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20 大歓迎なの??
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「すみません、公爵……」
「違う謝るのは私の方だユール。アンセルが君に無体を働いた、すまない」
「……いえ、良いんです。私もアンセルの気持ちにきちんと答えなかったから……」
アンセルと一夜を共にした次の日の朝、すぐに公爵様に呼び出された。無言でアンセルはフェルム公爵に殴られ、私は謝罪される。でもアンセルはずっとずっと私に好きだといっていたし、婚約者もいないといっていた。それを冗談だと思ってしっかり答えなかった私だって悪い。
アンセルは隣にいて、真っ赤に腫れた頬だったけれど、フェルム公爵をまっすぐ見ていた。かなり男らしい姿にゲームの弱弱しいアンセルの面影は見ることが出来ない。
「しかも例の薬をユールに飲ませたそうだな、アンセル」
「はい」
「……何故だ」
「誰にも取られたくないので。子供が出来たら優しいユールの事です、絶対に私から離れません」
「良くない考えだとは思わなかったのか?」
「思いました。でもユールがいないなんて耐えきれない。どんな手段を使ってでも私の隣にいて欲しいんです」
フェルム公爵はため息をつき、私は苦笑するしかなかった。そこまではっきり言われたら悪い気がしないのがアンセルの恐ろしい所かな……。
「子が出来たらどうするつもりだ?」
「勿論、産んで貰います。学園もギリギリ卒業できる時期です」
公爵はもう一度大きくため息をつき、私はまた苦笑するしかない。そこら辺もちゃんと考えてたのか、アンセルめ。悪い奴だ。
「アンセル。子供は1人、いや夫婦2人のみで育てられるものではない。周りの援助は必要だ。そしてその周りに受け入れられないような事をする人間が設けて良い物ではない」
「……申し訳、ございません……」
さしものアンセルもしょぼんと反省している。でもこれに関しては公爵が正しい。
「……しかしだ、アンセルとユールの子供か……わ、私はお祖父ちゃんになるのかなぁ……可愛いだろうなぁ。ダルタンとグリーブ君の赤ちゃんも可愛いものなぁ」
こ、公爵がデレてる?!ちょ、ちょっと!懐柔されるの、早くないですかっ?!
「可愛いに決まってるじゃないですか!ユールのお腹から出てくるんですよ。可愛いどころじゃない、間違いなく天使ですよ、天使!!」
「うわぁ……天使かぁ……私の事は爺ちゃまと呼んでくれるかなぁ」
あっ!そういえばフェルム公爵ってアンセルのお父様なんだ、似てるんだよ!この人達。ふわふわと幸せそうに妄想している。
「私の事はおとうしゃまって……ああっ絶対可愛いよぉ」
「わ、わたくしはおばあちゃまよりマリーちゃんって呼んで貰いたいわ!」
突然、扉を開けてアンセルのお母様のマルグレータ様が入ってきた!えっ、聞いてたんですか?!
「アンセルお兄様、ユール君と結婚するんですね!」
「おめでとうございます、アンセルお兄様!ユール君、お兄様をお願いしますね!」
アンセルの双子の弟までニコニコと飛び込んで来るし
「先生、これは二例目になりそうですよ!やっぱり完璧なんですよ、僕達の薬は!」
「まだ二例目だよ、これからまだまだ実証例が必要だ、ディル。しかし、先生じゃないだろう?」
「あっ……はい、旦那様ぁ」
ダルタンとグリーブ先生まで?!……皆、もしかして扉に耳でもくっ付けて聞いていたの?!
