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146 どこでそんな約束を取り付けか、それは言えない。
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「んじゃ続きは現物を手に入れてからにしよう。アーチンについては各自調べておこうね」
「分かった~」
私も実際アーチンを食べた事はない。多分海の生き物だからしょっぱいのかな?その程度の知識だ。トゲトゲがついてるくらいだからきっと厳重に守られてて美味しいんだろうなあくらいしか分からない。
「アーチン食べてみたいね~」
「うん!」
パムが鼻息も荒く、色々なレシピ本を読み漁ってアーチンについての事前情報を仕入れている。どんな食材でもパムにかかれば美味しくなるだろうけど、研究の結果もっと美味しくなりそうで本当に楽しみ!
「さあて、このまま荷車でリアハーバーまで行くのは流石に目立ちすぎますから、近くの街道の宿場町で普通の旅人になりましょう。ヘイズ達は随分北まで行ってしまったので、ロイが伝令に走ってます。そのうち合流できるでしょう」
「パープルアーチンと戦う前に合流できたらいいよ」
とりあえずヘイズをぶつけてアーチンの強さを測らないといけないからね。これにはみんな同意らしく何の否定意見もなかった。宿場町のかなり遠くで荷車から降りる。荷車とロバはクレヤボンスが近くの農家に格安で売ってきたらいしい。仕事が捗って助かると感謝されたらしいけど……まあ、追手はないようだから、ロバも農家も安寧に暮らせるとは思う。
藁を払い、クレヤボンスから簡単な旅装を貰って旅の一向に早変わりした。
「大将は子供姿に戻った方が良いです。子供二人連れも目立つけど、子供と狐連れのほうが目立ちますからね」
「そうだなあ……町に入る時は子供の恰好でいよう」
そうして、港までの旅行者が足を休める宿場町に踏み込んだところで、私達は見たことがある顔に出会ってしまった。
「おーい、おーい」
「なんであいつが?」
目が良いタムがその美麗な人物を最初に見つけ、ミニィはぎょっとしてからクレヤボンスを睨み、クレヤボンスはどこかへ消えて気配もなく、ラセルは驚きと喜びに目を輝かせて走り寄った。
「あれ? どうして師匠がいるんですかー!」
「やあ! ラセル。私もリアハーバーに行く……君達と合流したくて待ってたんだ」
久しぶりの美形の剣士リゼレン大隊長だったけれど、相変わらず格好良くてイラっとする奴である。町の娘さんなのか、旅の若いお嬢さんなんだろうか、殆どの女性が目を潤ませてリゼレン大隊長を見ている。別に悔しいとか勝ちたいとは思わないけれど、何か腹立たしいのはしょうがないよね!
「僕達と一緒? わぁ嬉しいなあ」
「うん、私も私の可愛い婚約者と一緒が良いからね」
私の可愛い婚約者って言った!私・ミニィ・タムは素早く視線を合わせる。リゼレン大隊長と言えば、皇帝陛下に仕えるために婚約者を設けず、ただひたすら陛下のために腕を磨いて来た男である……と、聞き及んでいる。そいつが婚約者ぁ?何か含みがある気がする。
「えっ師匠に婚約者の人がいたの? どこどこ?」
「あそこだよ」
おお、ラセル。それは良い質問だ。私達もそれが聞きたかった……ってリゼレン大隊長が指を指しているのは……あれ?私達の方?待って、私達の後ろに人はいない。私達の前にはリゼレン大隊長とラセルしかいない。彼が指を指している方向には私とミニィとタムしかいないんだが?
私の思考はちょっと遅れた。びっくりしたからだけど。タムの思考はもうちょっと遅れた。きっと私よりいっぱいびっくりしたからだと思う。最初にその100個あるんじゃないか?と言われた頭で多分間違えてない答えにたどり着いたミニィは大声で叫んだ。
「クレヤボンスーーッ!! アンタッ、どんな約束取り付けたんだーーーっ!! ぜってぇゆるさねえからなーーっ!!」
リゼレン大隊長の差した人差し指は、まっすぐミニィに向かっている。あらぁ?ミニィ、いつの間に婚約者ができてたのかなぁ。しかも男の婚約者だねえ?元義父として気になっちゃうなぁ~……。
どゆこと?
