20 / 26
20 大歓迎なの??
しおりを挟む
「すみません、公爵……」
「違う謝るのは私の方だユール。アンセルが君に無体を働いた、すまない」
「……いえ、良いんです。私もアンセルの気持ちにきちんと答えなかったから……」
アンセルと一夜を共にした次の日の朝、すぐに公爵様に呼び出された。無言でアンセルはフェルム公爵に殴られ、私は謝罪される。でもアンセルはずっとずっと私に好きだといっていたし、婚約者もいないといっていた。それを冗談だと思ってしっかり答えなかった私だって悪い。
アンセルは隣にいて、真っ赤に腫れた頬だったけれど、フェルム公爵をまっすぐ見ていた。かなり男らしい姿にゲームの弱弱しいアンセルの面影は見ることが出来ない。
「しかも例の薬をユールに飲ませたそうだな、アンセル」
「はい」
「……何故だ」
「誰にも取られたくないので。子供が出来たら優しいユールの事です、絶対に私から離れません」
「良くない考えだとは思わなかったのか?」
「思いました。でもユールがいないなんて耐えきれない。どんな手段を使ってでも私の隣にいて欲しいんです」
フェルム公爵はため息をつき、私は苦笑するしかなかった。そこまではっきり言われたら悪い気がしないのがアンセルの恐ろしい所かな……。
「子が出来たらどうするつもりだ?」
「勿論、産んで貰います。学園もギリギリ卒業できる時期です」
公爵はもう一度大きくため息をつき、私はまた苦笑するしかない。そこら辺もちゃんと考えてたのか、アンセルめ。悪い奴だ。
「アンセル。子供は1人、いや夫婦2人のみで育てられるものではない。周りの援助は必要だ。そしてその周りに受け入れられないような事をする人間が設けて良い物ではない」
「……申し訳、ございません……」
さしものアンセルもしょぼんと反省している。でもこれに関しては公爵が正しい。
「……しかしだ、アンセルとユールの子供か……わ、私はお祖父ちゃんになるのかなぁ……可愛いだろうなぁ。ダルタンとグリーブ君の赤ちゃんも可愛いものなぁ」
こ、公爵がデレてる?!ちょ、ちょっと!懐柔されるの、早くないですかっ?!
「可愛いに決まってるじゃないですか!ユールのお腹から出てくるんですよ。可愛いどころじゃない、間違いなく天使ですよ、天使!!」
「うわぁ……天使かぁ……私の事は爺ちゃまと呼んでくれるかなぁ」
あっ!そういえばフェルム公爵ってアンセルのお父様なんだ、似てるんだよ!この人達。ふわふわと幸せそうに妄想している。
「私の事はおとうしゃまって……ああっ絶対可愛いよぉ」
「わ、わたくしはおばあちゃまよりマリーちゃんって呼んで貰いたいわ!」
突然、扉を開けてアンセルのお母様のマルグレータ様が入ってきた!えっ、聞いてたんですか?!
「アンセルお兄様、ユール君と結婚するんですね!」
「おめでとうございます、アンセルお兄様!ユール君、お兄様をお願いしますね!」
アンセルの双子の弟までニコニコと飛び込んで来るし
「先生、これは二例目になりそうですよ!やっぱり完璧なんですよ、僕達の薬は!」
「まだ二例目だよ、これからまだまだ実証例が必要だ、ディル。しかし、先生じゃないだろう?」
「あっ……はい、旦那様ぁ」
ダルタンとグリーブ先生まで?!……皆、もしかして扉に耳でもくっ付けて聞いていたの?!
