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25 そうなのかと思うと途端に意識してしまう
しおりを挟む「レン」
「ひゃ、ひゃいっ!」
「……何を今更。いつも一緒に眠っていたでしょう?」
「いやでも、あの、その……いつもは、俺が寝落ちしちゃって、だったので」
新しく建ててもらった家は当然のようにベッドルームは一つだった……なんでだ……。だから俺は殿下と一緒にベッドで寝るんだけど、いつもみたいに新しい素材とかを弄ってて、眠くなっちゃって寝落ちするのはいいんだ、いつも通りだから。
でも最近、なんだか知らないけど中々眠くならない日があって、そういう時は緊張する!
「おいで」
「ひゃいっ」
先に横になってベッドで手招きしている殿下の方へゼンマイ人形のように歩いて行く。
「失礼しまっす」
「ふふ、どうぞ?」
素早く横に入ってみるも、俺一体どうしたらいいの?! 今までの俺、よく眠れてたな?? なんか緊張してカチコチになってるよ、俺ぇ!
「今日はどうしたんですか? 体が物凄くまっすぐですけど」
「いえっ! そのっ何でもないです」
「そうですか? ではおやすみなさい」
ベッドサイドに置いてあったランプをふぅっと吹き消す音がして、部屋の明かりが溶けて消える。それでも部屋はそこまで暗くなくて、あまり厚くないカーテンを抜けた月の灯りで辺りに何があるのかは分かる程度だ。
何だろう、妙に緊張する……というか理由は分かってる、昼間の猫の半魔人のせいだ。
『リン様はオクサマですニャ。レン様もですニャ』
オクサマ? 俺、オクサマだったの?誰の?
『アランフィールド様ですニャ』
あれ? 俺、殿下のオクサマだった?俺、殿下と結婚してたの?
『もうそんな感じの奴ですニャ!』
そんな感じなの? 知らなかったけど、俺……いつも殿下と一緒に寝てた。なんか友人同士の雑魚寝感覚だったけど、他の奴らと一緒に寝た事はなかった……殿下だけだった。それに毎日一緒にいるし、ご飯作ってるし、一緒の家に住んでるし。
それって何だか結婚して一緒に暮らしてる夫婦みたいだよな、って思ったら……その、やっぱり、そういう人って、夜にさ。
「はうっ!」
「レン? どうしたんです?」
「何でもないれしゅっ」
薄暗くて良かった! きっと今の俺の顔は真っ赤に爆発してると思う。だって、ちょっと想像しちゃったんだ……よ、夜の営み的な……!
「はうぅっ!」
「レン? 熱でもありますか?」
「ないれしゅ!」
緊張して噛みまくってるーっ!だ、だめだ、考えたら恥ずかしくて悶えてしまうー! 変な奴だって思われちゃうよ!あの猫の人め、なんてことを! って猫の人って本当にそんなこといってたっけ? 幻聴まで聞こえるのか、俺。と、とにかく不調のようだ、こういう時は寝ちゃうに限るっ!
「お休みなさいっ!」
布団をがばっと被って顔を全部覆ってしまえ! これなら色々大丈夫だろ!
「おやすみ、レン」
おでこに軽く何かが触れてチュッと小さな音が聞こえた。どうやら俺のおでこは布団に隠し切れていなかったみたいでした。ひ、ひいっ!ちゅーされたっ恥ずかしいっ!
俺、寝れるのか……?
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