「分かった~」
私も実際アーチンを食べた事はない。多分海の生き物だからしょっぱいのかな?その程度の知識だ。トゲトゲがついてるくらいだからきっと厳重に守られてて美味しいんだろうなあくらいしか分からない。
「アーチン食べてみたいね~」
「うん!」
パムが鼻息も荒く、色々なレシピ本を読み漁ってアーチンについての事前情報を仕入れている。どんな食材でもパムにかかれば美味しくなるだろうけど、研究の結果もっと美味しくなりそうで本当に楽しみ!
「さあて、このまま荷車でリアハーバーまで行くのは流石に目立ちすぎますから、近くの街道の宿場町で普通の旅人になりましょう。ヘイズ達は随分北まで行ってしまったので、ロイが伝令に走ってます。そのうち合流できるでしょう」
「パープルアーチンと戦う前に合流できたらいいよ」
とりあえずヘイズをぶつけてアーチンの強さを測らないといけないからね。これにはみんな同意らしく何の否定意見もなかった。宿場町のかなり遠くで荷車から降りる。荷車とロバはクレヤボンスが近くの農家に格安で売ってきたらいしい。仕事が捗って助かると感謝されたらしいけど……まあ、追手はないようだから、ロバも農家も安寧に暮らせるとは思う。
藁を払い、クレヤボンスから簡単な旅装を貰って旅の一向に早変わりした。
「大将は子供姿に戻った方が良いです。子供二人連れも目立つけど、子供と狐連れのほうが目立ちますからね」
「そうだなあ……町に入る時は子供の恰好でいよう」
そうして、港までの旅行者が足を休める宿場町に踏み込んだところで、私達は見たことがある顔に出会ってしまった。
「おーい、おーい」
「なんであいつが?」
目が良いタムがその美麗な人物を最初に見つけ、ミニィはぎょっとしてからクレヤボンスを睨み、クレヤボンスはどこかへ消えて気配もなく、ラセルは驚きと喜びに目を輝かせて走り寄った。
「あれ? どうして師匠がいるんですかー!」
「やあ! ラセル。私もリアハーバーに行く……君達と合流したくて待ってたんだ」
久しぶりの美形の剣士リゼレン大隊長だったけれど、相変わらず格好良くてイラっとする奴である。町の娘さんなのか、旅の若いお嬢さんなんだろうか、殆どの女性が目を潤ませてリゼレン大隊長を見ている。別に悔しいとか勝ちたいとは思わないけれど、何か腹立たしいのはしょうがないよね!
「僕達と一緒? わぁ嬉しいなあ」
「うん、私も私の可愛い婚約者と一緒が良いからね」
私の可愛い婚約者って言った!私・ミニィ・タムは素早く視線を合わせる。リゼレン大隊長と言えば、皇帝陛下に仕えるために婚約者を設けず、ただひたすら陛下のために腕を磨いて来た男である……と、聞き及んでいる。そいつが婚約者ぁ?何か含みがある気がする。
「えっ師匠に婚約者の人がいたの? どこどこ?」
「あそこだよ」
おお、ラセル。それは良い質問だ。私達もそれが聞きたかった……ってリゼレン大隊長が指を指しているのは……あれ?私達の方?待って、私達の後ろに人はいない。私達の前にはリゼレン大隊長とラセルしかいない。彼が指を指している方向には私とミニィとタムしかいないんだが?
私の思考はちょっと遅れた。びっくりしたからだけど。タムの思考はもうちょっと遅れた。きっと私よりいっぱいびっくりしたからだと思う。最初にその100個あるんじゃないか?と言われた頭で多分間違えてない答えにたどり着いたミニィは大声で叫んだ。
「クレヤボンスーーッ!! アンタッ、どんな約束取り付けたんだーーーっ!! ぜってぇゆるさねえからなーーっ!!」
リゼレン大隊長の差した人差し指は、まっすぐミニィに向かっている。あらぁ?ミニィ、いつの間に婚約者ができてたのかなぁ。しかも男の婚約者だねえ?元義父として気になっちゃうなぁ~……。
どゆこと?
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