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そして入学へ

35 学園へ、登校するのも、命がけ(5.7.5)

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「仰げば尊死とうとし

「マリエル様?!今日は学園の入学式の日ですのに!朝から何を?!」

 床で死んでいたら、朝起こしに来てくれたメイドのメリーを驚かせてしまったわ。
 そう、学園の制服をみて一晩中ニヤニヤしていたら、床で寝落ちしたのよ。馬鹿だわ……。

「だ、だって!今日からお兄様とペアルックの制服を半日以上着るのよ?!死なない方が難しいわ!」

「そうですねー」

 ……メリーの言い方が冷たいわ……。私付きをもう2年もやってくれているメリー。私の扱いが上手くなって困っちゃう……。

「そんなことよりまた寝不足ですか?暖かいタオルをお顔に当てて!髪型はどうします?巻きますか?」

「いえ、邪魔にならないくらい横を纏めて。髪を巻いて盛るヘアスタイルはもう古いわよ。あれは髪も痛むし、時間もかかるわ」

「そういえばそうですね。髪の手入れが甘い方はああいう派手なのがお好きみたいですけど、我が家のようにヘアケア剤が使えるなら不要ですね」

「ふふ、そうね。何かと艶々してた方がお得だからね。皆もちゃんと手入れするのよ?」

「勿論ですとも!」

 うんうん。福利厚生も行き届く、ホワイトな職場、それがクラブ家よ!それにメイドちゃん達の質が良いと、何かと便利なのよ。お客様にもドヤ顔できるしね!フフフ。

「でも、それなら、他のキング様やクイーン様達、王太子殿下ともペアルックですね!マリエル様!」

「ふぁ?!?!」

 な、なんだってーーーーー?!わ、忘れていたわ!お兄様のキリッとした制服礼拝に夢中になりすぎて他の推しのことをすっかり忘れるなんて!馬鹿馬鹿馬鹿!マリーの馬鹿っ!!

「と、とうとしぃいい……!」

「マリエル様!マリエル様!立ってください!!朝の支度が終わりません!!」

 ふう、学園に登校するのも命懸けなんて、なんてハードな学園生活になるんでしょう??

「ああ!神よ!マリエルを守り給え……」

「マリエル様、なんかキラキラしながらお祈りをしていないでこちらへ。いつまでたっても髪の毛が終わりませんわ。あと朝食に遅れますよ?マリエル様が遅れるとレナード様が拗ねます」

「レナードに叱られたくないわ……いえ?むしろ叱って欲しい!あの可愛いお顔をちょっとプン!とさせて……何というご褒美かしら?うっ!また心臓の動悸が!不整脈かしら??!」

「いいえ、違いますわ。さあ、出来ました。早く制服を着ましょう、そして朝食です」

 やっぱりメリーは冷たいわ……。

「このままでは皆様を待たせる事になりますよ!」

「朝食の席できゅるるとお腹を鳴らす推しが見れるチャンスでは?!」

「見る為には早く食事に向かいましょうねー」

「オーケー!任せろ!」

 ふう、私の朝はいつも大忙しよ。こんなんじゃ髪を巻くあの時間のかかるヘアスタイルなんてできる訳ないじゃないの!全く、ゲームのマリエルは気合が入ってたのね!!ちょっと尊敬しちゃったわ!


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