんだよね。これって新しいタイプのイチャイチャなんだろうか?悩むところだなあ。
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