【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ?いえいえ私は見守りたいだけですわ

鏑木 うりこ

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そして入学へ

68 私の婚約者は何かと凄い

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 「先生、三大国家ができる前の古代の歴史や魔族・神々・勇者の話を教えていただくことはできますでしょうか」
 アルクスはネモに前回の勉強会で生じた疑問を質問した。

「ほぉ、そこに興味を持つなんてなかなか良い着眼点だね。どうしてそこに興味を持ったのかな?」
「先日の勉強会で世界の歴史を教えていて、三大国家ができる前は国があったのかとか神々はそれまで何をしていたのかとか質問に答えられなくて…」
ネモは少し考える様子を見せた。

「そうだね、教えてあげたいところだけど、教えて良いことと教えてあげられないことがあるんだよね。今の君にはまだ教えることができることは少ないかな。
うーん…そうだ!これから定期的に僕が教えてきたことの試験をしよう。それで合格できたら教えられることを一つずつ教えてあげるよ。どうかな?」
アルクスはちょっとした疑問のつもりだったが、ネモが簡単に答えられないとなると教会が隠蔽しているのではないかという疑念が湧いてきた。しかしながら、試験に合格すれば教えてもらえるものもあるということで、断る理由はなかった。

「わかりました!自分の実力を試す機会にもなると思いますし、挑戦します!」
「お、それは良かった。じゃあ次回の試験は簡単なところから、瞑想を1時間続けるってところでどうかな?」
「それなら今の僕でもなんとかなりますね!」
「良かった、もちろん僕も色々と妨害するけどね。じゃあ次回はそれで!」
「えっ!?」
アルクスは想像していたものよりも簡単な試験だと思ったが、妨害されるのは想定外だった。

この後、半年近くかけてほんの数回しか試験に合格することはできず、日を追うごとに増えていく疑問の多くを教えてもらうことが出来ずに今後へとと持ち越すことになった。


その後アルクスによる勉強会では
・魔力と魔術:入門編
・世界の地理と経済
・王国内の各領地の話
・創造神の教え
・他国の文化と宗教
・基礎算術
・古典文学
・蒼天十二将
 などアルクスがネモから習ったことや自分で調べたことを少しずつ教えていった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

そして年が暮れる頃
 「もうすぐ今年もお終いね!アルクス君のおかげでとっても賢くなった気がするわ、これでお姉ちゃんにも馬鹿にされないですむわ!」
 「あぁ、俺なんか父上に驚かれたぜ!母上とじいやなんて泣いて喜んでた!」
リディとヘレナは自分達がどれだけ成長したかを熱く語っていた。

 「それは良かった。2人に教えることで僕も勉強になったからね。」
 「アルクス君は私達以上に勉強していたもんね。来年には学園での生活が始まるのかぁ~、楽しみだわ!」
 「そうだな!勉強ばかりじゃなくて早く体を動かしたいぜ!」
 アルクスは2人が入る予定の王立学園ではなく庶民向けの学園に入ることを考えていたが、2人に教えることが楽しく、2人とこの先も一緒にいたいという思いも強くなり悩んでいた。

 「どうしたの?」
 アルクスが考え事をしていると、急にヘレナに覗き込まれた。

 「おい、ちょっと近すぎるぞ、離れろよ!」
 急にリディがヘレナを引き剥がしてきた。

 「痛っ、急に何するのよ!」
 「なるほど。とったりしないから安心して。」
アルクスはリディのヘレナに対する想いを理解してニヤニヤしながら答える。

 「勉強では世話になったが、お前には負けないからな!」
余裕を見せられてムキになったのか、リディはアルクスへの対抗意識を燃やしていた。

 「これだけ教わっておいてアルクス君に勝つなんて、無理なんじゃないかしら。力比べとかだったらなんとかなるかしら。」
ヘレナはまだリディの想いに気づいてはいない様子だった。

 「違う!そういう意味じゃなくて…」
 「なら、どういうことよ!」
 いつもの口論が始まってしまった。
 アルクスは喧嘩するほど仲が良いとはこういうことかと2人を見守りつつ、口元に笑みが漏れていた。
 兄と比較されたとしても2人と一緒なら頑張れる気がすると思い、自分の決意を固めていた。


翌日
 「先生、僕やっぱり王立学園に進学することにしました。」
 「それは良かった!アルクス君ならそう言うと思っていたよ。じゃあこれからが僕の本領発揮というところだね。」
 「え、どういうことですか?」
 アルクスが自分の決意をネモに伝えると、思ってもいなかった返答が返ってきた。

 「実はクレメンテクスさんから君を王立学園に入学する決意をさせることを第1の課題として与えられていたんだよ。でも君は王立学園に入学することに戸惑っていたからどうしたものかと思っていたんだよ。」
 「先生は特に王立学園への入学を強要したりしませんでしたよね?」
 「そりゃあ、本人の願いと違うことを強要したところで成長は望めないからね。やりたいことに120%注力してこそ成長が見込めるというものだよ。」
アルクスは父が自分の心情を見抜いていたこと、ネモが無理強いをせずに見守ってくれていたことに驚きと共に感謝の気持ちを覚えた。