「アンセルとユールはこのままステファン家に行ってジョージ殿にも怒られて来なさい。色々あるが、君達は結婚前に事に及んだのは事実だ。親として叱らねばならないところだからね」
「はい、父上」
どうやらフェルム家では私がアンセルの「嫁」になるのは大歓迎みたいだった。うーん、そんなつもりはなかったんだけどなぁ。でも不思議と嫌な気持ちにならないんだよなぁ……。
「違う謝るのは私の方だユール。アンセルが君に無体を働いた、すまない」
「……いえ、良いんです。私もアンセルの気持ちにきちんと答えなかったから……」
アンセルと一夜を共にした次の日の朝、すぐに公爵様に呼び出された。無言でアンセルはフェルム公爵に殴られ、私は謝罪される。でもアンセルはずっとずっと私に好きだといっていたし、婚約者もいないといっていた。それを冗談だと思ってしっかり答えなかった私だって悪い。
アンセルは隣にいて、真っ赤に腫れた頬だったけれど、フェルム公爵をまっすぐ見ていた。かなり男らしい姿にゲームの弱弱しいアンセルの面影は見ることが出来ない。
「しかも例の薬をユールに飲ませたそうだな、アンセル」
「はい」
「……何故だ」
「誰にも取られたくないので。子供が出来たら優しいユールの事です、絶対に私から離れません」
「良くない考えだとは思わなかったのか?」
「思いました。でもユールがいないなんて耐えきれない。どんな手段を使ってでも私の隣にいて欲しいんです」
フェルム公爵はため息をつき、私は苦笑するしかなかった。そこまではっきり言われたら悪い気がしないのがアンセルの恐ろしい所かな……。
「子が出来たらどうするつもりだ?」
「勿論、産んで貰います。学園もギリギリ卒業できる時期です」
公爵はもう一度大きくため息をつき、私はまた苦笑するしかない。そこら辺もちゃんと考えてたのか、アンセルめ。悪い奴だ。
「アンセル。子供は1人、いや夫婦2人のみで育てられるものではない。周りの援助は必要だ。そしてその周りに受け入れられないような事をする人間が設けて良い物ではない」
「……申し訳、ございません……」
さしものアンセルもしょぼんと反省している。でもこれに関しては公爵が正しい。
「……しかしだ、アンセルとユールの子供か……わ、私はお祖父ちゃんになるのかなぁ……可愛いだろうなぁ。ダルタンとグリーブ君の赤ちゃんも可愛いものなぁ」
こ、公爵がデレてる?!ちょ、ちょっと!懐柔されるの、早くないですかっ?!
「可愛いに決まってるじゃないですか!ユールのお腹から出てくるんですよ。可愛いどころじゃない、間違いなく天使ですよ、天使!!」
「うわぁ……天使かぁ……私の事は爺ちゃまと呼んでくれるかなぁ」
あっ!そういえばフェルム公爵ってアンセルのお父様なんだ、似てるんだよ!この人達。ふわふわと幸せそうに妄想している。
「私の事はおとうしゃまって……ああっ絶対可愛いよぉ」
「わ、わたくしはおばあちゃまよりマリーちゃんって呼んで貰いたいわ!」
突然、扉を開けてアンセルのお母様のマルグレータ様が入ってきた!えっ、聞いてたんですか?!
「アンセルお兄様、ユール君と結婚するんですね!」
「おめでとうございます、アンセルお兄様!ユール君、お兄様をお願いしますね!」
アンセルの双子の弟までニコニコと飛び込んで来るし
「先生、これは二例目になりそうですよ!やっぱり完璧なんですよ、僕達の薬は!」
「まだ二例目だよ、これからまだまだ実証例が必要だ、ディル。しかし、先生じゃないだろう?」
「あっ……はい、旦那様ぁ」
ダルタンとグリーブ先生まで?!……皆、もしかして扉に耳でもくっ付けて聞いていたの?!
「アンセルとユールはこのままステファン家に行ってジョージ殿にも怒られて来なさい。色々あるが、君達は結婚前に事に及んだのは事実だ。親として叱らねばならないところだからね」
「はい、父上」
どうやらフェルム家では私がアンセルの「嫁」になるのは大歓迎みたいだった。うーん、そんなつもりはなかったんだけどなぁ。でも不思議と嫌な気持ちにならないんだよなぁ……。
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