「アンセルとユールはこのままステファン家に行ってジョージ殿にも怒られて来なさい。色々あるが、君達は結婚前に事に及んだのは事実だ。親として叱らねばならないところだからね」
「はい、父上」
どうやらフェルム家では私がアンセルの「嫁」になるのは大歓迎みたいだった。うーん、そんなつもりはなかったんだけどなぁ。でも不思議と嫌な気持ちにならないんだよなぁ……。
「違う謝るのは私の方だユール。アンセルが君に無体を働いた、すまない」
「……いえ、良いんです。私もアンセルの気持ちにきちんと答えなかったから……」
アンセルと一夜を共にした次の日の朝、すぐに公爵様に呼び出された。無言でアンセルはフェルム公爵に殴られ、私は謝罪される。でもアンセルはずっとずっと私に好きだといっていたし、婚約者もいないといっていた。それを冗談だと思ってしっかり答えなかった私だって悪い。
アンセルは隣にいて、真っ赤に腫れた頬だったけれど、フェルム公爵をまっすぐ見ていた。かなり男らしい姿にゲームの弱弱しいアンセルの面影は見ることが出来ない。
「しかも例の薬をユールに飲ませたそうだな、アンセル」
「はい」
「……何故だ」
「誰にも取られたくないので。子供が出来たら優しいユールの事です、絶対に私から離れません」
「良くない考えだとは思わなかったのか?」
「思いました。でもユールがいないなんて耐えきれない。どんな手段を使ってでも私の隣にいて欲しいんです」
フェルム公爵はため息をつき、私は苦笑するしかなかった。そこまではっきり言われたら悪い気がしないのがアンセルの恐ろしい所かな……。
「子が出来たらどうするつもりだ?」
「勿論、産んで貰います。学園もギリギリ卒業できる時期です」
公爵はもう一度大きくため息をつき、私はまた苦笑するしかない。そこら辺もちゃんと考えてたのか、アンセルめ。悪い奴だ。
「アンセル。子供は1人、いや夫婦2人のみで育てられるものではない。周りの援助は必要だ。そしてその周りに受け入れられないような事をする人間が設けて良い物ではない」
「……申し訳、ございません……」
さしものアンセルもしょぼんと反省している。でもこれに関しては公爵が正しい。
「……しかしだ、アンセルとユールの子供か……わ、私はお祖父ちゃんになるのかなぁ……可愛いだろうなぁ。ダルタンとグリーブ君の赤ちゃんも可愛いものなぁ」
こ、公爵がデレてる?!ちょ、ちょっと!懐柔されるの、早くないですかっ?!
「可愛いに決まってるじゃないですか!ユールのお腹から出てくるんですよ。可愛いどころじゃない、間違いなく天使ですよ、天使!!」
「うわぁ……天使かぁ……私の事は爺ちゃまと呼んでくれるかなぁ」
あっ!そういえばフェルム公爵ってアンセルのお父様なんだ、似てるんだよ!この人達。ふわふわと幸せそうに妄想している。
「私の事はおとうしゃまって……ああっ絶対可愛いよぉ」
「わ、わたくしはおばあちゃまよりマリーちゃんって呼んで貰いたいわ!」
突然、扉を開けてアンセルのお母様のマルグレータ様が入ってきた!えっ、聞いてたんですか?!
「アンセルお兄様、ユール君と結婚するんですね!」
「おめでとうございます、アンセルお兄様!ユール君、お兄様をお願いしますね!」
アンセルの双子の弟までニコニコと飛び込んで来るし
「先生、これは二例目になりそうですよ!やっぱり完璧なんですよ、僕達の薬は!」
「まだ二例目だよ、これからまだまだ実証例が必要だ、ディル。しかし、先生じゃないだろう?」
「あっ……はい、旦那様ぁ」
ダルタンとグリーブ先生まで?!……皆、もしかして扉に耳でもくっ付けて聞いていたの?!
「アンセルとユールはこのままステファン家に行ってジョージ殿にも怒られて来なさい。色々あるが、君達は結婚前に事に及んだのは事実だ。親として叱らねばならないところだからね」
「はい、父上」
どうやらフェルム家では私がアンセルの「嫁」になるのは大歓迎みたいだった。うーん、そんなつもりはなかったんだけどなぁ。でも不思議と嫌な気持ちにならないんだよなぁ……。
26
お気に入りに追加
1,674
あなたにおすすめの小説
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【完結】婚約破棄の慰謝料は36回払いでどうだろうか?~悪役令息に幸せを~
志麻友紀
BL
「婚約破棄の慰謝料だが、三十六回払いでどうだ?」
聖フローラ学園の卒業パーティ。悪徳の黒薔薇様ことアルクガード・ダークローズの言葉にみんな耳を疑った。この黒い悪魔にして守銭奴と名高い男が自ら婚約破棄を宣言したとはいえ、その相手に慰謝料を支払うだと!?
しかし、アレクガードは華の神子であるエクター・ラナンキュラスに婚約破棄を宣言した瞬間に思い出したのだ。
この世界が前世、視聴者ひと桁の配信で真夜中にゲラゲラと笑いながらやっていたBLゲーム「FLOWERS~華咲く男達~」の世界であることを。
そして、自分は攻略対象外で必ず破滅処刑ENDを迎える悪役令息であることを……だ。
破滅処刑ENDをなんとしても回避しなければならないと、提示した条件が慰謝料の三六回払いだった。
これは悪徳の黒薔薇と呼ばれた悪役令息が幸せをつかむまでのお話。
絶対ハッピーエンドです!
4万文字弱の中編かな?さくっと読めるはず……と思いたいです。
fujossyさんにも掲載してます。
なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる