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17 ミニィは天才なんだけどなあ?

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 季節は春から夏へ向かう所だ。今日の私とラセルは荒れた村の畑の復旧の手伝いをして、少し野菜の苗を貰って帰ってきたところだった。

「ラセル、そして義父……違うイアン、お帰り」
「あ、ミニィさん。ありがとうございます」
「お安い御用ですよ」

 今日ミニィは鍬を持ってラセルの家にやって来て、家の近くを開墾してくれたのだ。そして子供のラセルでも管理できるくらいの小さな畑を作ってくれた。

「ミニィさんも村の畑を直すの手伝ってくれたらいいのに」

 村の畑は……春の種まきが終わり、いくつか芽が出た所で私を追いかけてきた王太子に命令された騎士達に踏みつぶされ、そして炎に巻かれた。ぐちゃぐちゃになってしまったが、難を逃れた村人と……ヘイズを筆頭とした脳筋の腕力でよみがえりつつある。

「いやあ、私はあんまり体力がないほうなので、ラセルの畑くらい小さいものなら大丈夫なんですけど、村の大きいのは無理ですね」
「そうなんだ~」

 ミニィが流れるように嘘をつく。ミニィの体力がラセルよりないわけないだろう。ミニィは確かに細身で、日焼けもしていなくて弱っちく見られるけど、切れたらヘイズもぶん投げる技の使い手だ。昔、護身術として教えたら本当にスラスラ覚えるので面白がって色々教えたら、何でもできるようになったっけ。


「自分の力はさほど使わず、相手の力を利用するのがとても気に入りました。次の技を教えてください、義父上」
「え……あ、うん。でもこれができるようになったら免許皆伝だって、北の山のじっちゃんが言ってた」
「霊峰ノーレスのじっちゃん……レレイ老師ですか?どんな教えか楽しみです」
「え?あ、うん……」

 私が覚えるのに3ヵ月もかかった技をミニィは1週間ほどで使えるようになったから、ミニィは天才なんだけどなあ……。

「その技は普通10年かかって覚える技なんじゃが……イアンお前はどうして3ヵ月で使えるようになったんじゃ?」
「はあ……いっぱい練習して、いっぱいご飯食べたからですかね?」
「……もう山を降りろ。お前は免許皆伝じゃ」
「はあ……」

 だって、あまり長い間王都を留守にするとあちこちから苦情が来るから頑張っただけなんだが。まあそんなことが昔あったが、ミニィは武道より本を読むほうが好きだって言うんだ。


「それよりマイワード将軍の新しい絵本を作らねば……何せ3ページ目と5ページ目を子狐に破かれてしまいましたから……」
「ミニィさん?何か言った?」
「何も言ってないですよ、ラセル。それより貰って来た野菜の苗をすぐ植えたらどうでしょう?萎びる前の方が根付きが良いと思いますよ」
「うん! 」

 だって、マイワード将軍が子供達に料理を振る舞うシーンだったんだけど、なんかピンクのフリフリエプロンをつけていたんだよ!おかしいだろ!!しかもなんだか、服を着てないんだ、裸にエプロンだったんだ!

「タ、タンクトップに半ズボンなんですううううううう」
「却下ァアア!」

 描いていた紙に鼻先からダイブして破いてやったよね、うん。私は子供達の教育を守る義務もある!

「あああ!折角の義父上の裸エプロンがーーー!」
「このお馬鹿--!」

 ミニィの額に狐肉球パンチをめり込ませておいた。まったくどこをどう間違えたらこんな風に育ってしまったんだ!
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