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137 海しかない
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「け、賢者様の杖も見つかったとは本当か!」
「お爺ちゃん……」
私もミニィもタムも……多分どこかから気配を消しながら見守っているクレヤボンスも、向こうの茂みからこっちを見ているロイも全員意見がまとまった。
うん、ラセルを連れてこの国を出よう、海に行こうって。
もし仮に、祖父である前国王が一番最初にラセルの身を案じたなら、私達は様子を見ようとしたと思う。しかしどうだ? 第一声が杖だと。後はそんな男の息子と、そんな男が王だった国だ。程度が見えてしまった。
「ラセル、この杖は一体どこで手に入れたんだ!! 」
「何回も説明したよ。遺跡の三階で短剣と一緒に見つけたって……それにその杖はイアンにあげたんだ、もうイアンの物だし、短剣は僕のだ。返してよ、お爺ちゃん」
ラセルの細い肩をギュッと掴み上げて必死な顔で尋ねる男を私達は無表情で見る。なんて事だ、ラセルが痛そうに顔をしかめている。きっと肩に指の跡がつくだろう……良い塗り薬をぬってやらないと。近くの建物の二階の窓から冷たい気配が漂ってくる。ああ、クレヤボンスはあの辺か。クレヤもだいぶ怒ってるなー……ミニィ達は間近にいるから怒りの殺気を綺麗に消しているけど、きっと髪の毛が逆立つくらい怒ってる目の色だ。怖い怖い。
「いたっ」
前国王、いやクソジジィはもう少し強めにラセルの肩に指を食い込ませた。わがままを言う子供を無言の圧力で封じ込める大人の顔だ……私の大っ嫌いな顔。ぶん殴りたい。8歳児パンチで吹っ飛ばせるだろうか?攻撃補助魔法をてんこ盛りすればいけるな? そっとミニィを見れば小さく親指を立ててるし、タムはウィンクしようとして両目をつぶっている……やれる。
「ラセル、あれは国宝だ。お前のおもちゃじゃない」
「お爺ちゃん、でもあれは僕の大事な物ーー」
私が右膝に力をいれ、ほんの少し前傾姿勢になりかけた所で現国王が偉そうに現れた。ルセラの遠い血筋何だろうが似てない。全然似てない。快活さがない、覇気もない、なんか全体的にどんよりしてて濁ってる。なんか悪いことを続けて神様からそっぽを向かれた感がある……あと臭い。
「ぎゅっ」
つい、鳴き声が漏れるぐらい臭い。何だろ、これ。動物の香料を焚き込んだのかな?こんなんじゃどこにいても居場所が分かるくらい臭い。これで戦場に出たら良い的だろうなー。あーやだやだ。
「ラセル、ならば入手場所を教えよ。そうでなければこれが真にお前の物だと証明出来ぬ」
「言った通りだってば!!」
「あの遺跡は地下二階までしかない。何年も調べて出ている結果だ」
あーもー無駄過ぎる。ミニィも時間の無駄だと切り捨てたし、タムも半分は海辺の海藻について想いを巡らせてる。
「あそこは資格ある者が近づいた時だけ三階が開くんだけれど? 何年調べても分からなかったか? 床と壁にに魔力判定の魔法陣があるんだけど。あと剣がラセルのかどうか分かる簡単な方法があるけど教えて上げようか?」
「なんだ、この子供は」
現国王は思いっきり不快に眉を寄せたが、ラセルがパッと振り向いた。
「僕のものだって分かる方法があるの?イアン」
うん、この好奇心丸出しの輝く顔が良いんだよ、ラセルはね!
「短剣を鞘から抜けるのは持ち主だけだ。多分誰も抜けなかっただろう?」
私の指摘に大人達は少し怯んだ。それは私の言葉が正しいからだろうな。
「お爺ちゃん……」
私もミニィもタムも……多分どこかから気配を消しながら見守っているクレヤボンスも、向こうの茂みからこっちを見ているロイも全員意見がまとまった。
うん、ラセルを連れてこの国を出よう、海に行こうって。
もし仮に、祖父である前国王が一番最初にラセルの身を案じたなら、私達は様子を見ようとしたと思う。しかしどうだ? 第一声が杖だと。後はそんな男の息子と、そんな男が王だった国だ。程度が見えてしまった。
「ラセル、この杖は一体どこで手に入れたんだ!! 」
「何回も説明したよ。遺跡の三階で短剣と一緒に見つけたって……それにその杖はイアンにあげたんだ、もうイアンの物だし、短剣は僕のだ。返してよ、お爺ちゃん」
ラセルの細い肩をギュッと掴み上げて必死な顔で尋ねる男を私達は無表情で見る。なんて事だ、ラセルが痛そうに顔をしかめている。きっと肩に指の跡がつくだろう……良い塗り薬をぬってやらないと。近くの建物の二階の窓から冷たい気配が漂ってくる。ああ、クレヤボンスはあの辺か。クレヤもだいぶ怒ってるなー……ミニィ達は間近にいるから怒りの殺気を綺麗に消しているけど、きっと髪の毛が逆立つくらい怒ってる目の色だ。怖い怖い。
「いたっ」
前国王、いやクソジジィはもう少し強めにラセルの肩に指を食い込ませた。わがままを言う子供を無言の圧力で封じ込める大人の顔だ……私の大っ嫌いな顔。ぶん殴りたい。8歳児パンチで吹っ飛ばせるだろうか?攻撃補助魔法をてんこ盛りすればいけるな? そっとミニィを見れば小さく親指を立ててるし、タムはウィンクしようとして両目をつぶっている……やれる。
「ラセル、あれは国宝だ。お前のおもちゃじゃない」
「お爺ちゃん、でもあれは僕の大事な物ーー」
私が右膝に力をいれ、ほんの少し前傾姿勢になりかけた所で現国王が偉そうに現れた。ルセラの遠い血筋何だろうが似てない。全然似てない。快活さがない、覇気もない、なんか全体的にどんよりしてて濁ってる。なんか悪いことを続けて神様からそっぽを向かれた感がある……あと臭い。
「ぎゅっ」
つい、鳴き声が漏れるぐらい臭い。何だろ、これ。動物の香料を焚き込んだのかな?こんなんじゃどこにいても居場所が分かるくらい臭い。これで戦場に出たら良い的だろうなー。あーやだやだ。
「ラセル、ならば入手場所を教えよ。そうでなければこれが真にお前の物だと証明出来ぬ」
「言った通りだってば!!」
「あの遺跡は地下二階までしかない。何年も調べて出ている結果だ」
あーもー無駄過ぎる。ミニィも時間の無駄だと切り捨てたし、タムも半分は海辺の海藻について想いを巡らせてる。
「あそこは資格ある者が近づいた時だけ三階が開くんだけれど? 何年調べても分からなかったか? 床と壁にに魔力判定の魔法陣があるんだけど。あと剣がラセルのかどうか分かる簡単な方法があるけど教えて上げようか?」
「なんだ、この子供は」
現国王は思いっきり不快に眉を寄せたが、ラセルがパッと振り向いた。
「僕のものだって分かる方法があるの?イアン」
うん、この好奇心丸出しの輝く顔が良いんだよ、ラセルはね!
「短剣を鞘から抜けるのは持ち主だけだ。多分誰も抜けなかっただろう?」
私の指摘に大人達は少し怯んだ。それは私の言葉が正しいからだろうな。
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