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51 じひなきち、予言とは
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「まあそれで周囲がわいのわいの言っているうちは良かったんですよ。でもね、この国の王はとんでもないことを思い始めたんですよ」
「とんでもないこと……きゅん?」
「……可愛いですね、それ。もっとやってください」
「っ! 油断すると出ちゃうんだ……ぎゅ」
うっ意識すると変な声が出てしまう~!ミニィとリゼレンがものすごい優しい笑顔でこっちを見ている!みるなああああ!!話の続きをしてっ
「まあ、続きですね。この国の王はあなたを冷遇しました、何故か」
「わからん」
「義父上、予言のせいですよ。「じひなきち」……つまり慈悲将軍と呼ばれたあなたを国外へ排除することを秘密裏に決めたんです」
「はあ!?また予言ーー!?」
尻尾の家が全部逆立ってボンと膨らんでしまった。
「そう、慈悲将軍を追い出して、この地を「慈悲無き地」にしようと思ったんです。でも表立ってイアン将軍を追い出すことはできない……あなたは国民に慕われ過ぎていた。あなたを理由もなく追い出せば確実に王の権威は失墜し国民は激怒して襲い掛かるでしょう。だから数々の嫌がらせを貴方にしてきたんです……でもあなた方は優秀過ぎた。全ての無茶な要求をこなしてしまった」
「まさか、そんな馬鹿な話……私は、私達は王家に忠誠を誓って。そして国民を少しでも平和で優しい場所へ導けるように……」
「悲しい事ですが、この国の王家とはその程度のものだったんです」
私はこの国の貴族の家に生まれた。伯爵家という素晴らしい爵位に恥じないよう、物心ついた時から懸命に生きてきた。三男という立場から兄上達より求められることは少なかったが、出来ることを最善を尽くせるよう頑張ってきたはずだった。
「その努力も思いも……そのわけの分からない予言のせいで?」
絞り出され、零れた言葉はものすごい重さを持っていたんだろう。ミニィもリゼレンも俯いて暗く沈んでしまった。でもその重さをなんとかしようという気持ちには一欠片もなれない。
「そのいつ起こるとも、正しいとも何もかも分からない予言のせいで、私と私の仲間たちの血と汗と命を使い潰してきたと?私が慈悲将軍なんて呼ばれたのはたまたまで、私はそんな予言に関わりなんてない。それなのにそんな荒唐無稽の預言者とやらのせいで私達の努力はなんだったんだ?」
流石にこの場にいたものは皆、言葉を失った。忍んで聞いているであろうクレヤボンスも薄い壁の向こうにもたれかかっているタムも隠れているつもりなのに全身丸見えのヘイズも皆。
いや、ミニィやクレヤボンスは知っていたんだろうな、この話は。でも私にはしなかった、何故かは分かる。
私はこの話を聞いてもきっと国民を助けることをやめなかっただろう。むしろもっと無茶をして孤立無縁の中、戦い続けただろう……そうやって命を擦り減らす私を見たくなかったんだろう。
それにしてもなんと虚しいことだろうか。心に闇が染み込んで来るようだ。主君と仰いでいた王からそんなに疎んじられていようとは。暗い、昏い思いが足元からじわじわと侵食してくる。
「とんでもないこと……きゅん?」
「……可愛いですね、それ。もっとやってください」
「っ! 油断すると出ちゃうんだ……ぎゅ」
うっ意識すると変な声が出てしまう~!ミニィとリゼレンがものすごい優しい笑顔でこっちを見ている!みるなああああ!!話の続きをしてっ
「まあ、続きですね。この国の王はあなたを冷遇しました、何故か」
「わからん」
「義父上、予言のせいですよ。「じひなきち」……つまり慈悲将軍と呼ばれたあなたを国外へ排除することを秘密裏に決めたんです」
「はあ!?また予言ーー!?」
尻尾の家が全部逆立ってボンと膨らんでしまった。
「そう、慈悲将軍を追い出して、この地を「慈悲無き地」にしようと思ったんです。でも表立ってイアン将軍を追い出すことはできない……あなたは国民に慕われ過ぎていた。あなたを理由もなく追い出せば確実に王の権威は失墜し国民は激怒して襲い掛かるでしょう。だから数々の嫌がらせを貴方にしてきたんです……でもあなた方は優秀過ぎた。全ての無茶な要求をこなしてしまった」
「まさか、そんな馬鹿な話……私は、私達は王家に忠誠を誓って。そして国民を少しでも平和で優しい場所へ導けるように……」
「悲しい事ですが、この国の王家とはその程度のものだったんです」
私はこの国の貴族の家に生まれた。伯爵家という素晴らしい爵位に恥じないよう、物心ついた時から懸命に生きてきた。三男という立場から兄上達より求められることは少なかったが、出来ることを最善を尽くせるよう頑張ってきたはずだった。
「その努力も思いも……そのわけの分からない予言のせいで?」
絞り出され、零れた言葉はものすごい重さを持っていたんだろう。ミニィもリゼレンも俯いて暗く沈んでしまった。でもその重さをなんとかしようという気持ちには一欠片もなれない。
「そのいつ起こるとも、正しいとも何もかも分からない予言のせいで、私と私の仲間たちの血と汗と命を使い潰してきたと?私が慈悲将軍なんて呼ばれたのはたまたまで、私はそんな予言に関わりなんてない。それなのにそんな荒唐無稽の預言者とやらのせいで私達の努力はなんだったんだ?」
流石にこの場にいたものは皆、言葉を失った。忍んで聞いているであろうクレヤボンスも薄い壁の向こうにもたれかかっているタムも隠れているつもりなのに全身丸見えのヘイズも皆。
いや、ミニィやクレヤボンスは知っていたんだろうな、この話は。でも私にはしなかった、何故かは分かる。
私はこの話を聞いてもきっと国民を助けることをやめなかっただろう。むしろもっと無茶をして孤立無縁の中、戦い続けただろう……そうやって命を擦り減らす私を見たくなかったんだろう。
それにしてもなんと虚しいことだろうか。心に闇が染み込んで来るようだ。主君と仰いでいた王からそんなに疎んじられていようとは。暗い、昏い思いが足元からじわじわと侵食してくる。
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