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100 ロイはお兄ちゃんのよう
しおりを挟む僕が大騒ぎするデンブルさんに見つからないように移動すると、やっぱりロイが手招きしてた。
「ロイ!」
「ラセルこっちだ、ちょっと移動するぞ」
「うん」
僕はロイの後ろをついて走る。ロイは街の中を色々知っているみたいでとても楽しそうに走って行く。階段を3段飛ばしで駆けおりたり、壁を蹴ってジャンプしてみたり、手すりをお尻で滑ったり。僕もちょっと真似してみたらロイに褒められた。
「お、ラセルはセンスあるよ」
「ほんと?やったー! 」
結構離れた所で、ロイが屋台のジュースを買ってくれたので、二人で飲みながら噴水のある広場のベンチに腰掛けた。やっぱりロイはここの簡単な地図を持っていて、僕に指をさしながら教えてくれる。
「ここがラセルの泊っているリトス伯爵の屋敷がある所。貴族街でも結構端になる。この大きいのが王宮、白いのが神殿。あの背の高いのは時計塔で、俺達がいるのが中央広場の噴水だ」
「うん、うん……この辺の道を通ってきたのかな?」
僕がリトス伯爵の家がある所から伸びている道を指差すと、ロイは「正解」と笑って教えてくれた。
「そしてあのデブが立ち往生したのがこの辺で、あのあたりには遺跡に潜る冒険者がたくさんいるね。情報屋も多いからあの辺で聞き込みすると平民の事なら結構分かるよ」
「デンブルさんだよ? 」
一応違うって伝えたけれど「大して変わらんだろ」って言われちゃった。うーん……まあ、そうかも?
「俺が集めた話によると、ルッソ家はもう王都には住んでなくて、ここから一日くらい離れた町にいるっぽい。会いに行っても問題ないと思うぞ」
「一応お祖父ちゃんが調べてくれてるからちょっと待ってみるね」
「うん、嘘を教えられるようだったり、中々見つからないとか適当な事言われそうなら俺と行こう」
「そうする」
ロイがどんだけ優秀なのか分からないけど、ロイが一日で調べられることをお祖父ちゃんが何十日もかかるわけないよね?
「それとやっぱり王様はラセルのことを疑ってるな。あわよくば取り入ってくる盗賊かなんかみたいに思ってるっぽい」
「そっかあ……じゃあお父さんの親戚のことが分かったら帰りたいな」
「それもいいかもな。わざわざ敵陣で勉強することもねぇし、命なんて狙われたらたまったもんじゃないしな」
なんか怖いなあ……。
「よーしじゃあ俺がヤバイ大人の追いかけられた時の対処法を教えてやるぞ。これは下町のちょこっとだけ悪さをする子供達が良くやる業なんだが……」
「えー!なになに、教えてー! 」
相手の股下をくぐったり、馬飛びジャンプをしたり、勢いをつけたら壁も走れることを教えてもらった。
「日頃から周りに何があるか見ておくのもいいもんだぞ」
「分かった! 」
ロイといると兄ちゃんが出来たみたいな気がして本当に楽しい!
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