 「父さんには全部お見通しだったんですね…」
 「そうだね、クレメンテクスさんはあれで人のことをよく見ているよ。思ったことを伝えるのは苦手だけどね。アルクス君が周囲からの期待に潰れないかも心配していたけれど、乗り越えられると信じていたよ。だって君、色々教えてきたけど全然諦めるってことしないからね。ウィル君ですらものによっては諦めたんだよ。」
 「兄様でも諦めることがあるんだ…」
完璧超人だと思っていた兄の意外な側面は頑なだったアルクスの心に一石を投じた。

「諦めずに続ける子は成長が早い子に中々追いつけないけれど、先を行っている相手が立ち止まった後に追い越すことも多いからね。」
「僕もそうなれるでしょうか?」
「それは君次第だね。本当にそれが君の願いなのであれば、諦めずに頑張れば成長は間違いないよ。なんて言ったってウィル君に教えていたこの僕が教えることだしね。
さて、では王立学園の入学試験に向けてより一層の勉強をすることにしよう。僕としてはウィル君に続いて主席合格を目指してもらわないとね。」
「はい、頑張ります!」

 そうして本格的な怒濤の勉強が始まった。
 葛藤がなくなったアルクスは以前以上にやる気を出し、数ヶ月集中して勉強した後、見事入学試験には合格した。


 「さて、まずは合格おめでとう。アルクス君が勉強を教えている、リディ君とヘレナさんも合格したみたいだね。」
 「え、なんでリディとヘレナのことをご存じなんですか?」
 「まぁ、教会の情報網はそれだけすごいってことさ。アルクス君には教育者の才能があるのかもしれないね。いずれ興味があったら秘訣を教えてあげるよ!
さて、これから王立学園の入学までは学問の比重を減らして、より実践的なことを中心に教えることにするよ。」
アルクスはいきなり教育者と言われても想像がつかなかったが、リディとヘレナが合格したことに素直に喜んでいた。

 「座学はお終いということでしょうか?」
 「そうだね、君は自分でも率先して勉強しているし、王立学園レベルであれば実はもう教えることはないかな。でも、まだ僕の試験を合格したら色々な質問に答えてあげるよ。」
ネモからの試験にあまり合格できていないアルクスとしては、入学までになんとしても合格したいと思っていた。

 「そろそろ闘気を使いこなせるようになってもらわないと行けないしね。闘気はどれくらい維持できるようになったかな?」
 「そうですね、いつも寝る前に集中して大体30分くらいでしょうか。いつも気絶してそのまま寝てしまっているので詳細はわからないですが…」
 「アルクス君の年齢でそれだけできていれば上出来だよ。じゃあ次のステップに進んでみようか。この魔石と闘玉が訓練の肝だ。」
 ネモは透きとおった2色の玉を2つ取り出した。

 「魔石のことは知っていると思うけど、これはなかなか手に入らないの最上級の品質のものだよ。そして、闘玉はおそらくほとんどの人が知らないと思う。
闘気を扱える魔物の体内で出来上がる魔石の様なものだと思ってくれればいいよ。
とりあえず両手に持ってごらん」
アルクスは言われた通りに、右手に魔石を左手に闘玉を持ってみた。
ずしっと言う見た目からは想像できない重さがあった。

 「お、重い...あ、でもなんだか温かくて、じわりと伝わってくるものがあります。」
 「そう、それが魔力と闘気を感じるということだよ。普通それだけの魔力・闘気を扱える様になるには何年もの修行、そして才能が必要だけれど感覚を掴むにはこれが良い方法なんだ。」
 「ハァ、ハァ...でもなんだか体に力が入らなくなってきました...」
 アルクスは1分と経たずにうずくまってしまった。

 「自分の扱える以上の魔力・闘気に触れたからだね。強者の威圧で圧倒されるのと似た感覚だよ。では座ったままでいいから魔力を、できれば闘気も練ってごらん。」
 アルクスはネモは無茶言うなと思いつつも、呼吸を整えてまずは魔力を練り、次第にうっすらと光が漏れ出した。

 「良い調子だ、瞑想を頑張っている証拠だね。ではそこから闘気を練ってみよう。体に力が入っていない今だからこそ、ウィスを闘気だけに向けやすいはずだよ。」
 アルクスはいつもの訓練を思い出し、自分の臍の辺りに向けてウィスを集中した。

 「うん、ちゃんと闘気が練れている様子だね。青みがかった光が出ているのがその証拠だよ。」
 ネモの言葉にアルクスが目を開けてみると一瞬青い光が見えたものの、すぐに消えてしまった。

