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22 神より選ばれし子、出来ちゃった。

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「まあ、こうなるんじゃないかと思ってはいたけれどね」

「……」「……」

 ステファン家とフェルム家の家人達ほぼ全員に認められてしまった私とアンセル。その日からアンセルは離してくれなくて24時間一緒に居るし、私自身もなんとなく一緒にいたくてくっ付いていた……けれど、日常と大して変わらなかったから、素でどれだけ一緒にいたのか考えてちょっと頭が痛くなった。しかしだ……私達は……その、若い。ちょこっとイケなない事を覚えてしまった夜などは……。

「ユール!ユール!ああっ」

「アンセルぅ!イイ、そこっ!アッ!イ、イクぅーーーっ!!」

 今度は合意の上でヤりまくってしまった……だって凄く気持ちが良いんだ。最初の変な感じはどこへやら、不味いなあなんて思いながらもちょっとこう……溺れた感じはある。

「自重、と言う言葉を知っているかな?息子達。君達はまだ学生であり、結婚をしていないんだよ?」

「すいません……」

 すぐにフェルム公爵にバレてめちゃくちゃ怒られてしまう。ホントごめんなさい、自重します……。公爵に怒られているのをダルタンに見つかってからかわれるかなあと思ったら、肩をポンと叩かれてしたり顔をされてしまった。

「でも、気持ち良いよね……僕も旦那様とエッチするの好き……」

「ダルタン、あの薬ちょっと効きすぎじゃない……?」

「えへっ!ボクもそう思う!売る時はもっと効果を薄くしないとダメだよね!」

 そんな爛れた生活のせいなのか、最初のアレが実ったのかは分からないけれど……。

「う……っ、気持ち悪い……」

「ユール?!も、もしかして」

「あ……」

 私は見事にアンセルの子供を身籠もってしまったのだった。

「おめでとう!ユール。妊娠してるよ!ディルも2人目が出来たんだ、お揃いだね!」

「グリーブ先生ぇ……」

 医師の資格もいつの間にか持っていたグリーブ先生がニコニコしながら診断してくれたけど、不安でしかないんですけど?!?!

「大丈夫!ディルをみてごらん?ほらあんなに喜んでるし、アンセルも飛び跳ねて喜ぶよ」

「そりゃあの2人はそうでしょうけど」

 不安に思っていたのは私だけで周りは全員両手を上げて喜んでくれたのはちょっと驚いた。

 そしてもっと驚いたのはフェルム公爵が私とアンセル、ダルタンとグリーブ先生と2人の息子を連れて神殿へきた事だ。どうやら事前に話は通してあったらしく、私達に「特別な祝福」があるという事だ。

「神官長殿。以前よりお話していた「神より選ばれし子供達」でございます」

「……神話は誠であったのだな?」

「神の御心のままに」

 と、言いつつ大量のお布施と例の水色のあの男性妊娠薬を納めた。

「ダルタン、グリーブ君。これからこの薬は神殿での専売特許になる。神殿より必要とされる神の子の元に配られる事になる、良いね」

「分かっております、公爵様」

 この薬は強力過ぎる。だからフェルム公爵は神殿に販売による利益や名声の全てを委ねる事にした。見返りはダルタンと私が産む子供達を認める事。不利益な噂が立たないようにする事。そして反対派の声は神殿で何とかする事。
 この薬で神殿は馬鹿みたいに利益を上げるだろう。でもそれをフェルム家で享受しては角が立ちすぎる。何せ同性同士で子を成すのは神の奇跡に等しいのだ。神殿で管理するのが筋だろうし、納得するだろう。神の御業ならと封じることが出来る声も多い。

「分かりました。皆に神の加護がありますように」

 大人の取り引きも時には必要だ。それが貴族っていう物だしね。滞りなく書類を取り交わし、私達は「祝福」を受けてフェルム邸へ帰ってきた。

「きちんとこの手続きが終わってからにして欲しかったんだよねぇ、聞いてるアンセル?」

「す、すいません。父上……」

 お陰で余計にお金を積んだよ?なんて笑顔で言われてしまって、私とアンセルは嫌な汗をかくしかなかった。ダルタンが試験的に産んだ子供とアンセルの子供では話が違ってくるからね。それの口裏合わせに聞きたくない金額のお布施を包んだんだろうなあ……すみませんすみません!

「所で君達が夜に使ってるアレ。勿論男女で使って良いんだよね?」

「勿論ですとも、公爵様。アレの在庫は沢山ありますからお持ちしますね!」

 グリーブ先生とフェルム公爵の会話。公爵どこまで知ってるんだろう!?あとグリーブ先生も嬉しそうにしないで!自分達の作った物が褒められるとすぐにコレだもん、だから悪い人に騙されたり付け込まれたりするんだぞ。

「ユール、もしかしたら私に弟か妹が出来るんじゃない??」

「凄くあり得る話だと思うよ、アンセル。乳母の募集を多めにしないと駄目かもね?」

 私達はくすくすと笑いあった。アンセルのお母様だってまだまだお若いんだしね?それにしても私もダルタンみたいにお腹を切る事になるらしくてそこら辺は不安だけれども、その不安をダルタンに打ち明けると笑って説明してくれた。

「大丈夫、スパッと切ってススっと縫ってくれるから!ちょっと痕は残っちゃうけど、ユールのお腹に痕があってもアンセル大丈夫でしょ?」

「勿論!なんなら毎日撫でても良いよ!」

 アンセルもそんな事を言ってくれるから、なんとかなりそうな気がしてる。

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