149 / 229
147 うぐっていうしかなかった
しおりを挟む
「リゼレン君。元ミニィの父、今ミニィの息子としてキミに物申すきゅんっ」
「聞きましょう、イアンさん。そして仲良くしましょうね」
にこっと笑う男前はちょっと眩しいくらいだけど、私は騙されないぞ!ガツンといってやらなきゃ、こういうのは最初が肝心なんだからね!
「君はお金を持っているかい!?」
「義父上ーーっ!?」
「ミニィ、お金は大事だよ!」
「浪費家のアンタに言われたくないーーっ!」
ミニィから鋭いツッコミが入ったけれど、お金というものはいつでも大切だし、力になるし、なきゃこまるものだ。あればあるに越したことはない!
「ありますよ、大丈夫です」
「そっか、良かったぁ~ならいいや。ミニィを幸せにしてあげてください。あの子は小さい時から苦労ばっかりして」
「お任せください、元義父上様」
「役立たずーーーーっ!」
まあ色んな罵声がミニィから飛んできているけれど、これってどうしようもないことなんだよね。ミニィも分かってて騒ぎ立てているのは全部ひっくり返らないって分かってて愚痴なんだ。何せすべてに皇帝の印がある命令書だ。帝国の貴族に名前を連ねてしまったミニィはそれを断ることは許されないし……あと、やっぱり便利なんだよね、良く計算された配置なんだ。
まずラセルがリゼレン君の弟子って所を上手く説明づけ出来る。何せ将来息子になる人物ならば、弟子なんて当たり前だ。才能があるから弟子にしたより、息子だから教え込んだの方がしっくりくる。
それにミニィや私達への監視役と取る人もいるだろう。私は可愛い子狐さんだから、何の問題もないけれど、ミニィ、タム、ヘイズなんかは顔も名前も知れ渡っている。軍人なんかは好意的な目で見る人は少ないだろう。
有能だけれど、ついこの前まで敵国の将だった男が何故か貴族席を貰って堂々と居座る、面白くない奴らも多いだろう。そして、有能だからこそ何か裏があるのではないか?裏切るのではないかと考える者も少なくないはずだ。
そこに目付け役としてリゼレン君が配置されれば、安心できるという事だろうな。
「ほら見て、イアンさんも賛成だって。ラセルもそれで良いよね?」
「リゼレン大隊長がぼくのお父さん? でもミニィさんもぼくのお父さん?」
「ミニィさんはお母さんかなぁー?」
「お父さんですっ!」
声を荒げながらも分かっているミニィは完全に否定出来ないでいる。ああやって怒りながら頭の中では冷静に計算をしているんだろう。どうやったら条件を満たせるか考えて考えて……浮かんでいないに違いない。
実際、私もこの案より良い条件が見出せない。この中でリゼレン君の伴侶になり得るのはミニィくらいしかいない。歳が近いのはタムだろうけど、タムは腹芸が得意じゃないから、貴族と渡り合えない。あとタムだとちょっと年上過ぎるし。
「嫌かい?」
優しくラセルに尋ねるリゼレン君。
「ううん! 家族が増えて嬉しい!」
「うぐっ」
結局、ラセルの笑顔の前にミニィは撃沈してしまった。ミニィもらせるのことを気に入っているから、がっかりしょんぼりさせたくないんだもんね。
「聞きましょう、イアンさん。そして仲良くしましょうね」
にこっと笑う男前はちょっと眩しいくらいだけど、私は騙されないぞ!ガツンといってやらなきゃ、こういうのは最初が肝心なんだからね!
「君はお金を持っているかい!?」
「義父上ーーっ!?」
「ミニィ、お金は大事だよ!」
「浪費家のアンタに言われたくないーーっ!」
ミニィから鋭いツッコミが入ったけれど、お金というものはいつでも大切だし、力になるし、なきゃこまるものだ。あればあるに越したことはない!
「ありますよ、大丈夫です」
「そっか、良かったぁ~ならいいや。ミニィを幸せにしてあげてください。あの子は小さい時から苦労ばっかりして」
「お任せください、元義父上様」
「役立たずーーーーっ!」
まあ色んな罵声がミニィから飛んできているけれど、これってどうしようもないことなんだよね。ミニィも分かってて騒ぎ立てているのは全部ひっくり返らないって分かってて愚痴なんだ。何せすべてに皇帝の印がある命令書だ。帝国の貴族に名前を連ねてしまったミニィはそれを断ることは許されないし……あと、やっぱり便利なんだよね、良く計算された配置なんだ。
まずラセルがリゼレン君の弟子って所を上手く説明づけ出来る。何せ将来息子になる人物ならば、弟子なんて当たり前だ。才能があるから弟子にしたより、息子だから教え込んだの方がしっくりくる。
それにミニィや私達への監視役と取る人もいるだろう。私は可愛い子狐さんだから、何の問題もないけれど、ミニィ、タム、ヘイズなんかは顔も名前も知れ渡っている。軍人なんかは好意的な目で見る人は少ないだろう。
有能だけれど、ついこの前まで敵国の将だった男が何故か貴族席を貰って堂々と居座る、面白くない奴らも多いだろう。そして、有能だからこそ何か裏があるのではないか?裏切るのではないかと考える者も少なくないはずだ。
そこに目付け役としてリゼレン君が配置されれば、安心できるという事だろうな。
「ほら見て、イアンさんも賛成だって。ラセルもそれで良いよね?」
「リゼレン大隊長がぼくのお父さん? でもミニィさんもぼくのお父さん?」
「ミニィさんはお母さんかなぁー?」
「お父さんですっ!」
声を荒げながらも分かっているミニィは完全に否定出来ないでいる。ああやって怒りながら頭の中では冷静に計算をしているんだろう。どうやったら条件を満たせるか考えて考えて……浮かんでいないに違いない。
実際、私もこの案より良い条件が見出せない。この中でリゼレン君の伴侶になり得るのはミニィくらいしかいない。歳が近いのはタムだろうけど、タムは腹芸が得意じゃないから、貴族と渡り合えない。あとタムだとちょっと年上過ぎるし。
「嫌かい?」
優しくラセルに尋ねるリゼレン君。
「ううん! 家族が増えて嬉しい!」
「うぐっ」
結局、ラセルの笑顔の前にミニィは撃沈してしまった。ミニィもらせるのことを気に入っているから、がっかりしょんぼりさせたくないんだもんね。
61
お気に入りに追加
1,894
あなたにおすすめの小説
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?
菟圃(うさぎはたけ)
BL
「ネヴィ、どうして私から逃げるのですか?」
冷ややかながらも、熱がこもった瞳で僕を見つめる物語最大の悪役。
それに詰められる子悪党令息の僕。
なんでこんなことになったの!?
ーーーーーーーーーーー
前世で読んでいた恋愛小説【貴女の手を取るのは?】に登場していた子悪党令息ネヴィレント・ツェーリアに転生した僕。
子悪党令息なのに断罪は家での軟禁程度から死刑まで幅広い罰を受けるキャラに転生してしまった。
平凡な人生を生きるために奮闘した結果、あり得ない展開になっていき…
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる