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50 いやはやお恥ずかしい

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「ところでリゼレンさん、他国から人が押し寄せて来るってもしかして周りの国は皆、あの予言を信じているのですか?」
「そうなんだよね」

 ミニィとリゼレンが私の知らない話を始めてしまった。私の元部下達ったら優秀過ぎて、私が判断しなくていいこととか、自分達で何とか出来ることは勝手にちゃちゃっと終わらせちゃうんだよねえ。終わった後で、なんか「お食事のお茶碗洗っときましたから~」みたいなノリで色々な事を報告してくるんだよねえ……。きっとこの話も私に言うべきことではなかったということなのかなあ?でも、あの予言ってなあに?

「ミニィ、あの予言ってなあに?」
「えーとですね……」

 ちょっと渋った顔をしながらもミニィは教えてくれた。

「何百年も前に高名な予言士が今わの際に行った言葉だと言われています。曰く「じひなきちより しんなるおう たつる」と。最初の言葉はさておきとして、王と名のつくものならば「真なる王」が気にならないものなどいませんよね。そして「たつる」は「立つる」。つまり「じひなきちより」自分の存在を脅かす真なる王が生まれてしまうんです。もし、その「真なる王」が後を継ぐ息子ならば良いでしょう。でも全くの他人だったら?現王は廃され、「真なる王」に取って代わられる」
「はあ?そんなの信じてるの?」

 大昔の予言士の言葉でしょう?普通信じないよねぇ。

「義父上ならそういうと思っていました。でもこれを信じている国は以外と多いんです。クレヤボンスに探ってもらいましたが、ほぼこの辺りの王家は信じています」
「うそぉ~」
「嘘じゃないんですよ、これが」

 あり得ないー!そんな予言に構っている暇があったら、少しでもまともに働けっつーの!

「そこで疑問になって来るのが「じひなきち」だよ。何のことかずーっと分かるような分からないようなだったのに、イアン将軍が「慈悲将軍」って呼ばれ始めたよね?そこからさ、上の馬鹿どもが騒ぎ出したのは」
「えっ?私?? 」
「そう、「慈悲無き地」つまり義父上がいない国より真なる王が産まれると本気で思った馬鹿がいまして」
「まっ、うちの国の王なんですけどね」

 な、なんか信じられないぞ……。リゼレンはわざとらしく大きく溜息をつく。きっと国下でもこうやって悩ましげに憂いたりして女性にきゃあきゃあ言われてたんだろうな、狡い!そしてカッコいい!
 私が溜息をついても「どうした?腹が減ったのか?プリン持って来たぞ」ってごつい奴しか来てくれないのに。

「そんな感じで我が国が最初でしたが、ならばうちの国でも条件は一緒だと各国がいきり立ちましてね」
「まさか、ここ最近の紛争はそのせいで?」
「いやはやお恥ずかしい限りで」

 恥ずかしいとか言ってる場合じゃないんですけと?!
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