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92 その程度でも
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ミニィやタムが何も言わずに立っている。ヘイズは元からこの場に来ていない、あいつは色々粗雑だから繊細な場所に連れてくるのは危険すぎる。
それに、私達は一度国に戻って王太子を何とかしないといけない。あいつはなんで追手を出してるんだ?ミニィ達に何か用なんだろうか。クレヤボンスが私の死体は王太子の一行が持ち帰り、反逆者としてさらし者にしたと聞いている。多分その時に私が本物であると確認したはずだから、イアン・ワイアードを追っているということはないはずなんだが。
「ラセル、ワシに今までのことを詳しく教えてくれないか? 」
「……分かったよ、お祖父ちゃん」
前国王は中々口が達者だ。向こうに母親が好きだった場所がある、なんて言いながらラセルだけを連れて行く。
まあ、分かっているけどね。
「ご苦労様でした。もうお帰りになって結構です。これは旅費にでも充ててください」
残された我々に伯爵は金貨の入った袋を差し出す。
「随分と足元を見られましたね、我々も」
「クレヤボンスに評価を下げてもらわにゃならんな」
「でも、くれるもんはもらっておくのが私達の流儀だきゅん。でもその後の事はこれで一切無視するきゅん」
ミニィが受け取った袋にはかなりの金貨が入っていたけれど、我々に払う対価としてはあまりにも少な過ぎる。
「国でももう少し出してくれたきゅ」
「我らが何者か知らなかったと言われそうですが、義父上が一切無視と決めたら我らは従います」
「なんだかんだ言って将軍の読みは当たるしな。これからあの変態王太子を始末か?」
そういう事はここで話しちゃダメでしょ、タム。
「まあ、そこそこに」
「では帰りましょうか。マリアお姉さんの力でも借ります?」
「黒曜将軍の方が良いかも。彼の方が好戦的だ」
「良いですね。彼の国の図書館には興味があります」
「き、狐が喋った……!」
リトス伯爵は目を白黒させて驚いていたけれど、その辺りはどうでもいい。この伯爵もあの元国王もきっと深く調べなかったんだろう。もしかしたらこの短期間に潜り込んだクレヤボンスがどこかで情報を操作したのかもしれない。そのクレヤボンスの情報操作に気が付かない程度の国なのだろう……。
私達を王族に連なるものを連れて来て小金をせしめようとする小悪党とでも認識したんだろうな。流石に甘いと言わざるを得ないがちょうどいいと言えばちょうどいい。
「あの王太子はなんか変だから、ラセルに会わせたくないしね」
「やっと義父上があいつの異常さに気が付きましたか」
「あいつとち狂ってるからなーホントこの人は無防備に挨拶して。齧られなかったのが奇跡だよ」
えっ!彼は努力家のいい王太子だったはずなのに、そうなの?
「そ、そんなことないだろう?」
「いいえ、義父上を見る目が異常でした」
「うん、異常に執着してたし。あれは誰の目から見ても異常者の目だった」
「えええええ……私の話を良く聞いて親身になってくれてたのに」
いつも遠くから走って来て挨拶もしてくれて、何か困ったことはないか、力になれることはないかと話しかけてくれたのに。
「でも結局義父上を罠にかけて追いつめて殺したのはあいつだった」
「良く考えてくださいよ、なんで遠くからいつも走って追いかけてくるんですか。気持ち悪いでしょ」
「ええええええ……でも確かに王太子暗殺の罪に問われたんだっけ」
あれ?もしかして本当にアウレア殿下って変な人だったの??
それに、私達は一度国に戻って王太子を何とかしないといけない。あいつはなんで追手を出してるんだ?ミニィ達に何か用なんだろうか。クレヤボンスが私の死体は王太子の一行が持ち帰り、反逆者としてさらし者にしたと聞いている。多分その時に私が本物であると確認したはずだから、イアン・ワイアードを追っているということはないはずなんだが。
「ラセル、ワシに今までのことを詳しく教えてくれないか? 」
「……分かったよ、お祖父ちゃん」
前国王は中々口が達者だ。向こうに母親が好きだった場所がある、なんて言いながらラセルだけを連れて行く。
まあ、分かっているけどね。
「ご苦労様でした。もうお帰りになって結構です。これは旅費にでも充ててください」
残された我々に伯爵は金貨の入った袋を差し出す。
「随分と足元を見られましたね、我々も」
「クレヤボンスに評価を下げてもらわにゃならんな」
「でも、くれるもんはもらっておくのが私達の流儀だきゅん。でもその後の事はこれで一切無視するきゅん」
ミニィが受け取った袋にはかなりの金貨が入っていたけれど、我々に払う対価としてはあまりにも少な過ぎる。
「国でももう少し出してくれたきゅ」
「我らが何者か知らなかったと言われそうですが、義父上が一切無視と決めたら我らは従います」
「なんだかんだ言って将軍の読みは当たるしな。これからあの変態王太子を始末か?」
そういう事はここで話しちゃダメでしょ、タム。
「まあ、そこそこに」
「では帰りましょうか。マリアお姉さんの力でも借ります?」
「黒曜将軍の方が良いかも。彼の方が好戦的だ」
「良いですね。彼の国の図書館には興味があります」
「き、狐が喋った……!」
リトス伯爵は目を白黒させて驚いていたけれど、その辺りはどうでもいい。この伯爵もあの元国王もきっと深く調べなかったんだろう。もしかしたらこの短期間に潜り込んだクレヤボンスがどこかで情報を操作したのかもしれない。そのクレヤボンスの情報操作に気が付かない程度の国なのだろう……。
私達を王族に連なるものを連れて来て小金をせしめようとする小悪党とでも認識したんだろうな。流石に甘いと言わざるを得ないがちょうどいいと言えばちょうどいい。
「あの王太子はなんか変だから、ラセルに会わせたくないしね」
「やっと義父上があいつの異常さに気が付きましたか」
「あいつとち狂ってるからなーホントこの人は無防備に挨拶して。齧られなかったのが奇跡だよ」
えっ!彼は努力家のいい王太子だったはずなのに、そうなの?
「そ、そんなことないだろう?」
「いいえ、義父上を見る目が異常でした」
「うん、異常に執着してたし。あれは誰の目から見ても異常者の目だった」
「えええええ……私の話を良く聞いて親身になってくれてたのに」
いつも遠くから走って来て挨拶もしてくれて、何か困ったことはないか、力になれることはないかと話しかけてくれたのに。
「でも結局義父上を罠にかけて追いつめて殺したのはあいつだった」
「良く考えてくださいよ、なんで遠くからいつも走って追いかけてくるんですか。気持ち悪いでしょ」
「ええええええ……でも確かに王太子暗殺の罪に問われたんだっけ」
あれ?もしかして本当にアウレア殿下って変な人だったの??
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