 「まだ集中が切れるとすぐに解けてしまうみたいだね。感覚はなんとなくわかっているかな?」
 「はい、以前教わったように臍のあたりにウィスを集める様な感覚でやっています。」
 アルクスは日頃の瞑想で体内の魔力やウィスの流れを感じ取ることが出来ていな。

 「そう、アルクス君は成長が早くて助かるね。何年やっても感覚が掴めない人はいるんだよ。さて、魔力と闘気を練ってみてどうだった?」
 「いつもと違ってなんだか自分の力ではないような、自分の外側と一体になるような感覚がありました。」
 「そうだね、それは自然のウィスも一緒に取り込んでいるということだよ。今ここにある魔石と闘玉から漏れ出たエレメントとウィスのおかげだ。」
 ここで、アルクスは疑問に思ったことがあった、ウィスとは体内を流れる力ではないのかと。

「先生、ウィスは体内にあるものではないのでしょうか?自然のウィスとは一体…」
「そうか、まだ説明していなかったね。空気中にはエレメントと同様にウィスが溢れている。それは基本的には動物や植物などの生きている者から溢れ出た物なんだよ。もちろん僕やアルクス君からも出ているんだよ。」
そう言うとネモは自分の体から漏れ出るウィスが見えるように力を込めた。

「す、すごい…」
「普通はこんなことはしないけれど、わかりやすくしてみたよ。自分以外の生き物のウィスを感じ取ることができるようになると索敵とか目に見えない敵とかを感じることができるよ。対策としてはこんな感じで隠すことかな。」
今度はネモの存在感が薄くなったように感じられた。

「闘気の運用ができるようになるとこの辺りは使いこなせるようになっていくよ。あとは感覚がつかめてきたら体内のウィスだけでなく、自然のウィスも使うことで効率的な運用が可能になるよ。
そういえばアルクス君はまだウィスが枯渇して気絶しているかな?」
「はい、以前よりは少しは気絶までの時間は伸びたと思うのですが、気付いたら気を失っています…」
「そうだね、なんとなく感覚もわかっただろうし空気中のエレメントを取り込む際に一緒にウィスも取り込むように意識してみると良いよ。あとは部屋に草花を置いてみたりね。
さてウィスの話はこれくらいにしておいて、まずは君が目指す到達地点を見てもらおうか。」
 ネモの右手が青く、左手が赤く光り始めた。

 「これは魔力と闘気を同時に練っているのでしょうか?」
 「正解、そう普通は同時に扱えない魔力と闘気を同時に纏っているのさ。
 普通は同時に扱えないとは言ったけどただ難しいだけであって、こんな感じで実現は可能だよ。
 右手と左手で違うことをしろって言ってもすぐには難しいし、まずは魔力と闘気を交互に練る練習から始めようか。」
アルクスにとってネモが見せたことはとんでもなくあまり現実感がなかったが、それを自分にも実現しろと言う。ネモに会ってから自分の狭かった世界が変わり続けていることに目が回る思いであったが、嫌な気はしなかった。
「先生の言うとおりにしていればできないことはないはず」という確信が既にアルクスの中で生まれていた。
そうしてアルクスは学園入学に向けて訓練の日々に明け暮れることとなった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

その夜クレメンテクスの自室にて

 「アルクスの具合はどうだ?」
 「この年齢にしては飲み込みも早く、順調です。むしろ成長が早いくらいです。血は争えないですね。」
 「そうか、それは良かった。君のおかげで学園への進学も決断できたしな。あいつが小さい時に母親がいなくなってからは、ウィルに甘えてばかりで劣等感も持っている様子だったからな。ルーナの前でだけは立派な兄として振る舞っているみたいだが。
兄と比較せずに自分の道を見つけてくれると良いが。」
 「そうですね、彼ならウィル君にも劣らない実績を出してくれますよ。ただ…」
 「ん、何かあるのか?」
 「いえ、何でもないです。頑張り過ぎて体を壊さない様にみてあげてください。」
 「うむ、気をつけるとしよう。君にも助けられるよ。10年前、魔獣の侵攻により甚大な被害を負っていた、王都の復興にも尽力してもらったし、教会としても何かしらの位を授けてはどうかという話も挙がっている。」
 「過分なご評価をいただき光栄ではありますが、辞退させていただければと思います。」
 「相変わらず欲が無いな。」
 「あとアルクス君が学園に入学して1年したら、王国を出ようと思います。」
 「そうか、もうそんなに経つのか。で、目処は立ったのかい?」
 「はい、お世話になったにも関わらず申し訳ありません。」
 「いや、アルクスも選別の儀さえ終われば、どこに進むことになろうと忙しくなるだろう。今のうちに多くを教えておいてもらえると助かる。」
 「かしこまりました、では私はこれで。」
 「あぁ。ありがとう、引き続き宜しく頼む。」

そうしてネモは退室して行った。
 「過度な期待は失望した時に破滅を招くから、受け皿を用意しておいてあげないと。」
口元に不吉な笑みを湛えながら。
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