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そして入学へ
62 おかしくなるううう!
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「ユウキさんは聖女様にはなりたくないのかしら……?」
「なっ!クラブクイーン!こんな所まで私を虐めに来たの!?信じられないっ誰か、あの女を追っ払ってよ!私を虐める気なんだわ!助けて、助けてーーー!」
かなり遠くからユウキさんは私を見るなり叫んだ。私の傍には案内をしてくれる女性神官と、ミシェル君、ピーチェがいるのだけれど全員呆れ顔だ。
「な、何事ですか!」
「助けてください!あの女が私を虐めようと来たんです!」
距離にしてそうね……5.6メートルは離れているかしら?そんな遠くから私を指出して「あの女」と呼ぶのは本当にどうしていいか分からないわ。ユウキさんの相変わらずの大声に神殿は大騒ぎになり、神官達が駆け寄ってくる。人が増えるたびにユウキさんは必死で
「あの女よ!あの女が私を虐めにこんな所まで来たの!」
「あの女とは誰の事ですか?」
「あいつよ!クラブクイーン、マリエル・クラブよ!!」
ビシィ!と音が鳴りそうなくらいの勢いで指差し、ユウキさんの声は響き渡る。そのたびに静けさが生れて……。
「早く!早くあの女を追い出して!!怖いっ!」
と、続く。それが何度か繰り返され、とうとう教皇のお爺ちゃんがやってきた。
「神の館である場所でなんと騒がしい事か。誰か説明せよ」
「あの女が私を虐めに来たの!!助けて教皇様!怖いっ殺されるわ!」
今度はお爺ちゃんに突撃していった!?あの勢いでお爺ちゃんにぶつかったらお爺ちゃんが死んじゃうかもっ!!
「教皇様っ!」
殺気(?)に気づいて数人の男性神官がユウキさんを止めてくれた……良かった。ちなみに叫ばれ続けている間、私も女性神官もミシェル君もピーチェもあまりの事に驚いて一言も発せないでいたわ。
「見習い聖女ユウキ。落ち着きなさい、君は声が大きすぎる。その自覚はあるか?」
「だ、だって!」
「ここは神の館。そのような大声は似つかわしくない。わかるかな」
「……はい……」
流石お爺ちゃん!あのユウキさんに話を聞かせる事に成功したわ!これが大神殿の教皇様のお力と言うものなのね!凄いっ!
「聖女見習いユウキよ、君は学園でもこうなのかね?」
「っ……違います!こんなことしていません!それに私は悪くない!あの女が全部悪いんです!」
す、凄い……もしかして自覚ナシなのかしら……。そしてまた指を突き付けてくる。怖いわ……。
「シモンズ、カーターおるかね?」
「はい、ここに」
二人の男性神官がすっと前に出た。見た事があるような?
「見習い神官ユウキの言っていることは正しいかね?」
「いいえ、正しくありません」
「見習い神官ユウキはこのように毎日学園で騒ぎ立て、たくさんの人に迷惑をかけております。同じ大神殿で修行する者としてとても恥ずかしいです」
「なっ!!」
あ、このシモンズ君とカーター君は学園の生徒だわ!Bクラスに特待生で入っているコ達!ちらっと見た事があったのよね。
「見習い聖女ユウキよ、私の元に学園から大量に来ておる苦情書も同じような事が書かれておる。君は何をしに学園へ行っているのだ?この世界になれる為、知識を学ぶために通っているのではないのか?」
「親密度を上げて、王子様達と仲良くなる為に……」
「ユウキ、それは本気かね?」
ちょ、ちょっとヒロイン!?それは口に出しちゃいけない事よ!!ユウキさんもしかして相当頭が残念女子なの!?
「いえ!あの……その……」
うおおおおおい!本当にユウキさんはヒロインなの?これじゃ私の愛する「トランプる!」がおかしくなるうううう!
「なっ!クラブクイーン!こんな所まで私を虐めに来たの!?信じられないっ誰か、あの女を追っ払ってよ!私を虐める気なんだわ!助けて、助けてーーー!」
かなり遠くからユウキさんは私を見るなり叫んだ。私の傍には案内をしてくれる女性神官と、ミシェル君、ピーチェがいるのだけれど全員呆れ顔だ。
「な、何事ですか!」
「助けてください!あの女が私を虐めようと来たんです!」
距離にしてそうね……5.6メートルは離れているかしら?そんな遠くから私を指出して「あの女」と呼ぶのは本当にどうしていいか分からないわ。ユウキさんの相変わらずの大声に神殿は大騒ぎになり、神官達が駆け寄ってくる。人が増えるたびにユウキさんは必死で
「あの女よ!あの女が私を虐めにこんな所まで来たの!」
「あの女とは誰の事ですか?」
「あいつよ!クラブクイーン、マリエル・クラブよ!!」
ビシィ!と音が鳴りそうなくらいの勢いで指差し、ユウキさんの声は響き渡る。そのたびに静けさが生れて……。
「早く!早くあの女を追い出して!!怖いっ!」
と、続く。それが何度か繰り返され、とうとう教皇のお爺ちゃんがやってきた。
「神の館である場所でなんと騒がしい事か。誰か説明せよ」
「あの女が私を虐めに来たの!!助けて教皇様!怖いっ殺されるわ!」
今度はお爺ちゃんに突撃していった!?あの勢いでお爺ちゃんにぶつかったらお爺ちゃんが死んじゃうかもっ!!
「教皇様っ!」
殺気(?)に気づいて数人の男性神官がユウキさんを止めてくれた……良かった。ちなみに叫ばれ続けている間、私も女性神官もミシェル君もピーチェもあまりの事に驚いて一言も発せないでいたわ。
「見習い聖女ユウキ。落ち着きなさい、君は声が大きすぎる。その自覚はあるか?」
「だ、だって!」
「ここは神の館。そのような大声は似つかわしくない。わかるかな」
「……はい……」
流石お爺ちゃん!あのユウキさんに話を聞かせる事に成功したわ!これが大神殿の教皇様のお力と言うものなのね!凄いっ!
「聖女見習いユウキよ、君は学園でもこうなのかね?」
「っ……違います!こんなことしていません!それに私は悪くない!あの女が全部悪いんです!」
す、凄い……もしかして自覚ナシなのかしら……。そしてまた指を突き付けてくる。怖いわ……。
「シモンズ、カーターおるかね?」
「はい、ここに」
二人の男性神官がすっと前に出た。見た事があるような?
「見習い神官ユウキの言っていることは正しいかね?」
「いいえ、正しくありません」
「見習い神官ユウキはこのように毎日学園で騒ぎ立て、たくさんの人に迷惑をかけております。同じ大神殿で修行する者としてとても恥ずかしいです」
「なっ!!」
あ、このシモンズ君とカーター君は学園の生徒だわ!Bクラスに特待生で入っているコ達!ちらっと見た事があったのよね。
「見習い聖女ユウキよ、私の元に学園から大量に来ておる苦情書も同じような事が書かれておる。君は何をしに学園へ行っているのだ?この世界になれる為、知識を学ぶために通っているのではないのか?」
「親密度を上げて、王子様達と仲良くなる為に……」
「ユウキ、それは本気かね?」
ちょ、ちょっとヒロイン!?それは口に出しちゃいけない事よ!!ユウキさんもしかして相当頭が残念女子なの!?
「いえ!あの……その……」
うおおおおおい!本当にユウキさんはヒロインなの?これじゃ私の愛する「トランプる!」がおかしくなるうううう!
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