126 / 229
126 今更可愛いふりをしてみたんだが
しおりを挟む
「ルセラはどこにでもいるような元気な男の子だった。私のことを良く慕ってくれた……ただそれだけだったはずなのに、ルセラはいつの間にか国王になってしまったんだ。だから心配で心配で……」
「色々やらかしてしまった訳か」
ややっそんなに色々はやってなぞ?地層学、神学的に強い土地を選び、敵に攻め込まれず、守りやすい場所に城を建て、城の構造も堅固なものにしてちょっと隠し部屋をつけただけじゃないか……。
あっ!ヤダ、タムとミニィが変な目でこっち見てるっ、私は悪くない絶対悪くない、あの場に二人がいたら絶対同じことすると思うもん!
「わ……悪くない……きゅん」
「今更狐ぶっても駄目です」
「うっ! 」
厳しいよう~助けてラセル!
「イアンは、お爺ちゃんイアンだったの?その時もぼくと一緒だったの?」
「そうなんだ。私は王様になったルセラ……ラセルで間違いないと思うんだけど、ルセラが王様として頑張っている最中に死んじゃったんだ。あ、病気とか怪我とかじゃなくて歳でね。最後はベッドの上で皆に囲まれてたんだけど……どうしてもルセラが心配でね。多分その心残りのせいでこうしてまた出てきちゃったんだと思う」
そうとしか考えられない。何百年の前の私は最後の瞬間までルセラがちゃんと楽しく生きていけるか心配していた。出来る事なら彼の成長を見守っていきたかったが、流石に人間の身では無理がある。だからこうしてラセルとして生まれ変わったルセラを見守る為に……む、そう考えるとなんだか過保護すぎてちょっと気持ち悪いかも。私ってばちょっとダメなお爺ちゃんだったんじゃないのかな?もしかして。
「そんなはずないきゅん」
「過保護~」
「ぎゅ」
うるさいっ!
「ちちう……イアンがそのルセラが気になって戻って来てしまったのは分かりましたが、ラセルは?ラセルも何か不思議な記憶があるのでしょう?心当たりがありますか? 」
「ぼく?ぼく……あるよ! 」
あるんだ!ルセラは一体何を願ったんだろう?やっぱり国の繁栄?世界の平和……いや、あのルセラの事だ、美味しいものをお腹いっぱい食べたいとか、食べたことない物を食べたいとかそういうのだろうなあ!私がちょっとワクワクしながらラセルの答えを待っていると、予想外の言葉を聞くことができた。
「ぼくね、イアンと一緒に冒険をしたかったんだ!ぼく……多分、ルセラだと思うんだけど、ルセラとお爺ちゃんのイアンが出会ったときはもうイアンはお爺ちゃんだったの!だから、どこかに一緒に行こうっていっても腰が痛いとか膝が痛いとか……ワシは留守番をしておるよって言われちゃう。ルセラはね、イアンと一緒に遺跡へ行ったり、山に行ったり海に行ったりしたかったんだ、だからかな! 」
ラセルはひょいっと私を抱き上げた。
「今度は一緒に行けるでしょ!イアン。ぼく、海に行ってみたい!水がしょっぱいんでしょ?そして一緒に泳ごうよ! 」
え!?私と一緒に冒険するためにルセラは願ったのか?そうしてラセルになってまた私達は出会ったのかい??
「色々やらかしてしまった訳か」
ややっそんなに色々はやってなぞ?地層学、神学的に強い土地を選び、敵に攻め込まれず、守りやすい場所に城を建て、城の構造も堅固なものにしてちょっと隠し部屋をつけただけじゃないか……。
あっ!ヤダ、タムとミニィが変な目でこっち見てるっ、私は悪くない絶対悪くない、あの場に二人がいたら絶対同じことすると思うもん!
「わ……悪くない……きゅん」
「今更狐ぶっても駄目です」
「うっ! 」
厳しいよう~助けてラセル!
「イアンは、お爺ちゃんイアンだったの?その時もぼくと一緒だったの?」
「そうなんだ。私は王様になったルセラ……ラセルで間違いないと思うんだけど、ルセラが王様として頑張っている最中に死んじゃったんだ。あ、病気とか怪我とかじゃなくて歳でね。最後はベッドの上で皆に囲まれてたんだけど……どうしてもルセラが心配でね。多分その心残りのせいでこうしてまた出てきちゃったんだと思う」
そうとしか考えられない。何百年の前の私は最後の瞬間までルセラがちゃんと楽しく生きていけるか心配していた。出来る事なら彼の成長を見守っていきたかったが、流石に人間の身では無理がある。だからこうしてラセルとして生まれ変わったルセラを見守る為に……む、そう考えるとなんだか過保護すぎてちょっと気持ち悪いかも。私ってばちょっとダメなお爺ちゃんだったんじゃないのかな?もしかして。
「そんなはずないきゅん」
「過保護~」
「ぎゅ」
うるさいっ!
「ちちう……イアンがそのルセラが気になって戻って来てしまったのは分かりましたが、ラセルは?ラセルも何か不思議な記憶があるのでしょう?心当たりがありますか? 」
「ぼく?ぼく……あるよ! 」
あるんだ!ルセラは一体何を願ったんだろう?やっぱり国の繁栄?世界の平和……いや、あのルセラの事だ、美味しいものをお腹いっぱい食べたいとか、食べたことない物を食べたいとかそういうのだろうなあ!私がちょっとワクワクしながらラセルの答えを待っていると、予想外の言葉を聞くことができた。
「ぼくね、イアンと一緒に冒険をしたかったんだ!ぼく……多分、ルセラだと思うんだけど、ルセラとお爺ちゃんのイアンが出会ったときはもうイアンはお爺ちゃんだったの!だから、どこかに一緒に行こうっていっても腰が痛いとか膝が痛いとか……ワシは留守番をしておるよって言われちゃう。ルセラはね、イアンと一緒に遺跡へ行ったり、山に行ったり海に行ったりしたかったんだ、だからかな! 」
ラセルはひょいっと私を抱き上げた。
「今度は一緒に行けるでしょ!イアン。ぼく、海に行ってみたい!水がしょっぱいんでしょ?そして一緒に泳ごうよ! 」
え!?私と一緒に冒険するためにルセラは願ったのか?そうしてラセルになってまた私達は出会ったのかい??
55
お気に入りに追加
1,888
あなたにおすすめの小説
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる