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31 そうして月日は流れていく
しおりを挟む「うう……」
「リン?!」
「大きすぎ……あと、多すぎ……んで、未知すぎ」
「だ、大丈夫か……?」
「俺、回復系魔法使えて良かった……あと兄ちゃんにも回復ポーション分けてあげるね。後ね、滑りが良くなって更に回復機能もあって汚れも落として……まあ専用のヌメヌメ液を作ったから使って。一日中ヤるとやっぱり擦れて痛いから、コレ使えば二日は何とかやりっぱなしでも……」
「そんなにヤりっぱなしなんてしないけど?!」
「えっ?! しないの?! ルーセウスは皆三日はぶっ通しで子作りするって言ってたよ!?」
「1日五回もすれば充分じゃない?」
「お、俺ぇ……騙された?! 文句言ってくるっ」
「あ、うん」
久しぶりに魔王城からこっちに遊びに来ていたリンだったけど、大量のポーションを置いてまた戻って行った。
どうやら魔王ルーセウスから採取した何らかの液体や、魔物達からちょこっとちょうだいした何かを使って色々なポーションを作って在庫が溢れたから検証も兼ねてこっちに持って来たらしい。空いていた倉庫に山積みにして行ってしまった。
「皆に手分けして使って貰いましょう」
「魔王素材ってなんだかドキドキしますね、大丈夫なんでしょうか?」
「分かりませんが、今の魔王なら大丈夫でしょう」
分かりやすく魔王城素材ポーションは色が紫色だから騎士さん達に気をつけながら使ってもらうことにする。
「それにしてもコレ、いいですね。いまから使ってみましょう。レン」
「い、今からですか?! まだお昼になってないよ?……夜にしよう、アラン」
でも、俺もちょーっと気になる……。たぽんたぽんと粘度の高い液体が入った小瓶を振るアランを見上げてそう言った。
「いえ、今からが良いです、ね?」
「え! や……うん……」
背中と膝の裏にあっという間に手を回されてサッと抱き抱えられたら、もう逃げ場なんてない。
「私達も3日間連続でやってみますか?」
「む、無理ですっ! 死んじゃいます! それにご飯作れないじゃないですか」
「それもそうですね。私もレンの美味しいご飯が食べたいです」
「はい! 俺もアランに食べて貰いたいです」
「でも今はベッドルームに行きましょうね」
「……はい……」
逃げ場なんて要らないけどね。俺は自分でアランの首にしっかり抱きついた。
後に魔王城の近くに作った集落はどんどん大きくなり、国に発展した。そして魔王の役目である所の世界から黒く歪んだ魔力を集めて清浄する作業を手伝い、聖女が生まれる神聖国として大きくなっていく。
初代国王になったアランフィールドは名君であり、彼の血筋から魔王を救う聖女が生まれるようになった。
アランフィールドの妻は男性であったが何らかの作用で子供を授かる体になり、彼等は十人の子供に恵まれて幸せな人生を歩んだそうだ。「あのポーションのせいか?! リンの奴、とんでもない不良品を掴ませやがって!」という言葉が伝わっているとかいないとか。
アランフィールドの血筋には稀に男性なのに妊娠能力がある者が生まれてくる。その者は聖女と呼ばれ高い神聖力をもち、魔王の妻になる確率が極めて高い。魔王も聖女を妻にすれば黒い魔力の影響から逃れることができるので、魔王が新しく生まれた時は聖女を得ようと必死になるそうだ。
ただ、神聖国の中にある魔王城の主が認めないと婚姻は許されないらしい。
「はあ?! 兄ちゃんの子供達の子供達を変な奴に嫁に出さないけど?」
悠久の魔王と魔王妃は判定が厳しいと有名だ。彼らは今もなお生き続け、黒い魔力を浄化しながらこの世界を守っているという。
終わり
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